ブラックファイブ

あのDr.ブラックジャックの半分以下なので、ファイブとします。命燃え尽きるまで、経験と知識からブログをやろう。

イレッサ訴訟

2011-11-17 22:49:37 | Weblog
 イレッサ登場は2002年、世界に先駆けて日本で承認されたが、かなり昔で忘れてしまった。
 ただ、承認前に某肺癌患者さんから、その使用を熱望され、メーカーさんに頼み込んで、臨床治験に押し込んでも貰ったことはよく覚えている。
 患者さんは、薬の到着を、ホントに指折り数える位に待っており、メーカーの担当MRさんも頑張ってくれて、最初の一錠を出したときの患者さんの希望の顔は深い心象。
 この時は、確かに間質性肺炎を含めて副作用なんて、全く気にしていなかった。
 兎に角、熱望する患者さんに飲ませてあげたい一心が一番、その他はそれ以下。
 この方は、内服開始後目立つ副作用の出現もなく、「イレッサ飲んでから、調子良くなりました。」と言ってくれた。
 思い返せば、期待の薬を飲んだ事による心理的効果が最高だったのかも知れない。
 暫くは良かったが、やがて病気がゆっくり進行し、ゴールとなった。
 でも、患者さんの希望に添えて良かったと今も思う。
 その後、副作用の間質性肺炎で叩かれまくり、一般新聞にも一杯出て、折角効果有りの患者さんまでも、副作用のある薬は飲みたくないと中断されたのは、マスコミ副作用で残念、勿論、中断で病気進行。
 医師も患者も“夢の新薬”の煽られ言葉に乗っかってしまい、単純には、めったやたらに使いすぎの結果が訴訟の入口。
 米国ではアメリカ食品医薬品局(FDA)新規使用を原則禁止と本質承認不可となり、日本でも風当たりが台風並みになり、使用が危うくなった経緯。
 でも、効く人にはそれなりに効くことが、薬としての延命の根拠となり、現在に至る。
 確かに、“夢の新薬”に乗っかって不幸な方向に向かった患者さんにとっては不幸だけど、冷静さを忘れてしまう程のあの上げ潮ムード、学会でもイレッサ関連演題が山程あり、そのジェットコースターに乗って落ちても、冷めると、それはあり得る副作用の現実。
 高裁の判決は、患者さん側には気の毒だけど、現実的判決。

 先月下旬、イレッサと某胃薬を飲むと、マウスでは間質性肺炎の予防になったとの話が出ていた。某胃薬はイレッサに比べて、十分以上に安い薬だから、試して毒はない。
 もう試しているところは、きっと山程あるはず。

※ プロ野球の日本シリーズ、SBオーナーがネット裏にいるのは“快”。
コメント
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