情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

道新が社説で佐藤正久「巻き込まれ」企図を批判!~続くのはどこだ…

2007-08-25 20:10:13 | 有事法制関連
 
 
 ついに、道新(※1)が、「駆けつけ警護*制服現場の危険な発想」というタイトルの社説で、佐藤正久議員のシビリアンコントロール無視発言を批判した。社説による批判は、第3者の声を伝えるのとは違い、社として姿勢を示すものであり、最初のイラク派遣部隊の母体となった北部方面隊のお膝元である北海道の最有力紙が、社説による批判に踏み切った意義は大きい。以下、コメントをつけながら、引用したい。

■■引用開始■■

 元陸上自衛隊イラク先遣隊長の佐藤正久参院議員が派遣当時、憲法解釈で禁じられている「駆けつけ警護」を行うつもりだったことを明らかにした。

 「(陸自の警護に当たっていたオランダ軍が攻撃されれば)情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる。巻き込まれない限りは(武器使用が可能な)正当防衛、緊急避難の状況はつくり出せない」

 佐藤氏は民放の報道番組でそう述べた。りつぜんとする発言だ。

 自衛隊は憲法によって海外での武力行使が禁じられている。政府は、海外で活動中の自衛隊が、攻撃を受けた他国軍のもとに赴いて応戦する駆けつけ警護は、武力行使につながるとして認めていない。

※(ヤメ蚊)自衛隊は、その任務を専守防衛に限るということでかろうじて憲法に反しない存在だとされている。したがって、海外での武力行使は、その範囲を超えており、明らかに意見だ※

 国連平和維持活動(PKO)協力法やテロ対策特措法、イラク復興支援特措法でも、武器使用は「自己の管理下にある者」を守る正当防衛などの場合に限定している。

※(ヤメ蚊)イラク特措法第十七条1項:対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。)、イラク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第四条第二項第二号ニの規定により基本計画に定める装備である武器を使用することができる※


 法を逸脱する駆けつけ警護を自衛官が現場で勝手に検討するなど、シビリアンコントロール(文民統制)の原則からいって決して許されないことだ。

※(ヤメ蚊)政府もそれは認めている※

 佐藤氏に公開質問状を送った弁護士や学者らは、軍部の謀略によって鉄道が爆破され、日中戦争の発端となった柳条湖事件(※2)になぞらえて文民統制無視の姿勢を厳しく批判している。

 これは杞憂(きゆう)ではあるまい。

 佐藤氏は「普通に考えて手を差し伸べるべきだというときは行ったと思う。日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」とも述べた。

 独り善がりの正義を掲げ、法の処断を恐れずにそれを実行しようと高ぶる姿には、二・二六事件などを引き起こした旧日本軍の青年将校を思わせる危うさがある。

 佐藤氏は自衛隊を退職し、先の参院選で自民党から立候補して当選した。法を無視しても構わないというような考えを持っているのであれば、国会議員としての資質にも疑問が生じる。

 集団的自衛権の行使について議論している政府の有識者会議では、駆けつけ警護を認めるべきだとする意見が大勢を占めている。

※(ヤメ蚊)有識者会議とは名ばかりの傀儡会議(※3)※

 イラクで駆けつけ警護を行おうというのは、はたして佐藤氏個人の考えだったのか。政府や自衛隊の内部で了解があったのではないか。そんな疑念も膨らんでくる。

※(ヤメ蚊)組織的なものであった(※4)※

 佐藤氏の発言は、自衛隊の派遣先は非戦闘地域だというイラク特措法の前提をも揺るがしかねない。

※(ヤメ蚊)小泉「自衛隊の活動地域が非戦闘地域だ」発言がいかに現実を隠蔽するものであったが、よく分かる※

 次の臨時国会ではテロ特措法の延長問題が大きな争点になる。

 現場の自衛官は何を考えているのか、佐藤氏のような考えがいまも現場にあるのか。この際、徹底的に追及しなければならない。文民統制を機能させるとはそういうことだ。

■■引用終了■■

※1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/45427.html

※2:日本の中国への公然とした侵略戦争の発端となった謀略事件。1931年9月18日夜、中国東北部の奉天(現在の瀋陽)近郊の柳条湖付近で発生した。日本の陸軍部隊・関東軍が、南満州鉄道(満鉄)線路上で自分で爆薬を爆発させながら、これを中国軍のしわざだとして、近くの中国軍兵営を攻撃したもの。日本は、この事件を機に中国東北部全域に侵略し(「満州事変」)、翌32年3月には日本いいなりの傀儡国家「満州国」をつくり上げて植民地にした。

※3:安全保障有識者懇談会に、安部や陸幕幹部がず~と立ち会い!そんな判断に何の意味があるのか!(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/ecf356d2308845c470db804fd99cd6ab)

※4:【転載熱望】佐藤正久巻き込まれ発言は、自衛隊としての方針だったことを裏付ける書面をNPJで公開!



