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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『ロスチャイルド家―ユダヤ国際財閥の興亡』横山三四郎

2006年09月30日 | 外国関連

 
ロスチャイルド家は世界でもっとも知られている財閥ですが、しばしば金で国家をも動かす力すらあるといわれます。そしてロスチャイルドといえばユダヤ人。世界の金融を支配し、全世界の富を独占しようとしているという、陰謀説もあとを絶ちません。

日本の歴史にも深い関係があります。日露戦争というのは、外から見れば到底勝てる戦争ではありませんでしたが、ロスチャイルド家がユダヤ人社会に、日本への巨額の融資の根回しをしました。ロシアはユダヤ人を迫害していたために、日本を応援したかたちです。


本書はロスチャイルド家の歴史を、ユダヤ人や世界の歴史と重ね合わせて解説したものです。

ロスチャイルド家の物語は、今から200年以上も前、ユダヤ人がゲットーと呼ばれるスラム街に強制的に押しこまれている時期、初代マイヤーが起こした古銭業から始まります。それに成功し、やがて高利貸しになるわけです。

そして、マイヤーが、その死に臨んで5人の息子たちに、束ねた5本の矢のように結束し家業を発展させるように遺言します。その5人はヨーロッパの主要都市、フランクフルト、ナポリ、ロンドン、パリ、ウィーンへとそれぞれ渡り、遺言と ユダヤ教 をしっかり守りながら、ロスチャイルド家をヨーロッパ一の金融王国に育て上げていきます。

それを可能にしたのは、兄弟の結束の固さもさることながら、彼らが引いた情報網です。現代こそ、情報の価値は認識されていますが、当時からそこに目をつけていたんですね。日露戦争時に伝わった情報はどんなものだったか知りたくないですか?それで巨万の富を得たと言われているのですから。

おもに政府の起債を担当したり、鉄道などの大規模事業に投資したりすることによって、拡大していきますが、この200年は革命や戦争も多く、また何といってもユダヤ人ですから、さまざまな迫害や、存亡の危機も経験します。ヒトラーにもやられました。

しかし、何とかそれを切り抜け、戦後イスラエル建国に力を尽くし、現在も世界中に影響力を保ち続けていることは本当に驚異的です。

本書にはその過程と「こんなところもロスチャイルドか」というような例がたくさん紹介されています。


ダイアモンドで有名な『デビアス』、アメリカ最大のタバコ会社『フィリップモリス』、コーヒーの『ネッスル』や、紅茶の『ブルックボンド』、新聞の『タイムズ』と『ザ・サン』、通信社の『AP』や『ロイター通信』、アメリカの三大ネットワーク!さらに数多くの銀行などなど…。ちょっと信じられないほどですね。


以前ご紹介した『 ユダヤ人とローマ帝国(大沢武男) 』も非常にわかりやすい良書でしたが、本書とあわせて読むと、中東情勢への理解がより深まると思います。

イランやイラク、パレスチナとなぜイスラエルが血みどろの戦いを続けるのか、日本人とはまったく異なる、宗教、歴史がそうさせるということが痛感されます。興味のある方にはお薦めできる一冊です。



P.S. すぐに勉強と結びつけると、生徒は引いてしまいますが(笑)、ユダヤ人迫害と中東に関して、genio先生にお願いしてまとめてもらいました。

受験生は要チェック! → 『入試に出る!時事ネタ日記_


http://tokkun.net/jump.htm
 

ロスチャイルド家―ユダヤ国際財閥の興亡

講談社

詳  細


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金持ちけんかせず  ■■
 

と言いますが、ロスチャイルドの歴史は、戦いに次ぐ戦い。ユダヤ人は優秀だとも言われますが、その血塗られた歴史がそうさせるのか、その闘争心と執念、信心深さは日本人とは異質ですね。イスラエルが安定するには、あと何百年かかるのでしょうか?

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