情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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取調べの可視化に消極的なマスメディアの姿勢に悪意を感じざるを得ない~警察リークがなくなるから?

2010-03-27 07:30:39 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 菅家さんの無罪を伝えた3月26日付夕刊各紙のなかで、真剣に取調べの可視化(全課程の録画・録音)に取り組むべきだと訴えたものは見当たらなかった。まったく事実に関係していない人が「自白」をする過程では、取調べの側の誘導が必要なわけで、菅家さんの件も、取調べの完全録画・録音がなされていれば、自白の不自然さは明白だったろうから、起訴すらされなかっただろう。菅家さんの件で少しはマスメディアが反省しているのだとすれば、虚偽自白防止策として最も効果的な取調べの可視化の導入に貢献するべきだと思うのだが、そのような決意はまったく感じられない。

 それどころか、産経は【元検事で青山学院大学法科大学院特任教授(刑事法)の高井康行弁護士は、足利事件の取り調べを録音したテープでも暴力的な場面や自白を強制する文言はないことなどを挙げ、「可視化が本当に冤罪防止につながるのか疑問が残る」と指摘する。】(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100326/trl1003261207010-n1.htm)とのコメントを掲載し、明らかに可視化を防ごうという姿勢。

 毎日新聞も【「違法な調べ」との指摘は、改めて取り調べ全過程の録音・録画(可視化)論議を加速させる可能性をはらむ。しかし、法務省の政務三役は、「原則、全事件・全過程」での導入から、現実路線への軌道修正を始めた。年間約200万件と事件数が膨大で、パトカー内や容疑者宅などでの取り調べも想定されるからだ。千葉景子法相は「財政的、物理的問題も含めて検討したい」と慎重で、法案提出は早くても2年後と見込まれる。】と法務省の主張をそのまま掲載し、こちらも可視化を進めようという意欲は感じられない(http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20100327ddm003040106000c.html)。

 読売新聞も【警察庁、最高検は足利事件の捜査の検証結果を近くまとめるが、求められているのは、自白偏重の捜査からの脱却である。取り調べを録音・録画する可視化のあり方についても、議論を深めていく必要があろう。】と明確な決意はなさそうだ(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100326-OYT1T01233.htm)。

 朝日新聞は、検索をしても出てこない体たらくぶりだ。

 ここまで足並みを揃えた姿勢に接すると、結局、マスメディアは、警察からのリーク情報(それも飛ばし気味のもの)が欲しいから、取調べ過程が完全に記録されると困ると考えているのではないかとしか考えられない。

 つまり、被疑者の供述が確実に記録に残ると、「田中容疑者が犯行を認めた」、とか、「田中容疑者は、靴を海に捨てたと供述している」などのリークに基づく情報を掲載した場合、その記事が虚偽であることが明白となるため、そのような記事を掲載することができなくなることを恐れているに違いないとしか考えられないのである。

 権力を監視するメディアが権力のリーク情報に基づいて記事を掲載するという構造を維持するために、権力の監視を防ぐ方向に誘導しようとしている…とすれば、これは悲劇なのか、喜劇なのか…。

 わずかに中日新聞が社説で次のように書いていることに救われる。

【何より、取り調べの問題は、今なお捜査の現場に残っている。冤罪の多くは捜査側の見込みや誘導などにより、ウソの自白が引き出されることによる。再審の法廷では、当時の菅家さんの取り調べでの録音テープが再生された。否認に転じた菅家さんを再び“自白”させた場面だった。
 現在、警察や検察で「一部録画」されているが、捜査当局に都合のよい部分だけだという批判がある。実際、無実の菅家さんは“自白”し、それを再生テープがとらえている。「一部録画」の問題点をあぶりだしているわけだ。
 民主党は野党時代に可視化法案を二度、参院で可決した。だが、いまだ法務省などでは勉強段階で、法案提出の道筋が見えない。前進どころか、停滞ではないか。】(http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2010032702000043.html)


 ※画像は昨年に開催された集会の様子を伝える下野新聞(http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20090916/206721)
 


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