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今日の筆洗

2020年06月27日 | Weblog
 毎年、雨の季節に合わせるように、色とりどりの大輪をつけて、重くなりがちな気分をなぐさめてくれる。ありがたい花木なのかもしれないと今年の梅雨はとくに、思えてくる。アジサイの詩が高田敏子さんにある▼<あじさいは/雨にぬれて/悲しみを洗っている/悲しみを洗いながら/美しく色を変えていく>(『あじさいの花』)。悲しみも、思うにまかせないことも多くあったこの夏、花をながめれば、元気づけられるようでもある▼この週末をはじめ、開かれるはずだったあじさい祭りなどが、中止になってしまった名所も多いようだ。美しく色を変えていくさまを、塀越しのご近所の庭に、あるいは道ばたに、見てきた方も多いだろう▼涼しげな青、温かみのある赤に、微妙な鮮やかさの変化もある色の違いは、土壌の酸性、アルカリ性の度合いに関係があるという▼酸性ならば、土中のアルミニウムイオンが溶けて、吸収した花は青を帯びる。根元に一円玉を埋めると花は青くなるという説を聞くが、ものの本によれば疑わしいそうだ。色の移ろいから「あじさい」には心変わりしやすい人の意味もあった。当世ならばむしろ、多様性の花のようで好ましくも思える▼褐色になってもう枯れてしまったようにみえながら、きれいな薄い緑やピンクを、また取り戻すものがある。どこか人生のうつろいを思わせるようだ。

 


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