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今日の筆洗

2021年04月17日 | Weblog
 天才発明家でもある米軍需企業の若い社長は、アフガニスタンで武装勢力の襲撃にあい、大けがを負う。ショックであったのは、使われた兵器が自社製だったことだった。大ヒットしたハリウッドのヒーロー映画『アイアンマン』は、米国のアフガンでの戦いを下敷きにしている▼敵も味方も自分の武器で傷ついていることを知った社長は「目を開かされた」と、兵器製造から撤退を誓うことになる。人々の恐怖を終わらせようと独自に戦うヒーローの誕生へと物語はつながる。単純な勧善懲悪とはやや異なる筋立てに、泥沼化や厭戦(えんせん)気分の広がりが語られた難しい戦争の一面を思わなくもない▼米国史上最長とされるその戦争から、米軍がついに撤退するという。バイデン大統領は九月十一日までに、アフガニスタンに駐留する米軍を完全に撤退させると正式に表明した▼米側にも二千人以上の死者を出し、二十年近く続いた。大義が疑われることもあった。輝かしい勝利宣言で締めくくられることもなく終わりそうな戦争である▼心配は残る。平和が見通し難い。反政府武装勢力のタリバンは力を持っており、米軍が完全に撤退すれば、また内乱が拡大するおそれがある。せっかく向上してきた女性の地位が再び失われてしまわないかも気がかりだ▼和平を残せるか。ヒーローでも難しいだろうが、米国の引き方が問われるだろう。