この情報に関しての動きは、今、どのような情況になっているのでしょう?
法務省:「区分所有法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月16日開催決定)
区分所有法のみの改正、ということではあり得ません。
区分所有法・被災マンション法・マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法
等の改正法案が一本化され審議も一括して行われるのでしょう。
受験生さんにとっても、気になるところですね。
来年度あたりに受験しよう、とお考えの方にとっては、特に関心を持たざるを得ない情報
でしょうね。
さて、[被災マンション法‥問題では、被災区分所有法と表記されています]は、
マンション管理士試験においては、一問でしょうが例年出題されるといってよい
法律です。
令和6年度に登場したのは、以下の問題でした。
〔問 11〕
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、区分所有建
物の全部が滅失した場合において、区分所有建物の敷地利用権を有する者
(この問いにおいて「敷地共有者等」という。)が開く敷地共有者等集会
(この問いにおいて「集会」という。)に関する次の記述のうち、被災区
分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、区分所有建
物の敷地利用権は数人で有する所有権その他の権利とする。
1 集会の招集者は、敷地共有者等に対して、書面又は電磁的方法によらずに、
口頭によって招集通知を行うことができる。
2 集会の招集の通知は、敷地共有者等が政令で定める災害が発生した時以後に
管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛
ててすることができる。
3 滅失した区分所有建物の専有部分を区分所有者の承諾を得て占有していた者
は、集会に出席して意見を述べることができる。
4 区分所有建物の全部が滅失した後の敷地を保存し、及び集会の決議を実行す
るため、集会の決議によって、管理者を選任することができる。
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1.集会の通知は、法律上は口頭でも足ります。
2.被災区分所有法3条2項等。
3.同3条で、区分所有法44条は除外されています。
肢の占有者は、集会に出席して意見を述べることができません。
4.同2条で管理者を置くこと、3条で区分所有法の26条1項の準用が示されています。
正解は、3 でした。(区分所有法44条は、集会においての(占有者の意見陳述権)の規定です
が、準用のことが被災区分所有法3条では除外されています)
(敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等集会に関する区分所有法の準用等)
第三条 敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等が開く集会(以下「敷地共有者等集会」という。)
については区分所有法第一章第四節(第二十六条第五項、第二十七条及び第二十九条第一項ただし書を
除く。)及び第五節(第三十条から第三十三条まで、第三十四条第二項、第三項ただし書及び第五項た
だし書、第三十五条第一項ただし書及び第四項、第三十七条第二項、第四十二条第五項、第四十三条、
第四十四条、第四十五条第四項並びに第四十六条第二項を除く。)の規定を、議事録並びにこの項にお
いて準用する区分所有法第四十五条第一項及び第二項に規定する書面又は電磁的方法による決議に係る
書面並びに同条第一項の電磁的方法による決議及び同条第二項の電磁的方法による合意が行われる場合
に当該電磁的方法により作られる電磁的記録の保管及び閲覧については区分所有法第三十三条第一項及
び第二項の規定を、それぞれ準用する。・・・・・
・・・・・以降は、いわゆる[読み替え]に関することの規定であって、準用する、準用されるという
ことの部分の記載は、さほどの量ではないことが多いです。[読み替え]のことも大切なことですが、
どこが準用されるのかを知ることが より大切 です。
[読み替え]の部分の文字数に負けないでください。3条などは、1対3ほどで、読み替えのことが、
3倍もあるのです(1対3の1のほうをナントカ眺めてみてください。
3のほうはサッと眺める程度で差支えないことが多いですから)。
被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 区分所有建物の全部が滅失した場合における措置(第二条―第六条)
第三章 区分所有建物の一部が滅失した場合における措置(第七条―第十二条)
第四章 団地内の建物が滅失した場合における措置(第十三条―第十八条)
第五章 罰則(第十九条)
附則
(目的)
第一条
この法律は、大規模な火災、震災その他の災害により、その全部が滅失した区分所有
建物の再建及びその敷地の売却、その一部が滅失した区分所有建物及びその敷地の売
却並びに当該区分所有建物の取壊し等を容易にする特別の措置を講ずることにより、
被災地の健全な復興に資することを目的とする。
(敷地共有者等集会等)
第二条
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより建物の区分所有等に関する法律
(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専
有部分が属する一棟の建物(以下「区分所有建物」という。)の全部が滅失した場合(その
災害により区分所有建物の一部が滅失した場合(区分所有法第六十一条第一項本文に規定す
る場合を除く。以下同じ。)において、当該区分所有建物が第十一条第一項の決議又は区分
所有者(区分所有法第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)全員の同意に
基づき取り壊されたときを含む。)において、その建物に係る敷地利用権(区分所有法第二
条第六項に規定する敷地利用権をいう。以下同じ。)が数人で有する所有権その他の権利で
あったときは、その権利(以下「敷地共有持分等」という。)を有する者(以下「敷地共有
者等」という。)は、その政令の施行の日から起算して三年が経過する日までの間は、この
法律の定めるところにより、集会を開き、及び管理者を置くことができる。
※ ・・・集会を開き、及び管理者を置くことができる・・とあるので、・・
規約は登場していません。
(敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等集会に関する区分所有法の準用等)
第三条 敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等が開く集会(以下「敷地共有者等集会」
という。)については・・第五節(第三十条から第三十三条まで、・・・第四十四条、・・
を除く。)の規定を、それぞれ準用する。
※ 区分所有法35条は、(集会の通知)の規定です。
※ 区分所有法44条は、集会においての(占有者の意見陳述権)の規定です。
被災区分所有法のことですが・・・
基本書のみではなく、条文の参照をもなさっているでしょうか?
条文数は、さほど多いわけではありません。
準用が多いのですが、ポイントとなる枠は、とてつもなく複雑ではないのでは
とも考えられます。
(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法)という法律の全体を眺める
意味で条文全体を眺めてみることは、とても有益な学習方法だと、考えられま
す(とにかく、攻撃目標の全体の姿を確かめられます)。
条文を眺めたことはなくいわゆる基本書に触れての学習のみの方は、数度、条
文を読んでみることを経験なさってはいかがでしょう。とにかく、全体にブツ
カル(体当たりする)ことができると思うのです。
モチロン、被災区分所有法の学習についてだけではなく、法系の学びにおいて
に共通のことですが(基本書のみで、法規に直接触れたことがない、という受
験者さんがいたりすることがありますが、なんともいえない不安感を覚えてし
まうのです・・・)。
大規模な火災、震災その他の災害により、
建物の全部が・建物の一部が・団地内のそれが、
滅失した場合の措置などに関しての理解度が試されるのです。
つまるところは、条文の解釈力が合格者として相応しいかどうかを判断される
のです。
※
法系の学びにおいて、
基本書は条文解釈のためのものであるといえるのでしょうが、
その基本書の拠り所は、それは条文そのものである、ということと解されるでしょう
(自身には、そのように思われます)。
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《被災マンション法》と呼ばれることが多いですが、正確には、この法律の適用される
対象は、法律上のマンションに限られず、区分所有建物全般に適用です。
被災区分所有法と表したほうがよいのでは、と、思っています。
(建替え円滑化法の適用対象は、[マンション]です)
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