情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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共謀罪は団体構成員にのみ適用されるのか?~濫用に関する重大な疑問

2006-05-17 03:45:21 | 共謀罪
共謀罪は,「組織的な犯罪集団」(この意味が実は,普通の意味での「組織的犯罪集団」に限定されないことは,ここ←で述べたとおりですが…)に適用されるというのが,与党修正案(末尾に引用)に関する与党側の説明だ。しかし,ちょっと,待ってくれ。集団に所属しない人が共謀に加わった場合,その人も共謀罪で処罰されるのだろうか?もし,そうだとすると,集団にとどまらず,処罰範囲が拡大していくことにならないだろうか。

最初に思いつくのが,メディアの取材だ。マンション建設反対運動を継続的に行ってきたグループ(組織的業務妨害を目的としていることとされ,共謀罪が適用される可能性がある)の代表者が,ある新聞記者に「明日,トラックの現場侵入を体を張って拒否するから,ぜひ,取材に来て下さい」と依頼し,記者が取材に行くことを約束した場合,この記者は,組織的業務妨害罪の共謀罪になるのだろうか?

自然環境を破壊する事業者の活動に反対をしてきた環境保護団体(組織的業務妨害を目的としていることとされ,共謀罪が適用される可能性がある)の広報担当者が,あるテレビレポーターに「明日,塩ビを使ったおもちゃを展示している会場の前で,塩ビのおもちゃを買うなという示威活動を激しく行い,展示の目的を達成できないようにしたいので,取材に来て下さい」と依頼し,レポーターが取材に行くことを承諾した場合はどうだろうか?

たとえば、主婦万引きグループがあったとして、そのグループから誘いを受けて、いったんは、某日某デパートでこうやって服を万引きしようという合意をしたが、実際には、当日、参加しなかった場合、誘われた主婦は、窃盗の共謀罪になるのか?

たとえば、マンション反対運動をしている人が、自分の子の同級生母親に、「明日は体を張って止めるから応援に来てね」って頼み、同級生の母親が気軽にいいわよって答えたら、共謀罪が成立するのだろうか…。

条文上は,特に,集団に所属していなければならないとは書かれていない。そうだとすると…。

この点,国会での審議を確認できていないが,果たして,集団に所属していない者は,共謀罪に適用されないと言い切れるのだろうか?

また,仮に,国会での審議では,集団への適用を要件とすると答弁されていたとして,その答弁が守られる根拠はあるのか?

もし,集団に所属していない者にも共謀罪が適用されるとすると,メディアは,市民運動,労働運動などを取材できなくなってしまう可能性すらあるし,集団に所属していない者が軽い気持ちで共謀に参加した場合にも適用されることになる。大幅に適用範囲が広がる…。

結構,重大な問題のように思える…。


どなたか,ご存じの方は,ぜひ,この点,教えて下さい。


ちなみに,TBSの調査結果(ここ←の7daysの5月16日欄の政治欄を探すとあります)では,共謀罪について懸念を持っている人が65%もいることが分かったようです。

■■以下引用■■

 与野党で激しい議論となっている「共謀罪」を新たに設ける組織犯罪処罰法の改正について、8割近くの人が今の国会での成立にこだわるべきでないと考えていることが、JNNの世論調査でわかりました。

 調査はこの土日に行いました。与党が今の国会での成立を目指す共謀罪の新設について、組織犯罪防止の観点を重視し、前向きに取り組むべきだと答えた人が37%だったのに対し、社会生活への影響が出ないかという観点を重視し、慎重に取り組むべきが61%という結果でした。

 共謀罪について、日本弁護士連合会などが指摘している会社や労働組合などでの行為や酒の席での意気投合なども罪に問われる可能性があるといった懸念については、「懸念がある」が65%、「懸念はない」が32%で、「前向きに取り組むべき」と答えた人でも半数以上が「懸念がある」と答えています。

 また、今の国会での成立については「成立させるべき」が18%なのに対し、「こだわるべきでない」が79%にのぼり、法改正に前向きな人でも68%が「こだわるべきでない」と考えています。

