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今日の筆洗

2016年06月03日 | Weblog

 『氷壁』や『天平の甍(いらか)』など数々の名作を残し、二十五年前に八十三歳で逝った作家・井上靖さんは、死を前にお孫さんたちを集め、こう語り掛けたそうだ。「これが死というものだから、見ておきなさい」▼そんな逸話を思い起こしつつ、ヨシタケシンスケさんの新著『このあと どうしちゃおう』(ブロンズ新社)を読んだ。<こないだ おじいちゃんが しんじゃった>との一文で始まる絵本だ▼おじいちゃんの部屋を掃除したら、一冊のノートが出てきた。そこには、こんなことが書かれている。天国はどんな所か。どんな神様にいてほしいか。誰にも言えなかったことを聞いてくれる神様に、空の飛び方を教えてくれる神様…▼そんなユーモアあふれる「終活ノート」を読むうちに、孫の男の子は考える。おじいちゃんは何だか楽しそうだけれど、本当は死ぬのが怖かったんじゃないのかな▼ヨシタケさんには、悔いがあるという。長患いの末に逝った母に「死ぬのこわい?」と聞き、一緒に本音を話すことで死の恐怖を和らげてあげたかった。しかし、「死」について家族で語り合うのは難しい。だから、普段からふざけ半分に、気楽に話し合うようにできたら。そういう思いを、絵本にしたそうだ▼家族で、どんな「あの世」に行きたいかを語り合えば、どう「この世」を生きたいかを語ることになるかもしれない。


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