ブラックファイブ

あのDr.ブラックジャックの半分以下なので、ファイブとします。命燃え尽きるまで、経験と知識からブログをやろう。

白い巨塔 4

2004-12-20 21:09:06 | Weblog
 新任教授の赴任、全ての新任教授は新たな地位に全勢力を注ごうとします。医学の進歩、新しい教育・診療・研究の為には当然です。ただ、この教授の認めた方法でなければならない。前任教授が先輩ならある程度は踏襲がある。しかし、無関係や対立していた方の場合は、主流が変わる。教授の得意分野が主流、それ以外は傍流、例えば研究で今までの実績が如何にあろうと。「君たち、今までのを継続発展させてくれ」というが予算はガタオチ。
 外科手術などもっと目立つ。帝大出身某教授は辞める頃はその筋の権威になっていた。でも、赴任時は、学問はあるが手術の手技実力は? この赴任大学で腕を磨いたのです。前に書いたように。手術の術者(主役)は教授が決めるのです。「これは私がやる」と言えば誰も反対は言えないのです。手術時の出血量は多く、患者は知らない。何でこんなに輸血されたのかも。“単に手技が下手だったのです”それだけ。
 外科医師はどこかで手技の修練をしなければなりません。でも、何かひっかっかる。もっとスマートなやり方があると思います。

 今日の朝日新聞の朝刊に電子カルテのことが書いてあった。一番のメリットは書字がみんな読める。二番は伝達が早くなった。この二つが最大と考えます。今まで、薬の処方箋もカルテも解読に苦労していた。伝票の到着に時間がかかり、更に解読に手間取っていました。

 この続きはまた明日。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白い巨塔 3

2004-12-19 18:28:11 | Weblog
 昨日は窓際族の話で終わった。負け組は干される。外来表から名前が減る。「君は業績も上がったし、ボチボチ行き先を考えてくれ」って感じ。即ち、外来担当から外れていく。勿論、この年だから病棟での受持患者はいない。外科ならもっと目立つ。来週の手術を決めるときに教授が言う。手術予定表を指して、「これとこれとこれとあれは、私が切りましょう」・・・とおいしいいとこは全部頂き。そして、対立候補だった例えばC助教授に対して、精々が後進の指導の為にといって、「C君、教室のD君を術者(主役)にして、教えてあげて下さい」と主役の座は与えてくれない。
 外来担当の数が減らされ、手術にも余り入れず、それでも病院に行って何するの。回りの寂しげな視線に耐える日々。それでも巡り運が良ければ、近隣の比較的大きい部長のポストが空くこともある。
 そうでないときは、本意では無いところに行くか、開業してしまうかって言うところ。いずれにしてもしばらくは辛抱の毎日。
 外来などで患者さんから「先生、外来に出る日が少なくなったのですか」なんて聞かれたら辛いね。
 患者さんは誰が教授選を争ったなんて全く知りませんから。

 先週後半はあわただしくて、指示ミスをしてしまった。この土、日、月の点滴は何にするかを指示してくるのを忘れてしまったのです。勿論、病棟から点滴の指示(こうして下さいという方針の記載)がありませんと電話が来て、電話越しに口頭指示(口で依頼し、文書には後日記載する事になる。本来は聞き違いなどがあり、極力やってはいけない指示の出し方)をしました。
 ここで、看護師さんが記載が無いからとそのまま何もしないと、点滴無しで患者は乾いてくる。
 医師の指示忘れが悪いのに決まっていますが、まあ気を利かせてくれるのです。
 新人看護師が教科書通りに行動した場合はぞっとする。・・・忘れたままにされていることを想像して下さい。こんなミスは年に数回以上必ずやってしまう(私だけではないですけどネ)。

 明日は新任教授の話をしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白い巨塔

2004-12-18 20:27:44 | Weblog
 昨日は教授選について記した。まあ、昨日のは帝国大学の植民地における総督の座をめぐる主導権争いだった。これに、母校の候補が残り三人に入るとすさまじくなる。 マジ! 例えば、一人が帝国大学系、二人が母校系となると、、浪速大学の様に、母校の票の取り合いになり、帝大系に漁夫の利をさらわれることもある。母校の教授になるチャンスはたった一回しかない。これを、意地のために互いに足を引っ張り合う場合も出てくる。ミジメ! 負けた方はやがて去るしかない。他流試合の帝国さんはまた別の教授選に出ればいいが、母校の負組は、もろ居心地が悪く、適当な転出先が決まるまでは、たまらないでしょうね。帝国さんが教授で母校が負けになると、すごく辛いよ、居残っている間は。「この一年で行く所を決めるように」、「遠方ならいいポストがあるよ」とか教室内のリストラですね。勿論、子分がいたら同罪ですね。テレビほど、直、すぐには片道切符で島流しにはならないけど、毎日の出勤そのものが凄いストレスだろう。
 それでも居残ったらどうなるって、“窓際一直線、窓際から離れることはありません”。

