メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

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海獣の子供

2019年06月12日 | 映画
海獣の子供
を観ました。


光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。
巨大なザトウクジラは“ソング”を奏でながら海底へと消えていく。
<本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。
自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。
母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。
そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う。
琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」
明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。
琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。
三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。
夜空から光り輝く彗星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。
そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。
“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。
そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。
それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。
“海と空”はどこから来たのか、<本番>とは何か。
これは、琉花が触れた 生命 いのちの物語。


渡辺歩監督です。
ドラえもん系のイメージが強いですがアニメーションでは大御所の域に近い監督ですね。

そして音楽は久石譲という超大御所です。

原作は五十嵐大介です。
ちょっと五十嵐大介に関して熱くなりたいですが、自分にとってはあまりに特別な漫画家です。
若い頃からめちゃくちゃ自分の創作活動に刺激や影響を与えて来ました。
五十嵐大介作品との出会いが無ければ自分のアイデンティティの育成は無かったでしょう。

そんな五十嵐大介作品でも唯一くらいの長編の海獣の子供ですが、自分の好みの作品をよくアニメ化するStudio4℃制作です。
そこに渡辺歩、久石譲というので企画としてもかなり期待値は高かったです。
自分の中で大切な作品を中途半端な商業主義アニメとかで汚されるのは辛いので。
その点でスタッフの布陣の時点でその懸念はもう無かったです。

あとは相当クセの強い五十嵐大介漫画の世界観をどうやってアニメ化するのか?可能なのか?という注目でしたが。
予告編の時点でかなり説得力ある映像でした。
ボールペンでフリーハンドな原作の世界観を非常によく再現していたと思います。

見る前からあのシーンはどうなるのだろうか?どこを採用してどこを削るのか?等。
好きな原作が映画化される時のいつもの感情でした。

ただでさえ尺が足りない上に作品の特性上ストーリー部分にスピード感を与えるのも絶対に違うので。
ストーリー無関係の時の経過や情景描写のみのコマが非常に多い原作漫画なので。
自然描写等は外せないのでそこを原作同様に重きをおいて、原作とは違うカットでも同様の効果を発揮するようなシーンが多かったです。

物語は主人公の琉花を中心にしたストーリーになっていて。
脇役たちのストーリーや別の時間軸の話は削られていました。
自分が好きな自然現象の話や、世界中の証言の話。
命や世界の創造の話ですが、それを哲学的ながらもわかり易く伝えるような件がほぼ削られていました。

そんなわけで原作以上に難解でその分感じなければいけない物語になっていました。
そしてそれを感じさせるには十分な凄い映像世界です。
作品の大きなテーマですが、原作ではクジラはイメージのやり取りでコミュニケーションを取るという話もありましたが。
「大切なことは言葉にしてはいけない」
というのをひたすら具現化したようなアニメーションでした。

正直、原作を知らない人がどの程度理解できるのかはわからないですが。
所見の人々が酷評するかも知れませんが。
凄い高い狙いで作られているのは十分伝わりました。
後々評価されるでしょう。

五十嵐大介自体がハイセンスだったりクリエイティブな人々に強く支持されるイメージがありますが、普通映画化するとそれを大衆向けにする作業だと思いますが。
今作に関してはターゲットがほとんど変わらずやっぱりハイセンスだったりクリエイティブな人向けの映画って感じです。

原作を読んでいる人ならば誰もが思う、”本番”の描写はどうなるのか?が気になりましたが。
セリフも無くなかなかの尺でものすごいスケールで描いていました。
圧巻です。
近くに座っていた親子の幼い子供も観終わったあと「凄かった」と言っていました。
言葉に毒されていない人にはまた違う伝わり方をする気がします。

主演の芦田愛菜がまた原作ファンとしてはめちゃくちゃ最適でした。
特に芦田愛菜の顔も浮かばないくらい琉花であり、大人と子供の中間の感じが見事でした。

海は石橋陽菜彩が演じていました。
去年大絶賛したリメンバー・ミーの子ですね。
長年自分の脳内に居た海より天真爛漫で可愛い感じでしたが説得力はありました。

空は浦上晟周って子が演じていました。
知らない子でしたが納得の空でした。
知らない子だった分、今後は空としてしか見れなくなりそうです。

他、森崎ウィン、稲垣吾郎、蒼井優などみんな控えめでかなり秀逸な声優陣でした。

とにかく感じるための映画でした。
宗教画とも言われるような五十嵐大介の世界観を凄いスケール感で描いていたので絶対に劇場鑑賞モノです。


そんなわけで8点。
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