これは難しかった。最後の1つは諦めて答えみちゃった。
その高卒ルーキーは一九五三（昭和二十八）年の入団一年目から二十七本塁打をかっ飛ばしたが、遊撃手としての守備はまずかった▼ある試合で失策し、そのせいで試合を落とした。帰りのバス。「すみません」と頭を下げる若者にベテラン捕手はどなった。「謝ってすむか。馬鹿（ばか）たれ。歩いて帰れ」。西鉄ライオンズの黄金期を支えた豊田泰光さんが亡くなった。八十一歳。歩いて帰った若者である▼「オレのところには打たせるな」。試合中、稲尾投手に頼み込むほど守備には自信がなかったが、その分、打った。＜一番高倉、二番豊田、三番中西、四番大下＞。二番に強打の豊田さんを起用した流線形打線。野球ファンにとって五七年の西鉄は伝説であり、あこがれである▼豪放磊落（らいらく）で個性的な「野武士野球」。豊田さんによれば、その野球は、絆が強くとも仲良しではなかった▼打撃の助言を先輩に求めると「カネを持ってこい」と追い返された。ミスをすれば、罵倒され、凡退すれば、叱責（しっせき）される。高度成長期の日本人の熱と競争心か。怒声、泥くささ、がむしゃらの野球。それが現役、解説者を通じて豊田さんが愛した野球である▼五七年の西鉄が今シーズン甦（よみがえ）ったらと空想する。体格やデータ分析力の違いで負け続ける。が、平成の世に似合わぬ気迫と気力で何試合かに一回は、奇跡の勝利を収める。球場は満員である。
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| 基本情報 | |
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| 国籍 |  日本 |
| 出身地 | 茨城県久慈郡大子町 |
| 生年月日 | 1935年2月12日 |
| 没年月日 | 2016年8月14日（満81歳没） |
| 身長 体重 |
176 cm 82 kg |
| 選手情報 | |
| 投球・打席 | 右投右打 |
| ポジション | 遊撃手 |
| プロ入り | 1953年 |
| 初出場 | 1953年3月21日 |
| 最終出場 | 1969年 |
| 経歴（括弧内はプロチーム在籍年度） | |
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選手歴
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監督・コーチ歴
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野球殿堂（日本）
 殿堂表彰者 | |
| 選出年 | 2006年 |
| 選出方法 | 特別表彰 |
