野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

五泊六日奥秩父の山旅 平成23年9月16日(六日目) 大弛小屋から瑞牆山荘

2011年09月23日 | 山の思い出
(飯森山・瑞牆山の背後に八ヶ岳)

ついに最終日、六日目の朝を迎えました。外は寒い、寒い。寒さで目覚ましが鳴る前に目が覚めました。既に長袖を着て寝ていたので、更にフリースを着込んで上に雨具を羽織って撤収します。見ると他のテントはまだ眠っているようですね。テントを触ってみると全く濡れていません。換気とテントの設営が上手くいったようです。ザックに荷物を詰めて背負ってみるとだいぶ軽くなりました。水は3リットルちょっとですし、食料も減りました。そして今日は濡れ物もない。テント泊をする実力もこの五日間で身に着いてきたのかもしれません。

小屋の前で準備をしていると小屋番さんが出てきてくれました。最後の挨拶をして大弛峠へ向かいます。舗装された駐車場から非舗装の林道側へ入る辺りから、金峰山への道が延びています。まだ暗い樹林帯の道を歩いていると比較的軽荷の男性が追い抜いていきました。追いつけなくも無さそうな感じがしましたが、今日はもうのんびりと歩けば良いのです。この時点で瑞牆山に登ることも諦めていました。樹林帯の中は風があまり通らず、フリースを着込んだままでは少し暑いくらいです。軽いアップダウンを繰り返して朝日峠に到着。ケルンが積まれている以外は特に何も無い所です。ここでフリースは脱ぐことにしました。

(朝日峠)

朝日峠から先はやや急な登り坂。2528のピークへ近づくと段々と高い木が少なくなります。朝日岳の手前で露岩の登りとなり、周囲もハイマツ帯となって展望が開けます。今日も富士山がくっきりと見えます。振り返れば国師ヶ岳から朝日が昇ってきています。露岩帯を抜ければ古い看板が立つ朝日岳(2579)に到着です。朝日岳の山頂自体は枯れ木に囲まれてそれほど展望が良い訳ではありません。ただ金峰山側へ少し下れば鉄山から金峰山へかけての優美な稜線が目に入ってきます。鉄山の向こうには雲の上に南アルプスもはっきりと見えます。

(朝日岳手前の露岩の登りから富士山)


(露岩の登り 歩きにくい)


(朝日岳)


(枯れ木の向こうに富士山)


(鉄山から金峰山の稜線 五丈石が見える)


(鉄山の向こうは南アルプス)

朝日岳を下ると再び樹林帯に。フリースは脱いだもののまだ結構暑い感じです。木の根が張り出して歩きにくい道を進むと鉄山と書かれた看板が木に立てかけられています。道は二つに分かれ、巻き道が正規の縦走路ですが、鉄山のピークに向かっても確りとした道が付けられています。鉄山を経由することもできるのだけれども、ここは素直に巻き道を選びます。フラットなわりには何だか歩きにくい尾根道を進むと傾斜が増してきました。いくらかジグザグに登っていくと周囲にシャクナゲが目立ってきました。だいぶ高度が上がってきたのでしょう。この辺りで下から登ってきた同年代の男性に追い抜かれます。この人も軽荷でした。頭上が明るく、いよいよ山頂への期待が高まってくると不意に前方が開けてきます。金峰山の肩の部分に出ました。あとは緩やかに山頂を目指すだけです。

(鉄山分岐)


(頭上が開けてくる シャクナゲが目立ちます)


(金峰山の肩に出る 前方は同年代の男性)

ハイマツの生える道は展望は良いのですが、風がとても強い。帽子を押さえつつ進むと前方に大きな岩が積み重なっているのが見えます。五丈石とは形が異なりますが、おそらくあの辺りが山頂なのでしょう。大きな岩を乗り越えていくと標識が立っています。ついに金峰山(2595.0)の山頂に到達しました。ほぼ360度の展望が広がりますが、ゴロゴロとした石の上で休憩には適しません。写真だけ撮ってその先の五丈石まで行くことにします。山頂標識のある所から見るとそれほど大きく感じなかった五丈石も、近づくとなかなか巨大です。五丈石前の広場にザックを下ろそうとしましたが、風の通り道なのか帽子が吹き飛ばされます。ゴム紐で首に引っかかった帽子をしまって、ようやくのんびりと展望を楽しみます。北東方向へ目を向ければ、端正な三角錐の飯森山と白い岩が突き出した瑞牆山の向こうに八ヶ岳が姿を見せています。そこから左へ目をやれば南アルプスの峰々が雲の上に頭を覗かせています。遠く御嶽が薄っすらと見え、逆に右へ目をやれば鈍重な小川山の向こうに浅間山が連峰となって見えます。


(山頂が見えてきた)


(金峰山頂)


(五丈石)


(南アルプス)


(国師ヶ岳方面を振り返る)


(左奥に薄っすらと御嶽が見える)


(富士は孤高の存在)


(鈍重な小川山の向こうは浅間連峰)