なお、冒頭の記事は、【佐藤正久「巻き込まれ」発言で、北海道新聞が市民の抗議を記事に~陸自隊員を抱える地域の不安に応える】(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/af9f5ca7ed880c045eae2c3daf4a7dd0)で取り上げた道新の記事








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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日本版ミサイル迎撃システムの発するメッセージの世界的認識~極東緊張化政策に反対!

2007-08-25 10:00:21 | 有事法制関連
 ヒゲ隊長佐藤正久参議院議員の違憲「巻き込まれ」行動発言は、単に、一ヒゲ隊長の意図ではなく、自衛隊としての確定的な方針であることを確定づけた書面(下記※1参照)を発掘した「軍事問題研究会」(※2)の会員向け冊子「軍事民論」を読んでさすがに、専門的に研究している人は視点が違うと思わされた。いま、政府は、北朝鮮から発射された米国を狙った長距離核ミサイルを日本のミサイルで打ち落とすことが憲法上可能かどうかを検討しているが(※3)、そんなことは現実的には不可能であるというのだ。

 すなわち、まず、北朝鮮から米国を狙った弾道ミサイル(大陸間弾道弾)を迎撃するには、ロケット工学的にはその弾道ミサイルと同規模の大きさが必要となるという。日本で配備されているSM3やPAC3では、大陸間弾道弾の飛翔距離にはまるで及ばないため、迎撃することができない。そこで、迎撃をするには、大陸間弾道弾級の迎撃ミサイルを配備して発射するほかない。

 ところが、上記図(サンフランシスコを狙った場合の弾道弾のルート)を見ていただければ分かるように、北朝鮮から発射された弾道弾は日本の北を通過する格好になる。そして、これを撃墜するために日本から発射したミサイルの先には、ロシアが存在する(日本からのミサイルのルートは私の手書きなので不正確)。

 つまり、ロシアにしてみれば、日本から発射された撃墜ミサイルは、自国を狙う大陸間弾道弾との区別がつかないのだ。

 北朝鮮が米国へ向け核ミサイルを発射し、米国の「同盟国」である日本から別のミサイルが自国へ向け発射された…。ロシアは、直ちに、日本の米軍基地に対し、核ミサイルを発射するかもしれない…。

 恐ろしいシナリオだが、確かに、そのとおりだ。つまり、日本のミサイル迎撃システムは、北朝鮮に対して無力なのだ。このことは、冷静に事態を見極めれば、分かることだ。

 だとすると、ほかの国は、日本のミサイル迎撃システム導入の意図を、北朝鮮問題と切り離して考えるだろう。

 …ずばり、中国、ロシア向けのものであると考えるのが常識ではないだろうか。

 この構図は、米国がイラン向け防衛システムだと称して東欧に導入しようとしている防衛システムにロシアが過敏に反応している実態と似ている…あまりにも似ている。

 大陸間弾道弾に対するミサイル迎撃システムの導入が現実化したら、直ちに、中国、ロシアは、日本を潜在的ではなく、顕在化した敵国とみなし、核使用を巡る緊張した関係が生じ、果てしない核軍拡が現実化することになる…。

 夏の暑さが吹き飛ぶような「軍事民論」の論文の紹介でした。

 安倍にはこれ(※4)読めって言いたい。


※1:【転載熱望】佐藤正久巻き込まれ発言は、自衛隊としての方針だったことを裏付ける書面をNPJで公開!(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/6548165e47df4ba6a3a443d58c64dedf)

※2:http://www.npotown.net/home/military/

※3:安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会第3回会合座長記者ブリーフ要旨(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou/dai3/zachou_yousi.pdf)

※4:インリン・オブ・ジョイトイの日記(http://blog.livedoor.jp/yinlingofjoytoy/archives/2007-08.html#20070816)






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