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今日の筆洗

2023年01月28日 | Weblog

 自動織機を発明した豊田佐吉の長男が喜一郎。織機から自動車事業への進出を主導した、トヨタ自動車の創業者である▼大正期以降、フォードなど米企業が日本で車を生産するなか、国産車製造を志した。佐吉の夢でもあったというが、繊維機械で生きる会社には成功が怪しい自動車進出への反対論が強かった▼急先鋒(せんぽう)は番頭格の石田退三。後に社長になり自動車に献身するが、当時はこう嘆いた。「三井、三菱でもやらぬ自動車をどうしてやるんですか。佐吉翁の遺言は大切かも知れぬが、発明狂は一代だけで十分でしょう。喜一郎さんの自動車道楽はやめにした方がいい」▼喜一郎の孫にあたる豊田章男社長(66)が会長になり、佐藤恒治執行役員(53)が社長になる人事をトヨタ自動車が発表した。約十四年ぶりの社長交代という▼変革期の業界。各国企業が注力する電気自動車(EV)の開発で、トヨタは遅れたとも指摘される。インターネットと常時接続する車の開発が進み、米IT大手アップルの参入も取りざたされる。自動運転技術の開発競争も激しい。難局に若い力をいかす狙いの人事という▼自動車創業の際の喜一郎の言葉が残る。「我々のトヨタ丸は『廉価で優秀な車の製造』という旗印を立てて、嵐の海に出帆するのであります」。海が荒れているのは昔から同じではないかと、後進を励ましているようにも読める。


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