情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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画期的な拷問禁止委員会の勧告書全訳その1~NGOなどによる暫定訳

2007-06-04 19:58:08 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 先日、ここなどで、お伝えした拷問禁止委員会の勧告について、委員会の審査を受けた日弁連やNGOなどが協力して作成した日本語訳を入手したので、ご紹介します。まだ、ブラッシュアップ中で、暫定訳とのことですが、画期的な勧告の内容をできるだけ速くできるだけ多くの方に伝えるために、暫定訳だということを前提に以下、引用します。英文は、こちら(←クリック)にあります。

その1は、司法の独立に対する厳しい言葉と当然ながら代用監獄の早急な廃止など、その2は、取調の可視化、死刑の問題などが指摘されています。

■■引用開始■■

文書番号 CAT/C/JPN/CO/1
2007年5月18日
原文: 英語

拷問禁止委員会
第38会期
ジュネーブ 2007年4月30日~5月18日

条約第19条に基づいて締約国により提出された報告書の審査
拷問禁止委員会の結論及び勧告

日本

1.委員会は、日本政府による第1回報告書(文書番号CAT/C/JPN/1)を2007年5月9日及び10日に開催した第767回及び769回会議(CAT/C/SR.767 and CAT/C/SR.769)において審査し、2007年5月16日及び18日に開催した第778回及び779回会議(CAT/C/SR.778 and CAT/C/SR.779)において、以下の結論及び勧告を採択した。

A. はじめに

2.委員会は、日本政府の第1回報告書の提出、また建設的な対話を始めたこの機会を歓迎する。特に、委員会が提示した数多くの口頭質問に対して政府代表団が提供した説明や解説に賞賛をもって注目する。また、委員会は、政府代表団が大きく、それが多様な省庁の代表によって構成され、条約に基づく本会議における義務を重視する姿勢を見せていることについても歓迎する。さらに、報告書審査へのNGOの参加を歓迎する。

3.しかし、委員会は、2000年7月に提出期限であった政府報告書が5年以上も遅れて提出されたことを遺憾とする。また、委員会は、報告書が、締約国内でどのように条約諸規定が実際に適用されているかに関する詳細情報が不足している限りにおいて、第1回報告書準備のための委員会のガイドラインに十分に沿うものではないことに注目する。第1回報告書は、条約が保障する人権の実施について具体的事例や統計を用いた分析によらず、法規定に限られたものとなることが多いのである。


B. 積極的側面

4.締約国による大部分の国際人権条約の批准。

5.委員会は、以下の採択も歓迎する。
a)  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第73号)
b)  刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律。これは、(受刑者について「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」として2005年5月24日に成立し施行され、2006年6月2日に改正された。

6.委員会は、刑事施設の透明性を高める目的及び、暴行の再発を防止するために、刑事施設視察委員会や刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会のような新しいメカニズムを設置したことに注目する。加えて、委員会は、2007年6月までに、留置施設視察委員会を設置することが発表されたことを歓迎する。

7.委員会は、現在、行動科学及び心理学、並びに人権基準を含むという、矯正局による刑事拘禁施設の職員に対する研修カリキュラムとその実施にかかわる活動を歓迎する。

8.委員会は、また締約国が人身売買と闘うためにとった行動,特に,2004年12月の「人身売買と闘う国内行動計画(the National Plan of Action to Combat Trafficking in Persons)」の採択,刑法並びに出入国管理及び難民認定法の関連規定の改正を歓迎する。

