メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

2017年05月27日 | 映画

を観ました。


単調な日々を送っていた美佐子(水崎綾女)は、とある仕事をきっかけに、弱視の天才カメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出逢う。
美佐子は雅哉の無愛想な態度に苛立ちながらも、彼が過去に撮影した夕日の写真に心を突き動かされ、いつかこの場所に連れて行って欲しいと願うようになる。
命よりも大事なカメラを前にしながら、次第に視力を奪われてゆく雅哉。
彼の葛藤を見つめるうちに、美佐子の中の何かが変わりはじめるー。


河瀬直美監督作品です。
かなり高評価した「あん」の主演と監督の作品です。

今作は視力をほぼ失った写真家と音声ガイドを作る女性の交流です。
想像していましたが、やはり非常にハイレベル、ハイセンスな高品質映画です。

カンヌで高評価されがちな河瀬直美作品ですが、いかにもそういう感じの作品です。
山田孝之のカンヌ映画祭で登場したのも納得ですね。

視覚障害者を描いた作品だけあって、映像も非常に巧妙で。
観ている人に多少視覚が不自由に感じるような見事な映像でした。

主にアップで顔を捉え、背景などはピントが合っておらず。
それでいて本来ならばカットするであろう日常的な生活音が非常に大きめに鳴っています。
引きの画も殆ど無いので会話や音で場面の状況を想像するような仕掛けでした。

作品のテーマとして視覚障害者が持つ想像力というのがあります。
それを疑似体験させるかのように。
全編通して想像力を要求されるような作りです。

演出はいつもながらドキュメンタリーの様に自然演出でリアルな会話で。
キャストの中には恐らく役者では無い人も混じっていて、その辺のリアリティは流石です。

主演の水崎綾女は非常に素晴らしかったです。
正直この作品を見る前はBクラスの女優のイメージでしたが、全然Aクラスでした。
河瀬直美作品の主演に選ばれるだけで相当の才能を持っていることは確かですね。
この手の作品では努力では補えない天性の雰囲気が求められますからね。
疑問を抱きながら観に行きましたが、
見た目も美人だしナチュラル演技でめちゃくちゃ素晴らしかったです。

永瀬正敏がそんな彼女に影響を与える失明していくカメラマンを演じていました。
コレまた非常に見事ななりきりで、相当勉強して挑んでいるのが伝わりました。
カッコいいダンディな佇まいで未だにそのブランド力は健在だと感じました。

みんな難しい言葉を使っているわけではなく、
ただ明確な答えは提供してくれないので理解するのに想像力が必要です。

なんとも悲しく深い恋愛模様もありました。
とにかくハイレベル映画ですね、河瀬直美監督恐るべしな領域です。


そんなわけで9点。
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