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『イラク生残記』 勝谷誠彦

2007年05月09日 | ノンフィクション

 

イラク生残記.jpg



ブッシュ大統領の支持率が30%近くまで落ち込んだそうです。ついに末期症状でしょうか。

来年は大統領選挙。ブッシュ大統領の所属する共和党に対して、民主党の大統領候補ではアフリカ系アメリカ人のオバマ氏と、ヒラリークリントン女氏の名前が取りざたされ、アメリカ社会も大きく変わりそうな気配はありますね。


ブッシュ大統領が支持を失いつつある一番の原因はやはりイラク問題。何とか片付けたい米政権をまるであざ笑うかのように、イラクの治安は悪化しているようです。

つい先日の自爆テロで、ジャーナリストを含む100人以上が死亡と報道されています。100人規模の死者が出るテロは、とんでもない大事件だと思うのですが、めったに新聞の一面にもならないし、我々も慣れっこになってしまったのかあまり話題になりません。

米バージニア工科大学で、韓国人大学生の銃乱射によって、30人以上もの死者が出た事件には本当に驚かされ、怒りを感じましたが、イラクではとにかく毎日のようにイラク人、アメリカ兵が殺されているわけです。


そして、サマワからは撤退したものの、日本の自衛隊だっていまだに加わっているわけですから、いっそう早い解決が望まれます。


さて、本書はその勝谷誠彦氏のイラク取材のレポートです。十数年前、当時記者であった勝谷氏は、湾岸戦争を取材しようとイラクに向かいました。しかし、米軍によって、「前線の取材を許可するには順番」 があると言われてしまいます。


「最初に血を流している国、次に汗を流している国、最後に金だけを垂れ流している国だ」 と、実にあっけなく取材拒否をされたそうです。“国家が国家としての行動をきちんととらない時、その国民がどのような辱めを受けるかということを知った”、とあります。


そしてイラク戦争。記者を引退し、現在コラムニストとして活躍する著者が、再びイラクへの取材を決意しました。

その理由は、自衛隊がサマワに入ってからの報道は横並びであるということ。東京では机の上で資料を読んで組み立てたもののような気がしていたと感じていると述べています。

1・ フセイン拘束に関する米軍の不審な報道。
2・ 奥氏と井ノ上氏の外交官の死。
3・ 自衛隊派遣性急さへの疑問。 

これらが引き金となり、自ら現場に行き、自分の目で確かめようという何年振りかの衝動が起こったためだそうです。しかし“取材”と言っても戦場ですから、相当な覚悟が必要です。

このブログでも、戦場を写した 『不肖・宮嶋 in イラク―死んでもないのに、カメラを離してしまいました』 という強烈な写真集と、イラクでの活動の厳しさがよくわかる『砂漠の戦争 - イラクを駆け抜けた友、奥克彦へ(岡本行夫)』 。きちんとイラクの歴史などまで記述された『イラク(田中宇)』 などを取り上げました。 


著者の取材に協力・同行したのが、殺害された橋田信介さんと小川功太郎さん。本書は亡くなった二人と、著者ともう一人の同行者の記録です。本書を書き上げることは、“偶然生き残った私の義務” と語っています。


本書に掲載されている内容はバグダッド入りする前に、襲撃され、首筋に拳銃を突きつけられ金品を奪われたことから始まり、外交官が襲撃された現場での取材、更にフセインが拘束された穴の検証、自衛隊がいるサマワへの取材。


著者が肌で感じた、イラク、アメリカを率直に語ります。イラクはまさに戦場であるということが良く分かり、当時の小泉首相の言葉、国会での自衛隊派遣の論議や、テレビでもっともらしくイラク情勢をコメントする識者に対する怒りや無念の気持ちを飾らずに述べているように思います。


イラク生残記

講談社

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6 コメント

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ホントに・・・ (bucky)
2007-05-10 13:18:11
自分が前線に出てみれば?あなたの代わりはいくらでもいるでしょう、と暴言を吐きたくなる毎日。
これ以上、1人の命でも失うことに何の意味があるんでしょう。

すんません、このところ、いつも怒曜日なので。
buckyさん (VIVA)
2007-05-10 13:50:53
でも解決策は…、

アメリカを非難しているだけではもちろん片付かないし、かといって増派しようとしても、なかなか賛成してもらえないだろうし、仮に兵士を増やして一時は落ち着いたとしても、とてもテロが無くなるとは思えませんよね。ニューヨークのど真ん中でもねらう覚悟のある集団もあるくらいですから。

なるほど怒曜日ばかり。黙曜日は今度いつやってくるのでしょう。
憤り (Dan)
2007-05-10 14:43:16
イラク問題でコメントする小泉前首相をテレビで見るたびに、「あなたの大事なコータローちゃんをイラクの最前線に行かせる勇気があなたにはあるの?」って、いつも思っていました。
まるで、対岸の火事、人事のようにコメントする姿には憤りを覚えました。
実際、私の友人のご主人が自衛隊員で、イラクではないんですけど、ヨルダンに派遣され、物資輸送の手伝いでしばらく行っていました。
ご主人が留守の間、無事であることを毎日、毎日祈っていた友人。
結局政治家達は自分のことは犠牲に出来ないんですよね。
勝谷氏は灘出身ですよね。
「キムタツ先生つながり」と思うと、応援したくなっちゃいます。
Danさん (VIVA)
2007-05-10 17:48:28
そうですか、ヨルダンへ。ご心配だったでしょうね。実際に、自衛隊員に大きな事故がなかったのは何よりでしたが、戦争開始直後の華々しい報道とは対照的に、隊員が派遣されたあとや、現在はほとんどどうなっているのかわかりませんものね。

そうですね、勝谷さんは灘でしたね(笑)。和田秀樹と確か同期で、生徒会長です。それにしてもエネルギーのあふれた人です。
ブッシュに最後通告 (ysbee)
2007-05-11 12:14:49
アメリカでは、いやでもおうでも毎日毎日
「米兵6名、イラク兵30人、一般市民60人....」
という犠牲者のニュースがはいってきます。毎日欠かさず、です。
米兵のなしくずしの増兵でパトロールを強化しても、
それに比例して戦死者も増える一途。

米兵の戦死者3400名は確認できる数字ですが、
イラク市民の犠牲者65万人というのは、政府は認めたがりませんが
人権擁護団体の調査で実数で掴んだ数字であり、
今やブログ界では常識となりつつあります。

それにもまして、市街地が戦場となっているため、
一般市民がイラクの国外へ流出。この数がただ事ではなく、
200万人以上の避難民が出現してしまったようです。
バグダッドの中心地には住民が皆無になったゴーストタウンが
多々出現しているようです。

昨日はついに業を煮やした共和党の有志11人がブッシュに膝詰め談判。
イラクを何とかしないと政権を支持しないと脅しをかけ、
メディアの中には、ニクソンに辞職を迫った有志議員になぞらえる
解説もありました。

いつもVIVAさんが話題に取り上げると、その夜のニュースになるので
第六感に敬服しています。
私の今日の記事とTBさせてください。ではでは m(_ _)m
ysbeeさん (VIVA)
2007-05-11 15:57:31
そうですか。やはり当事国としては当然かもしれませんが、毎日死者の数が発表されるのはやり切れませんね。ブッシュに詰め寄った議員たちは何をしろというのでしょうか。後からうかがいます。

日本は私もずっとwatchしているわけではないので、自信はないのですが、どこかが配信したニュース映像を流しているだけで、バクダッドがゴーストタウン化しているとか、難民が多いという報道は知りません。貴重な情報をいつもありがとうございます。

それにしても65万人。ものすごい数ですね…。

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