東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2022年08月12日 | Weblog
米大リーグの往年の名選手、ベーブ・ルース(一八九五〜一九四八年)は港町ボルティモアで過ごした少年時代、不良だったという▼自伝によると、両親が働く酒場の二階で暮らし、酒場や外の道路で過ごした夜も。事情を抱えた子らが修道士に教わる全寮制の工業学校に七歳で入れられ、ここで野球と出会い、やがてスカウトされた。恵まれぬ境遇からの出世も米国で愛された理由だろう▼大リーグでルース以来百四年ぶりとなる「投手として二桁勝利、打者として二桁本塁打」をエンゼルスの大谷翔平選手が達成した▼長く挑戦者がほとんどいなかった投打の二刀流を日米で貫く。「容易でない」と冷淡だった解説者もかつて相当いたと記憶する。さわやかな受け答えからルースのような元不良には見えないが、大勢に与(くみ)せぬ異端の人ではある。結局は日本ハムに入るが、高校三年のドラフト会議前に大リーグ挑戦を宣言。日本のプロを経ずに米国に渡る高校生の「パイオニアに」と夢を語っていた▼ルースも、二刀流の顕著な活躍は投手から野手へ転向する過程だった二年のみ。大谷選手は、自身が結果を残せば続く選手は増えると思っているのだろう。今回の二桁勝利、二桁本塁打に「(二刀流が)当たり前になってくれば、もしかしたら普通の数字かもしれない」と話した▼異端とは決して呼べぬ日が来るのかもしれない。