東京流行通訊

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

人々の心を信じること・・・

2008-05-26 09:47:42 | 東京写真日記
 祖国では国中でろうそくをともし、死者の冥福を祈っている。5.12(四川大地震)の犠牲者追悼の日に、私は再び眠ることのできないつらい夜を過ごした。こんなに長い時間、真剣にCCTV4(中国中央テレビ国際チャンネル)を見たのは初めてである。災害との多くの苦しい戦いの中で、一人のごく普通の女性の一言に、私は涙を流さずにいられなかった。――それは、母親と二歳の愛娘を初めとする十人の身内を失いながら、昼夜にわたって別の現場で何日も救助を続け、ついに倒れてしまった女性警察官、蒋敏さんである。記者の「なぜ家族を顧みずに第一線で奮闘することができるのですか?」という質問に対して、彼女はあたりまえのように答えた。「あちらがみんないい人ばかりで、両親と子供はもし生存であれば、きっと彼らを助ける人がいるでしょう。」

 子どもの頃、よく大人に言われたものだ。「人を傷つける心を持ってはならない。用心する心を持たなければならない。」大人になってからは、見知らぬ人の善意の微笑みに対して疑問を持ったり、街で署名活動や募金活動を見ると、騙されるのではないかと恐れたりせざるを得なかった。だが今、涙も出ないほど悲しく、被害に遭った四川の人々にできる限りのことをしてあげたいと心から思っているのに、どうしたらいいのかわからなくなっている自分に気づいた。

 そんな時、大げさなことをしなくても善意を伝える機会があることを、友人が教えてくれた。家の近くの大通りを行くと、両側にいくつもあるコンビニのレジのところに、「四川大地震への募金」とかかれた小さな紙が貼ってある。セブン・イレブンの募金箱には、すでにたくさんの一万円札が入っていた。ampmでは、募金は日本赤十字社を通じて被災地の住民に届けられると明記されている。ファミリーマートはまだ開店二日目なのに、募金活動を熱心に行っている。ローソンの募金の表示は、店のマークと同じようによく目立つ。ポプラでは、お菓子のプラスチックケースを改造した募金箱に、暖かい心が感じられた。サークルKサンクスでは、連名で募金を行っていた。無数の見知らぬ日本人が、年配の方も若者も、さらには元気いっぱいの少女まで、善意を静かに投入し、優しい心を届けようとしている。

 人々の心を信じることこそが、蒋敏さんの感動的な行動を支えるシンプルな原則である。だが、CCTVの短い報道で蒋敏さんのこの言葉が伝えられただけで、その他のすべてのメディアではこの言葉は、意図的にか無意識的にか忘れ去られ、もっと人を感動させる「大言壮語」にばかり焦点がしぼられた。

 以前、台湾の作家、三毛(サンマオ)の本を読んだとき、夫のホセに対する彼女の「あなたに対して、私は無防備なの」という心からの言葉が、私の心を強く揺さぶった。この世界には警戒心や人と人の間の溝があまりにも多い。そのために外国の緊急救援隊が災害現場に駆けつけるのに遅れてしまい、明らかに巨額の企業募金を提供したのにネットで批判されるという誤解が生じてしまった。我々は、人の善意を信じようではないか。それによって災難が防げるわけではなく、時には募金詐取を狙う地震便乗のさまざまな手口にあうかもしれない。だが、我々の住む世界には真心が必ずあるはずだ。心に隔てを設けるのをやめれば、この災難の多い地球にあって、人類は手を携えて生存し、発展していくことができるのではないだろうか。


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2 コメント

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イランカラプテ (美幌音楽人)
2008-05-28 07:19:26
512我要愛♪人間有愛、四川大地震の被災者に捧ぐ。

冬来、春不遠。(冬着たりなば、春遠からじ)
冬の厳しさの中にすでに春は来ているんだね。
そうさ、希望ひとつで生きるのさ。
健康(家庭 学校 社会 経済 そして震災)生活の挫折は、人生の挫折ではないんだね。
そうさ、絶望しないで一歩前進してごらん。あなたの人生がチョッピリ? いや、大きく変わるかも!

東京で暮らす中国人さんの祈りと信じる心が北海道のオホーツクブルー(海と空)に伝わってきました。
健康留意、ガンバレ!
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心から感謝いたします (yy)
2008-05-29 09:29:51
まだ会ったこともない一人の異邦人に、これまでにないほどの信頼と励ましを与えてくださったことに、本当に心から感謝します。
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