情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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田母神論文の邪悪さと被ばく予防剤ひっそり販売の邪悪さ、そして、軍事オンブズマンの必要性

2008-12-31 18:12:21 | 有事法制関連
 冒頭の記事は、東京新聞12月1日夕刊の一面トップニュースだ。この記事は他社が後追いしていないように思うので、知らない人も多いだろう。米海軍原子力空母「ジョージ・ワシントン」が配備された神奈川県横須賀市で、放射能漏れ事故が起きる事態に備えて、同空母配備後の10月から、体内への放射性ヨウ素の蓄積を抑える効果がある安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)の市販が始められたことを伝える内容だ。安定ヨウ素剤を服用した際の効果は、放射能漏れ事故発生から6時間以降、激減するため、事故が起こってから市民に配布するのでは遅すぎる。そこで、事前に家庭に備えておくことが必要だ。

 ところが、横須賀市は、「災害発生後、すぐに配布できる」として、家庭での常備に反対の立場で、地元の市民団体の依頼で、いくつかの薬局が取り扱いを始めただけだという。しかも、安定ヨウ素剤の広告は厚労省の通達で禁止されており、口コミで購入を勧めるしかないのが実態のようだ。

 この横須賀市の方針は、「邪悪」の一言だ。横須賀市自らが安定ヨウ素の配布に関わると、原子力空母の危険性を広報することになり、住民の配備反対運動に火がつく可能性がある。これを避けるために、市民を危険な状態で放置しているというわけだ。

 厳密には、東京新聞によれば、安定ヨウ素の放射性ヨウ素の蓄積を抑える効果は、放射性ヨウ素の吸入前と直前(直後の誤植?)で90%以上、4時間以内で50%だとされている(原子力安全委員会の報告)。

 したがって、服用が早ければ早いだけ、被ばく効果が大きくなるのは明白だ。

 それにもかかわらず、事故が起きてから配布すればよいという言い分は、「大本営発表」としか思えない。

 
 この記事の少し前には、例の田母神論文が話題になった。これも同じ意味で、邪悪としかいいようのない内容だった。仮に、日本が当時、侵略国家だったかどうかという問題を置いておき、当時の日本の市民にとって、当時の政府や軍が「素晴らしい」もの、「輝かしい」ものだったのであろうか?そんなはずがない。無謀な戦争、地獄に市民を突き落とした彼らの選択は、唾棄すべきものであり、弁解の余地のないものだ。

 それにもかかわらず、田母神は、問題の論文(http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf)で、次のように言う。

 ■ ■ ■ 引用開始 ■ ■ ■

さて日米戦争は避けることが出来たのだろうか。

日本がアメリカの要求するハル・ノートを受け入れれば一時的にせよ日米戦争を避けることは出来たかもしれない。

しかし一時的に戦争を避けることが出来たとしても、当時の弱肉強食の国際情勢を考えれば、アメリカから第2, 第3 の要求が出てきたであろうことは容易に想像がつく。結果として現在に生きる私たちは白人国家の植民地である日本で生活していた可能性が大である。

■ ■ ■ 引用終了 ■ ■ ■

 この部分の邪悪さは、言うまでもない。田母神は、自分では分かっているはずだ。ハルノートを受け入れ、日本が本来の領土まで撤退し、貿易によって、中国・韓国と共存する関係を築こうとしている場合に、米国が日本を攻撃することができたはずがない。

 しかも、日本は連合国によって占領されたにもかかわらず現在の姿(独立繁栄)がある。それなのに、ハルノートを受け入れた場合に、占領されたよりもひどい結果(米国の植民地)になっていたなんてことが考えられるだろうか。

 もし、彼が故意に嘘をついている=「邪悪」ではなく、本当にこのような戦争観を持っていたとしたら、それこそ、子どもに大砲を持たせたようなものであり、直ちに、彼のような思想を持っている者がいないか厳しくチェックするべきだろう。

 軍人として、あの当時の情勢を振り返り、戦争は避けられなかったと主張するということは、同じ状況で、その軍人は戦争への道を開くかもしれないということだ。

 日米開戦は避けることができたし、避けるべきであったことは明白であり、避けられなかったという発想をする者に軍を任せることはできない。

 もちろん、いくらなんでも、彼がそこまでのバカなはずはないだろう。

 論文が自衛隊の地位拡大に役立つことを狙って、「歴史」をねつ造しようとしたとしか考えられない。

 彼もまた、横須賀市と同じ意味で邪悪なのである。


 同じ敗戦国ドイツでは、当時のような政府・軍隊が二度とよみがえらないように、様々な工夫をしている。東京新聞が12月24日朝刊で伝えた「議会軍事オンブズマン」もその一つだ。




 軍事オンブズマンは、ナチスを教訓に、二度と軍が悪用されないように設置されたもので、兵士の不満や異論などをチェックし、議会による軍の統制を図っているという。政治問題などの統制を巡る問題も取り扱っており、極右主義者として、警告を与え、除隊させるケースもあるという。

 このような制度があれば、田母神のような発言をすれば、直ちに(日本の現在の議会では必ずしも直ちにではないかもしれないが)、チェックされ、指導されることになるだろう。

 この制度の導入を考えなければならない。えっ、「この制度ができても、軍事オンブズマンに適切な人が採用されないと同じことだ。NHK経営委員会の人事をみてみろ」、ですって?

 その答えは、公職任命制度の民主化にあります。この件は、また、来年のブログで…。

 最後に、アフガンの空爆で家族を失い、肉片を手に持つ子どもの写真を転載したいと思います。毎日新聞10月18日朝刊1面に掲載されたものです。



 この写真を見るたびに、体が震えてしまう。そして、彼の将来がいかなるものになるのかが案じられてならない。

 軍事に頼らない平和をいかに構築するか、膨大な軍事予算を費やす陰ででも、その努力をすることはそんなに馬鹿げたことなのだろうか?
 
 どうすれば、彼のような思いをする子どもたちが少しでも減るのか、考えながら、新年を迎えたいと思います。



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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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