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今日の筆洗

2020年06月05日 | Weblog
 結核を患い、長い闘病生活を詠んでいる俳人の石田波郷に、よく知られた晩年の句がある。<今生(こんじょう)は病む生なりき烏頭(とりかぶと)>。痛切な嘆きがあると感じられる半面、毒を蓄えながら、秋に鮮やかな紫色の花を咲かす「烏頭」の効果であろうか、その生を受け入れているように思えなくもない▼少なくとも特効薬やワクチンが効力を発揮するまで、われわれの世の中にも「病む生」の側面があるようにみえる。受け入れなければならない新型ウイルスとの共生という側面である。開幕が近づくプロ野球で先日、選手が感染していたと明らかになり、それを思わされた▼開幕日程に影響はないようであるが、開幕後ならどうであったか。選手の感染に限らず、思わぬ事態は今後もありえよう。再開を目指すJリーグでも先日、選手の感染が確認されている▼思い通りに何事も進まない世の中だと、当事者のみならず広く心構えを持ったほうがよさそうだ。東京五輪をめぐり、政府は大会の簡素化について検討を始めたという▼開催時期までにコロナ禍が終息している保証はどこにもない。ウイルスと共生しながら迎えるなら、簡素化は避けられないようにみえる▼一病息災という。一つくらい病気があるほうが体に気を配り、無病よりむしろ長生きする。一病と呼ぶにはやっかいな相手であるが、今生が無病でない時には頼りたくもなる言葉だ。

 


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