 一方、国会では、与野党が共謀罪を新設する法案の修正に向けた協議を続けています。しかし与野党の考えの開きは大きく、協議がまとまるめどは立っていません。

 与党側は今週金曜日の委員会採決を目指していますが、民主党の小沢代表は16日の役員会で、与党側に歩み寄りがみられず、協議が不調に終わった場合は、徹底抗戦すべきとの考えを示し、強い態度で臨む方針を確認しました。(16日20:28)


■■引用終了■■


なお,民主党の小沢党首が,15日、「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について「犯罪の構成要件が漠としていて法定主義に反し、基本的人権を侵害する恐れがある。司直の裁量の余地が多すぎる」と批判したということです(ここ←)。


日本ジャーナリスト会議も15日,「法案は、憲法で保障された言論・表現・結社の自由を侵害し、『処罰対象は実際の行為』とする刑法の原則を根底から覆す」と、共謀罪を創設する組織的犯罪処罰法改正案を廃案にするよう求める緊急声明を発表したようです(ここ←)。

 

与党修正案
■■引用開始■■

第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的な犯罪集団の活動①【(組織的な犯罪集団(団体のうち,その共同の目的がこれらの罪又は別表第一(第一号を除く。)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属するものをいう。)】として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、②【その共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に必要な行為が行われた場合において,】当該各号に定める刑に処する。ただし、③【死刑又は無期若しくは長期5年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪に係るものについては,】実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
④【3 前二項の適用に当たっては,思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当制限するようなことがあってはならず,かつ,労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。】

※4カ所の【】内の文言が元々の政府案に付け加えられたものです。①~④は便宜上,付け加えたものです。

■■引用終了■■



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9 コメント

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精神障害者団体からの引用 (ダナエ)
2006-05-17 08:13:33
共謀罪で、

セルフヘルプグループ活動も

ピアカウンセリングも「犯罪」とされる

私たちは仲間の絆を断ち切る共謀罪成立を許しません

共謀罪とは、実際に犯罪が行なわれなくても、犯罪について話し合っただけ、その話し合いそのものが「犯罪」とされるというとんでもない法律です。



しかし全国「精神病」者集団の日常的活動を振り返ってみると、私たちの活動の基盤そのものが共謀罪として「犯罪」とされかねないということになります。



いま厚生労働省もまた各地自治体も「ピアカウンセリング事業」「セルフヘルプグループ活動の育成」ということを盛んに言っています。突然カタカナ文字の導入がされていますが、これらは、それぞれの各地の仲間が最初に出会い会を始めたときから、自然発生的に行なってきた活動です。すなわち同じ「精神病」という体験を共有しているものが、専門職対利用者というのではなく、平らな関係の中で体験を分かち合い、そして相談をしあったり、支えあったりするという活動です。



仲間による相談=ピアカウンセリングは、まず体験の分かち合いとそして医療の名に値しない医療の現実、毎日の苦痛、あるいは被差別体験、経済的苦しさなどなどの苦悩と怒りの共有とそれらへのお互いの共感を根底におきます。そして患者会の集まりはまずこうした共感を出発点としています。



そこではたとえば「あの医者は許せない痛い目にあわせよう」「あの精神病院は何とかしなきゃいけない、みんなで押しかけよう」などという発言も当然出てきます。



そうしたときに、「そんなことはしちゃいけません、犯罪になりますよ」などといって発言を押さえ込んでは、ピアカウンセリングもセルフヘルプグループ活動も成り立ちません。まずひたすら仲間の思いを聞く、そしてその思いへ共感をすることがこれらの活動の出発点です。孤立のままに苦悩していたものが、共感によって仲間の絆を確認すること、これこそが私たち障害者運動の基盤です。



共謀罪の規定では、言葉にして「そうだそうだ、一緒にやろう」とまで言わなくても、黙って聞いていること自体が「共謀」とされ、「犯罪」とされてしまいます。「痛い目にあわせよう」というのを「うなずいて聞いていた」ということが「傷害」の「共謀罪」となります。あるいはみなで抗議のために精神病院に押しかけようというこという結論が議論の結果でたとしても、「組織犯罪処罰法 組織的威力業務妨害」の「共謀罪」ということになります。たとえ実際にはその行動が行なわれなかったとしてもです。



すでに大田区では支援費の移動介護時間をいきなり月90時間以上削られた身体障害者の鈴木敬治さんが障害福祉課の窓口に介助者や支援者といっただけで、大田区は「違法状態と認定する」としていきなり窓口からビデオカメラを鈴木さんたちに向けました。



大田区の認識に従えば、行政に要求に行った、あるいは悪徳精神病院や精神科医を取り囲んで抗議したというだけで、「違法行為」ということなのです。





TB有難うございました (僕のつぶやきネットの窓から)
2006-05-17 10:28:36
この法案は廃案に追い込みたいと考えています。これからも、よろしくお願いします
TBありがとうございます (寒北斗)
2006-05-17 15:59:34
駄文にTBありがとうございました。

マスメディアでも採り上げるなどの世論のたかまりに与党も強行採決を今は控えているようですが、油断大敵!どさくさにまぎれてやらかす可能性もあるので監視が必要ですね。
質問なのですが。 (うぐぅ)
2006-05-18 12:23:24
>マンション建設反対運動を継続的に行ってきたグループ(組織的業務妨害を目的としていることとされ,共謀罪が適用される可能性がある)

>自然環境を破壊する事業者の活動に反対をしてきた環境保護団体(組織的業務妨害を目的としていることとされ,共謀罪が適用される可能性がある



これらの団体は<指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう>に該当するのでしょうか?

マンション反対の住人運動で、代表者が、住民に指揮命令している団体があるとは到底思えないのですが?
該当しうると思いますよ… (ヤメ蚊)
2006-05-18 12:33:20
分かりやすいのは環境団体ですね。多くのNPOが存在しており,それらはきちんとした定款をもち,代表者を選任し,権限も定められていることが多いですね。



マンション反対運動も継続的に行われる以上,代表者,会計担当者などの役割が定められ,一定の指揮命令系統も存在する…とみなされるのではないでしょうか?



そのように解し「うる」という点が問題です。運用面で逸脱しないことを期待しても,しばらく経てば,その期待が裏切られることは,歴史が示しているところだと思います。いかに逸脱できない「条文」にするか,こういう観点が大切だと思います。
勉強になります。 (うーん)
2006-05-26 20:39:48
住民がマンション反対で話し合った程度では、共謀罪は適用されないわけですね。



捕鯨船に体当たりしたグリンピースなど過激な活動で定評のある団体に共謀罪が適用されるリスクがあるという事でしょうか?
いいえ (ヤメ蚊)
2006-05-27 06:12:46
住民がマンション反対で話し合っても「適用の余地」はあると思うし,余地があることが問題だと指摘しているのです。



グリーンピースが過激な活動で定評があるというなら,例えば,米軍はどう評価されるべきなのでしょうか…とも思ってしまいました。
可能性? (うん?)
2006-05-27 19:53:33
ヤメ蚊さん今日は。

可能性とおっしゃいますが、住民がマンション反対で話し合っただけで「指揮命令関係が確立された」という解釈は、あまりに不自然で、異常な法解釈ですよ。



異常な法解釈を想定して反対するのであれば、法律家は「出鱈目な法律解釈を平気でやるから」新法制定は何でも反対ということになりませんか?
あまりに不自然で、異常な法解釈? (ヤメ蚊)
2006-05-28 21:56:38
どの条文を指して,私のいう「可能性」が「不自然」,「異常」といえるのでしょうか?



うん?さんは,公務員がビラを撒いたら,違法となるということについてどう思われますか?私は異常だと思う。しかし,日本ではそのような適用がされています。



条文で「これ以上限定できない」というなら,また,別の考え方もあるでしょう。



しかし,私は,明文で限定できる途はまだまだあるのに,なぜ,そのような限定をしないのか?ということを問題にしているのです。

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