9.委員会は、報告書準備の枠組みのなかで、締約国が行った市民社会との協議を歓迎する。


C. 主要な懸念事項及び勧告

拷問の定義
10.条約1条が意味するところの「拷問」として説明されうるあらゆる行為は、日本国の刑法等によって犯罪として処罰可能であるという締約国の主張があったが、委員会は、条約1条に規定されている拷問の定義が、締約国の刑法に未だ含まれていないことに憂慮をもって注目する。特に、委員会は、条約の定義による「精神的拷問」は、刑法195条及び196条において明確に定義づけられていないことについて、また脅迫など関連する行為に対する刑罰が不適切であることについて、懸念を表する。さらに、委員会は、日本の法制度が、例えば自衛隊員や入管職員など、あらゆる種類の公務員、公的資格で行動する個人、又は、公務員若しくは公的資格で行動するその他の者の扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行動した個人をカバーしていないことに懸念を表する。
締約国は、適当な刑罰を科する特別な犯罪として拷問を性格づけるあらゆる構成要素を含めることによって、条約1条に包含される拷問の定義を国内法に含めるべきである。

条約の国内適用
11. 委員会は,条約の直接適用に関する情報,特に,国内裁判所による適用例,並びに戦時における条約の適用についての情報の不足について遺憾とする。
締約国は,裁判所による条約の直接適用を確保するためにとられた措置及びその具体的事例に関する情報を委員会に提供すべきである。締約国は,戦時の条約適用に関する情報を提供すべきである。

時効
12.委員会は、拷問及び虐待とされる行為が時効の対象とされていることに憂慮をもって注目する。委員会は、拷問及び虐待とされる行為のための時効は、それら深刻な犯罪についての捜査、起訴及び処罰を妨げうることに懸念を表する。特に、第二次世界大戦中の軍性奴隷、いわゆる「慰安婦」の被害者による提訴が、消滅時効を理由に棄却されたことを遺憾とする。
締約国は、拷問行為の未遂、共謀及び加担を含む拷問及び虐待とされる行為が、時効にかかることなく捜査が行われ、起訴され、また処罰がなされるように、時効に関する規則及び法規定を見直し、条約上の義務に十分に従ったものとなるようにすべきである。

司法の独立性
13.委員会は、司法の独立の程度が不十分であること、特に、必要的な保証が欠如している裁判官の任期に関して懸念を表する。
締約国は、司法の独立性を強化し、特に裁判官の任期の保証を確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきである。

ノン・ルフールマンの原則
14.委員会は、締約国の国内法及び運用において、一部の条項が条約第3条に適合していないことに懸念し、特に次の点について懸念を有する。

a) 2006年出入国管理及び難民認定法は、拷問を受ける可能性がある国ぐにへの送還を明確に禁止せず;加えて、再審査機関は条約第3条の適用を制度的に調査せず;

b) 難民認定の該当性を再審査する独立した機関の欠如;

c) 多数の暴行の疑い、送還時の拘束具の違法使用、虐待、性的いやがらせ、適切な医療へのアクセス欠如といった上陸防止施設及び入国管理局の収容センターでの処遇。特に、これまでに1件のみが入国管理収容センターでの虐待として認められているにすぎないことに委員会は懸念を有する。

d) 入国管理収容センター及び上陸防止施設を独立して監視するメカニズムの欠如、特に被収容者が入国管理局職員による暴行容疑について申立てできる独立した機関の欠如。また、第三者である難民参与員の任命基準が公表されていないことにも委員会は懸念を有する;

e) 法務省は難民認定申請者に対し、異議申立ての際の法的代理人を選任させず、非正規滞在者に対する政府による法的援助が事実上は限定的である事実を踏まえ、入国管理局職員による裁定を再審査する独立した機関の欠如。

f) 全ての庇護希望者の司法審査へのアクセス保障の不十分性と行政手続終了直後に送還を執行した疑い。

g) 難民申請却下後から送還までの庇護希望者の無期限拘束、特に無期限及び長期の収容ケースの報告。

h) 2006年入管法改正の際に導入された仮滞在制度の厳正性及び限定的な効果。
締約国は、移民の収容と送還に関連する全ての措置と運用は、条約第3条に十分に適合するように保障するべきである。特に締約国は、送還された場合、拷問の対象となる危険にさらされると信ずる十分な根拠がある国ぐにへの送還を明確に禁止し、難民該当性を再審査する独立した機関を設置すべきである。締約国は難民申請及び送還手続きにおける適正手続き(due process)を保障するべきである。締約国は入国管理収容施設における処遇に関する不服申立てを審査する独立した機関を遅滞なく設置すべきである。締約国は、特に弱い立場にある人々が送還を待つ間の収容期間に上限を設置し、書面による送還命令発付以後の収容の必要性に関連する情報を公開すべきである。


