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今日の筆洗

2023年09月21日 | Weblog

 1隻の日本の汽船の動向に世界が注目した歴史がある。船の名は「駒形丸」▼1914年、シーク教徒を中心としたインド人が「駒形丸」で、新天地での生活を求め、カナダを目指した▼夢はかなわなかった。カナダ側は当時、同じ英国の「臣民」であるにもかかわらず、インド人に対する反移民感情から入国を拒否した。結局、大半の乗客は船でインドへ向かうが、待っていたのは「コルカタの悲劇」である。乗客と警察当局が衝突し、大勢のシーク教徒が死亡した。『駒形丸事件-インド太平洋世界とイギリス帝国』(秋田茂、細川道久著)に詳しい▼「駒形丸」を拒否した過去の差別。これを2016年に謝罪し、二度と繰り返さぬと表明した首相としては、カナダに住むシーク教徒の不可解な死を見過ごしにはできなかったのだろう。トルドー首相はシーク教指導者が6月、カナダで殺害された事件にインド政府の工作員が関与している可能性を指摘した▼殺された指導者はインドがテロリストと判断した人物という。インドとシーク教過激派の長い対立の歴史は理解しても、これが事実なら、トム・クランシーの国際スパイ小説ばりの荒っぽいやり方が許されるはずもない▼インドはカナダの主張を強く否定し、両国関係は急速に悪化に向かっている。今は両国が同じ船に乗り、真相解明という港に向かうのが筋であろうが。


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