ブラックファイブ

あのDr.ブラックジャックの半分以下なので、ファイブとします。命燃え尽きるまで、経験と知識からブログをやろう。

アゴがはずれる

2006-07-12 22:51:57 | Weblog
 夕方、若いのに呼ばれる、「さっき入院した方のアゴが外れたんです」。
 確かに、下あごがやや前方に出て、アゴの関節の位置がおかしく、口は半開気で顎関節が脱臼している。
 ずっと昔に一度位整復(脱臼を治す)した記憶がかすかにあり、それを思い出し、理屈は簡単、下あごを下方に押し下げて奥へずらすだけのはず。
 若いのに簡単に話して、やらせる。
 患者さんはベッドに仰向けに寝ているので、ベッドを起こし斜め位にする。
 手袋をして、噛まれないようにガーゼを指に当てて開始。
 側に御家族がいらしたが、まあいいかと、術者は患者さんに対して、斜めに位置して実行。 
 どうもうまく押し下げられていないようで、整復出来ない。
 そこで私がやろうかと思ったら、側の研修医がやりたいというのでやらせる。
 これもどうも上手く戻らない。
 ここで自分がと思ったのですが、ふと、おぼろな記憶に自身をなくしかけて、耳鼻科医を呼んでしまった。
 術の実行に日和ったのです(軟弱化)。
 すぐにきてくれた耳鼻科医は丁寧に講釈をしてくれて、実行をしてくれるのかと思ったら、御家族に今まで使っていたヘッドギア(アゴが外れにくいようにするベルト一式)を家から取ってきてくれ、それからするといったのです。
 内心、「えっ、それからなの!」と思った。

 反省、第一に、日和って耳鼻科医を呼ぶ前に自分でするべきだった。
 開始の姿勢が不十分、斜めからでなくて、患者さんの正面に位置を取らせるべきだった(位置決め確認のミス)。
 術者の見られてるという緊張を取るために、御家族には外で待っていてもらうべきだった。
そうすれば研修医でも出来たはず、結果としてみなさんに迷惑を掛けてしまった。
 これは上級医としてのマイナス。

※ おぼろな記憶に対しては、成書の確認を先にするべき、でも前述程度で、オボロは正しいオンボロだった。
コメント
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