代用監獄
15. 委員会は、被逮捕者が裁判所に引致された後ですら、起訴に至るまで、長期間勾留するために、代用監獄が広くかつ組織的に利用されていることに深刻な懸念を有する。これは、被拘禁者の勾留及び取調べに対する手続的保障が不十分であることとあいまって、被拘禁者の権利に対する侵害の危険性を高めるものであり、事実上、無罪推定の原則、黙秘権及び防御権を尊重しないこととなり得るものである。特に、委員会は以下の点について深刻な懸念を有する。

a) 捜査期間中、起訴にいたるまで、とりわけ捜査の中でも取調べの局面において、拘置所に代えて警察の施設に拘禁されている者の数が異常に多いこと

b) 捜査と拘禁の機能が不十分にしか分離されておらず、そのために捜査官は被拘禁者の護送業務に従事することがあり、終了後には、それらの被拘禁者の捜査を担当し得ること

c) 警察留置場は長期間の勾留のための使用には適しておらず、警察で拘禁された者に対する適切かつ迅速な医療が欠如していること、

d) 警察留置場における未決拘禁期間が、一件につき起訴までに23日間にも及ぶこと

e) 裁判所による勾留状の発付率の異常な高さにみられるように、警察留置場における未決拘禁に対する裁判所による効果的な司法的コントロール及び審査が欠如していること

f) 起訴前の保釈制度が存在しないこと

g) 被疑罪名と関係なく、すべての被疑者に対する起訴前の国選弁護制度が存在せず、現状では重大事件に限られていること

h) 未決拘禁中の被拘禁者の弁護人へのアクセスが制限され、とりわけ、検察官が被疑者と弁護人との接見について特定の日時を指定する恣意的権限をもち、取調べ中における弁護人の不在をもたらしていること

i) 弁護人は、警察保有記録のうち、すべての関連資料に対するアクセスが制限されており、とりわけ、検察官が、起訴時点においていかなる証拠を開示すべきか決定する権限を有していること

j) 警察留置場に収容された被拘禁者にとって利用可能な、独立かつ効果的な査察と不服申立ての仕組みが欠如していること

k) 刑事施設では廃止されたのと対照的に、警察拘禁施設において、防声具が使用されていること

締約国は、未決拘禁が国際的な最低基準に合致するものとなるよう、速やかに効果的な措置をとるべきである。とりわけ、締約国は、未決拘禁期間中の警察留置場の使用を制限するべく、刑事被収容者処遇法を改正すべきである。優先事項として、締約国は、
a) 留置担当官を捜査から排除し、また捜査担当官を被収容者の拘禁に関連する業務から排除し、捜査と拘禁(護送手続を含む)の機能の完全な分離を確実にするため、法律を改正し、

b) 国際的な最低基準に適合するよう、被拘禁者を警察において拘禁できる最長期間を制限し、

c) 警察拘禁中の適切な医療への速やかなアクセスを確実にすると同時に、法的援助が逮捕時点からすべての被拘禁者に利用可能なものとされ、弁護人が取調べに立ち会い、防御の準備のため起訴後は警察記録中のあらゆる関連資料にアクセスできることを確実にし、

d) 都道府県警察が、2007年6月に設立される予定の留置施設視察委員会の委員には、弁護士会の推薦する弁護士を組織的に含めることを確実にするなどの手段により、警察拘禁に対する外部査察の独立性を保障し、

e) 警察留置場の被留置者からの不服申立てを審査するため、公安委員会から独立した効果的不服申立制度を確立し、

f) 公判前段階における拘禁の代替措置の採用について考慮し、

g) 警察留置場における防声具の使用を廃止するべきである。

■■以下、その2(←クリック)へ続く■■








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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