(五丈石前の広場から 風が強いせいか雲が凄まじい)

展望を楽しんでいると先に着いていた男性が五丈石を登ろうとしています。しかし中段くらいに来たところで下りてきてしまいました。今度は私が挑戦してみましたが、男性が達した所にも到達できずに断念してしまいました。だって風が強いんだもん。だいぶ長いこといたのでゆっくりと下山することにします。下山ルートは北側を少し巻き気味に付けられているため、風は蔭になるとかなり弱くなります。道は尾根上の岩峰を一つ一つ越えながら下っていきます。岩峰に近づくと風が強いので要注意。順調に高度を下げていくと長野県側の斜面に大岩が突き出しており、その側に金峰山小屋の屋根が見えます。よくあんな所に小屋を建てたものです。小川山の屋根岩の向こうには川上村の高原野菜畑も見えます。瑞牆山などを眺めつつ下っていくと千代の吹上と呼ばれる山梨県側の絶壁が見えてきました。金峰山小屋への道を分けるとその絶壁の上を通っていきます。おそるおそる覗くと凄まじい岩壁です。恐ろしい絶壁の道を下ってしまうと段々と周囲の木が高くなってきます。道標の立つ砂払いノ頭からは樹林帯の中を下ります。ここで雨具を脱いで身軽になりました。

(千代の吹上から砂払いノ頭までを眺める)


(瑞牆山)


(金峰山小屋)


(屋根岩の向こうに高原野菜畑)


(尾根から南アルプスを眺める)


(千代の吹上付近の絶壁)


(砂払いノ頭)

樹林帯の中の急坂は踏み跡が交錯し、ロープを張ってないと迷ってしまいそうなほどです。木の根も張り出しているので、足を引っ掛けないよう細心の注意を払って下ります。ここは結構時間が掛かりました。傾斜が緩くなると苔生した奥秩父の森の雰囲気もいくらかあります。大日岩手前は広い尾根で闇テンが一張りできそうなほどの広場となっています。樹林を抜けた先の大日岩は見た感じにはこじんまりとした岩です。上に乗ったら気持ち良さそうだなぁと思いつつ、縦走路に戻って下っていくと随分下までが大日岩でした。岩の大きさに慄きつつ下りにくい急坂を下ると尾根の南側を巻く道へと変わります。いくらか緩やかとなった道を進むと下のほうに建物が見えてきました。大日小屋です。樹林に囲まれた小屋のように見えましたが、縦走路から下らなければならないので、小屋へは寄りませんでした。


(大日岩)


(大日小屋)

大日小屋から富士見平へは大岩脇の「フジミ」とペンキ書きされた方向へそのまま巻き道を進みます。飯森山の巻き道は決して歩きよいものとは言えません。左側が広い尾根になっているなぁと感じる辺りは鷹見岩への分岐となっています。分岐を過ぎると急坂に。ここは登りでも下りでもシンドイなぁ・・・。長い下りに飽き飽きしてくる頃、植えられた風な感じの枯れた植物が目立ってきました。下のほうには建物も見えます。おそらく富士見平小屋でしょう。下りきると上から見えた建物はトイレでした。その脇に立派な富士見平小屋の母屋があります。今年から管理人が常駐する小屋となったということでしたが、今日は外出中のようでした。小屋の周りは樹林の中の広場となっていて、テントサイトとしては気持ち良さそうです。小屋の左から瑞牆山への道も延びていますが、もう登りません。というか登れません。

(富士見平小屋)

ここまで来ると瑞牆山を目指す日帰りの登山者が次々と登ってきます。もう奥秩父らしい苔生した登山道というよりは、明るい緑が眩しい広葉樹の道となってきました。この辺りも踏み跡が交錯し、時々道を外しますが、下から登ってくる人に気付いて道を戻ります。傾斜が緩むともう危険な所はありません。フィナーレに相応しい美しい森をのんびりと歩きます。森の奥に建物が見えてくれば、この山旅も終わりです。瑞牆山荘へ着きました。もっと名残惜しく感じるものかと思いましたが、実に晴れ晴れとした気分です。それだけ充実していたということでしょうか。山荘前の山梨峡北交通バスのバス停を見ると、あぁ、十分前に出発してしまっていたのか…。木陰でバスを一時間半ほど待ちながら、またいつかこんな長旅をしてみたいものだと思うのでした。

(広葉樹の登山道)


(瑞牆山荘)


(バスの車窓からの風景)

DATA:
大弛峠5:30~6:06朝日峠~6:44朝日岳~7:13鉄山分岐~7:44金峰山8:13~8:39金峰山小屋分岐~8:58砂払いノ頭
~9:43大日岩~10:12大日小屋~10:22鷹見岩分岐~10:51富士見平小屋~11:30瑞牆山荘(山梨峡北交通バス75分)
韮崎駅

山梨峡北交通バス 2000円
途中増富温泉(増富の湯)と明野温泉太陽館を通ります

地形図 金峰山 瑞牆山

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