おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

古い校舎

2008-05-02 | ■ サマザマな おはなし


国語の授業が終わった

席を立ち 隣のクラスの憧れの君でも眺めてこようかな ??(冗談です・・・これくらいの

行動力がある性格なら 人生の色彩もケッコウちがったのでしょうが・・・) と 歩き始めると

なぜか先生が振り返り クラスの5、6人(国語の授業が好きだったような連中)が集められた

教室の片隅で先ほど終えたばりの授業に関し質問を受けはじめた

“ この子は どのような境遇なのかな 
まだ施設にいる子かな
それとも ・・・・・ちがうのかな ”


といったようなことだった

文中の主要登場人物である少女の境遇について一人づつ順番に聞かれ 私は最後の回答者だった

前の5、6人は全員私の考えとはちがった答えだった

私は つい 皆と同じだと答えてしまった

先生は ンーん そうか と残念そうに首をかしげ 肩を落として教室を去った



下校の道すがら わたしは 自分に 少なからず
腹をたてていた

どうして 自分を貫かないのだろう
多数意見に引きずられ
情けない こうして後悔している  
どうも自分は 大事なところで
他の人への気兼ねから自己主張をおさえこむところがある


首をかしげながら教室を去るときの先生には

自分の教え方には どこか改善の余地があるのだろうな
といっているような
背中の寂しさがあったように 
中学一年生の自分にも感じられた

ゴメンナサイ 教え方に誤りはなかったですよ

と 告げたい衝動にかられる
 
40年以上経た今でも





昭和40年頃の 中学一年国語の教書のなかの小説


内容は 身なりは擦れているがほんとうのところはとても純粋なこころの少女を主人公に  
人間の性善を悲しくも描こうとしているようなものだったような記憶がある

いまだに作者も 題名もわからない

志賀直哉の作品? のような雰囲気の文章だったが



40年以上も前のことが
このように 今でも ときどき 私を尋ねてきます



その先生のその後は 残念ながら わからずにいます


                      


〔事の次第を載せることが遅れてしまってもうしわけありませんでしたが
実は この小説は 川端康成氏の ≪掌の小説 にある [夏の靴]≫ であることを
ある方から教えていただいていたのでした        文庫本では四ページのものです
小説の最終行に 先生の問いの答えが示されていたものなのですが  何故なのか
(私の記憶が曖昧すぎたため と思われますが)ボンヤリとした内容の記事になって
しまっていました 
でも この記事をださせていただいたときの情況のままにしてあります
スミマセン 陳謝もうしあげます
                                         2020・7・24記〕