 明日は、帝国系教授の誕生について語ろう。植民地の惨めさも。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白い巨塔

2004-12-17 23:46:41 | Weblog
 唐沢君の「白い巨塔」、まとめて再放送。君は田宮君のも見てるか。唐沢君は“肺癌”、田宮君は、“胃癌”この違い知ってるよね。
 さて、折角だから私の知っている「白い巨塔」について語ろう。前半のハイライトは教授選挙。私の出身は関東の某大学医学部。浪速大学は関西の雄だが、私の所はその系列大学とでもいう立場。はっきり言うと、T帝国大学の植民地だった。私が卒業した頃は、まだ植民地の独立運動が起こり始める前だった。教授会の臨床系の大半は、帝国大学かその息のかかった教授ばかり。かすかに私の母校教授もいたが、たった一人。たった一人の反乱なんてものは存在しない。無視されて終わり。それでチョン!
 卒業して数年後に、某内科の教授選挙があった。一応、形式上公募にはなっているので、帝国大系も母校出身も、その他日本中から関東地方に来たい人が応募してくる。ドラマの通り、形式的に候補を3人に絞っていくのだ。誰が絞るって、決まってるよ、この帝国派教授会ですよ。予想の通り、私の母校の教授候補は予選落ち。
 残った三人は帝国大卒2人、関東某有力私大卒1人。勿論、この3人目は員数合わせ。そして前者の2名の内のどちらにしようかと、帝国大学内部のあらそいになる。言うなれば、ローマ帝国の属州の新しい総督は、アントニーかブルータスかを決めるようなものだ。
 それでも、それぞれはやっぱり教授になりたいので争う。A候補を推すX教授は「Aクンは学問業績は十分で負ける要素が無い」と自信満々。B候補を推すY教授は「Aクンにはスキャンダルがある」となんだよこれはって感じ。結局の投票でB候補の勝ち。これはBクンがAクンに勝っただけではなく、Y教授がX教授に勝ったことにもなり、この後、XはYに頭が上がらなくなったことは言うまでもない。
 私はまだペーペーだったので実弾がとんだかどうかは知るよしもなかった。
 教授選挙は業績実績だけでは決して勝てないのです(ノーベル賞級の業績を上げていれば別格だけどね)。
 今日のブログが遅くなったのは、先程、病院に一人を見送りに行っていたからです。見送り=逝ってしまったのです。私をひいきにして、何でも相談してくれた方を見送るのは寂しく辛く悔しいものです。
 してあげられたことなんて殆どない、何とか軟着陸できたかなって感じで自分を慰めるしかありません。

 明日は、また「白い巨塔」の続きを語ろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

視線

2004-12-16 21:01:17 | Weblog
 今夕、一昨日に亡くなった同僚のお通夜に行きました。正面の故人の写真は七:三に構え、その視線は写真からみて右方を見ていました。ベラスケスは絵の中に自分を書き込んでいて、その人の視線は絵を鑑賞する人の視線と合う。いつも鑑賞する人を追いかけているのがベラスケスだった。
 カメラ目線とでも言うか、目を合わせた姿勢は時に必要と感じた。
 外来診療でも、このごろはコンピューター画面を見ながらの診療が必須で、ともすると患者の顔も見ずにすましそうになっていることがある。
 瞬時でも良い。患者さんと目と目を合わそう。その瞬間に誠意を超特急で送り込もう。
 また近頃は説明すべき事がドンドン増えて急いでしまう。この故に早口になりそうだし、患者側も理解できてなくても頷づいてしまう。この合間の瞬間に目を合わそう。
 きっと役に立つだろう。
 でも、こんなの当たり前の事だよね。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

反省

2004-12-15 22:02:06 | Weblog
 本当は昨日に書こうと思っていたのですが、急なできごとで日延べ。“反省だけなら猿でも出来る”この言葉はすっかり有名ですが、何のCMだったかは忘れてしまった。
 さて本題に入ろう。気管内挿管がうまくいかなかったこと。私は過去には数多やって来た。では何故?  まず挿管前の顔マスク換気にて予想よりも酸素分圧が上がらなかったこと。何かおかしいと感じた。でも、そのまま進んでしまった。リズムが狂っている・・この狂っていることを認識出来なかった。この狂ったままで次に進んだことが、次のミステークを呼んでしまったのだ。
 ミステークに立ち止まって、振り返り、後先のイメージを想定する。これだけのことを行う余裕を失っていたのだ。・・・・こんなことで医療ミスが出るのでしょうね。私は、イメージの展開をする前に、術者のチェンジという、安易な選択をしましたが、反省の余裕を見失ったときは正しい選択ともいえましょう。自ら泥沼に沈んでいかないためにも。
 勿論、何でもかんでもチェンジはドアホだけどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺ガン

2004-12-14 20:44:01 | Weblog
 今日の未明に同僚の医師が肺癌で亡くなったよ。闘病は2年位だったかな。この春にチョット顔を見たのが今生だった。休みが長引くと、顔を見ないせいか、みんなから印象が薄れていくのは世の常だね。
 医師が肺ガンで亡くなる。まあ、今のガンに対する医療レベルはこんなものでしょう。ガンバッテルけども。
 現在、2名のガン患者を診ていますが、どうしたら軟着陸出来るかなとはしょっちゅう思うよ。
 例えば、効くなら麻薬はドンドン使おう、これは私の考えでもある。効くなら、効きそうなら何でもあり。まだまだ麻薬の言葉にビビル患者は一杯いる。
 近頃よく言うエビデンス(根拠)がはっきりとあればいいけど、根拠があるのは殆ど初期のものばかり。その先は医師の裁量、生き方、考え方が出てくる。勿論、患者本人や家族の考えを尊重するのはあたりまえだけど。患者側と医療者との実地経験差は如何ともし難く、別のコメントにあったような東京医大のこともヤンヌルカナ・・・と言っては叱られそうだ。
 医師の実力はその医師自身が一番よく知っているよ。
 だから、私はブラックファイブなのです。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

会議

2004-12-13 23:02:31 | Weblog
 今日の会議は17時から20時までかかってしまった。実際は17時半頃から19時頃まで病棟に呼ばれて留守をした。それでも、長すぎる。みんな大概はあまり意見を言わずに進行を待つ。議論は大事だがこれだけ長いと、その上に説明以上の議論をするとどっと遅くなり、ぞっとする。それに決を採ることは少なく、何となく反対意見がないことで、何となく承認というスタイルが多い。他の所もこんな会議をしているのでしょうか。
 この留守時間は病棟の患者が低酸素になって呼ばれ、結局気管内挿管を再度行い人工呼吸器をつけてしまった。この気管チューブの挿入は久しぶりだったし、会議にも戻らねばとの気持ちがかみ合わず、久方ぶりの行為をミスってしまった。近くのを呼んで「チェンジ」と叫び術者交代。へたをこいてしまった。うまくいかなかった時や判断の躊躇は心理的に自分をおとしめる。更に18時過ぎの遅い時間に周囲に手間を掛けさせたこともガッカリ。
 まあ、こんなこともあるけど、うまくいかなかった帰り道の足取りはとても重かった。
・・・ ビールをグーッと飲んで、眠りにつきたい心境だ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

終末期

2004-12-12 20:03:22 | Weblog
 今日は昨日とうってかわって寒い。外に出した手が冷たい。昨日も今朝も病棟から電話。人工呼吸器を付けている方が自己抜管(気管内に入っている管を自分の手で抜いてしまうこと)を繰り返しその対策。休日でなければ側に着いて、自分の力で呼吸が可能かどうか見守っていけるが、休日では人手が少なく、緊急以外の仕事はやらない方がよさそう。患者さんには気の毒だが、無理すると危ない橋を渡りかねない。
 そしたら、別の方が鎮痛に麻薬はいやだというのです。こんなのは、麻薬の言葉のイメージが過大に先行してしまっているためです。どんどん使って痛みをとろう。大事なことは痛くない日々を送ることだとは思いませんか。でも、この方には話しても、一回では無理でしょうね。しっかりと考えが固まってしまっていますから。
 教育って奥が深い。記憶の深層に入り込んでしまったものを覆すのはとても大変。きっとこうだ、こうに違いないっと思っているものは、私達もたくさん持っていますから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴジラファイナルウォーズ

2004-12-11 22:41:46 | Weblog
 封切り1週間後に行って来ました。朝一に行ったら、五分の入り。まとめの印象は、Godzilla world in TOHO って感じ。悩みなく楽しめる映画だよ。ただ、ゴジラのテーマ、“ドシラドシラ・・・”のリズムが聞こえなかったのがちょっと寂しい。今までのことを深く考えずに、スクリーンに入り込む。これが一番。私の採点は75点です。減点はさっきのテーマ曲なし、最後にゴジラが無事だったこと、キングギドラが弱いこと、松岡君が格好つけすぎのこと。ドン・フライに英語をしゃべらせなかったことです。
 クライマックス近くで、カバンの携帯電話がふるえた(バイブレーションモード)。きっと、勤務先からと思ったけど、今は出たくなかったので堪忍。後ほど、伝言メモを聞いて確認。まあ、出なくても許されるかな。こう言うと、きっと『緊急の連絡だったらどうするの』っと言う声が聞こえてきそう。でも、世の中、瞬間を争う緊急は考えるほど多くないよ。これを言うと、『ドアホ、バチにアタレ』と言われそう。もう一つ付け加えると、大概は、困ったらどうするべきかと指針を示しているけどね。その上で、相談と確認をしたいのでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする