山本係長のブログ

毎日はどうですか?みんなは幸せなのかしら。
心配症の山本です。

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焚き火カフェ

2008年04月09日 | Weblog
お疲れさまです。

東京の桜は嵐のように舞い散りました。
落ちずに上昇する花びらを見ていたら酔ってきました。

先日のことです。
例によって仕事がはかどらずに
海に向かう方面の外回りをこっそり探していました。
しかし例によって部下に先を越され
私は新橋駅のホームで考えたのです。
何番線に乗るべきなのか。

晴れていて絶好の海日和。
密かに若大将に憧れを持つ私はその時、
新橋にいながらにして波の音がしたように感じたのです。
何が何でも、何が何でも
海が私を呼んでいる。
多分。

定年を控え、仕事もないのに海に外回りしては
会社に言い訳できません。
でも、一回くらい。そう、一回くらい。
背徳行為してもバチは当たらない。
と、思います。

私は高見盛のように気合いを入れて
滑り込んできた東海道線に乗り込んだのです。
ワクワクして多摩川を越える時には感動を覚えるほどでした。
若大将のふるさと茅ヶ崎に行くつもりが電車は大船行き。
ならばと横須賀線に乗り換えてみました。
私は若大将を捨ててタフガイに下車しました。
逗子です。

私のイメージ逗子駅は
駅前がもう海なのかと思っていましたが街でした。
海はどこですか。
なんて、こんなサラリーマンが平日の昼間に聞けません。
身投げかと思われて通報されたら困ります。

するとバスが来ました。
「佐島マリーナ」と書いてあります。
間違いなくマリーナには海があるはずです。
しめしめとバスに乗り込み最前席に陣取りました。
さあ、あとは海が現れてくれればいいのです。

しかしバスは行けども行けども街の中を走ります。
タフガイ石原裕次郎を含め、海なんて幻想なのかもしれない。
私は会社をサボって何をしているのだろう。
そんな夢破れた時にバスが左折すると海が見えました。
輝く海に子供の頃に連れて行ってもらった夏がよぎります。
先ほどまでの罪悪感は消えてブザーを押す機会をうかがっていました。

「次は久留和海岸。お降りのお客様は…」
蚊にも逃げられる私が俊敏にブザーを押す決断をしました。
パタンとバスの扉が閉まりバス停にひとり置いていかれました。
特に何にもないところです。
道路を渡って海岸に下りる道を探しました。

念願の海岸は思ったよりも小さく拍子抜けでした。
海岸には焚き火をしている女性がひとり。
…焚き火?
焚き火をしている女性がいらっしゃいます。
何故、焚き火をしているのですか。
聞きたいのに聞けない私。
本を読みながらコーヒーを飲んでいるようです。
ご自分であれを用意してきたのだろうか。
私は腰を下ろししばらく焚き火の謎について考えていました。

女性は本を閉じると焚き火の炎を少しいじり
目を海のほうにやりジッと動きません。
何だかその女性の時間は私とは違う時間のようでした。
そして立ち上がり帰っていったのです。
焚き火をそのままにして。

やりっぱなしとは!?と静かに呆然としていると
長靴をはいた小柄な男性がバケツを持って歩いてきました。
そして焚き火を片付け始めました。
地元のいい人なのでしょうか。
男性は慣れた手つきで片付け終わりこちらを向きました。

「こんにちわ!」と挨拶してくれました。
私はひじょうに焦って会釈をしました。
「どうも、暖かいですね。」
は、は、話しかけられしまいました!
「あ、はぁ、ええ。暖かいです。」
「こんな日はお仕事なんて嫌ですよねぇ。」
何で分かってしまったのだろう。スパイか。
「さっきの女性もお仕事サボっていらしたんですって。」
確かに「女性『も』」と言いました。
「焚き火…」
焚き火?焚き火は罠か何かなのか?
「焚き火してみませんか?」

話を聞くとその男性はすぐそこで「3knot」という店の店主で
ここ久留和海岸で焚き火カフェを開いているのだそう。
焚き火カフェといっても準備と片付けだけを請け負い
あとはお客さんが勝手に焚き火をするというものだそうで
焚き火セットと一緒にポットでコーヒーを渡してくれるという。
「きっと楽しいですよ!」

そうして私は大人になって初めての焚き火をしたのです。
なんでこんなに楽しいのか意味が分かりません。
そして頂くコーヒーの美味さも然りです。
サボり万歳!サボり万歳!
開き直るとはこのことなのでしょうか。
そうだ、携帯電話の電源だって切ってやるのだ。

そこへ焚き火を撮影する一組が現れました。
そのうちのひとりが私のところにやってきて
取材させて欲しいというではありませんか。
顔写真は遠慮いただきたいと丁重に断りましたが
「話だけ。」と笑われたので赤面してしまいました。

結局、私は1時間もぼんやりと小さい久留和海岸を見つめていました。
太陽がかたむき始めると次第にソワソワしてきました。

私と連絡がつかなくて会社がパニックになっているのではないか。
部下が自宅にまで連絡して妻が親戚中に電話しているのではないか。
空から海から捜索されてテレビで中継されているのではないか。

しかしサボった男の面子をつぶしてなるものか。
何度も何度も携帯を取り出して開いたり閉じたりしました。
係長たるもの責任がある。かもしれない。
言い訳せずに男らしくサボったと言おう。

私は思いつめた挙句に会社に電話をかけました。
「山本ですが…」
「あ、係長。何ですか?」
「ええっと、今日は直帰するから。」
「はい、わかりましたー。失礼しますー。」

私は決めました。
焚き火をお替りしよう。
革靴に砂を入れながら店まで歩きました。




    焚き火して 『サボり』の定義 気がついた
             やるべきことが 在って成り立つ




失礼しました。




追伸:この時の取材の記事は小学館『BE-PAL』5月号についでに顔写真も掲載されています。
どうぞご覧ください。
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