吉祥寺と周辺の街散歩

吉祥寺を中心に、中央線沿線の街のお気に入りの喫茶店、公園に咲く花、美術館、散歩レポートなどを紹介しています。

玉川上水と太宰治

2005年02月22日 | 三鷹

(万助橋より見た玉川上水と井の頭公園)

 井の頭公園内を玉川上水も流れていますが、井の頭池とはつながっていません。神田川よりも玉川上水のほうがずっと周囲の自然が残されていて、自然探勝がお好きな方には、こちらの散策がおすすめです。
 以前、水源の多摩川上流の羽村取水堰から、久我山あたりで地下に潜ってしまう地点までの約25kmほどを、何回かに分けて歩いたことがありました。後日、その中のハイライトコースをいくつか紹介したいと思います。
 
 万助橋より約600m上流で山崎富栄と入水した太宰治は、1948年6月19日に公園より下流で遺体が発見されました。
 入水地点には碑が建てられ、太宰の写真と短篇「乞食学生」の一節が記されています(碑の写真クリックで拡大画像が見れます)。
 「乞食学生」には、以下のような文章もあり、当時の玉川上水は危険な川であったことが窺(うかが)われます。今や猫だって溺れるのは難しいと思う。

 万助橋を過ぎ、もう、ここは井の頭公園の裏である。私は、なおも流れに沿うて、一心不乱に歩きつづける。この辺で、むかし松本訓導という優しい先生が、教え子を救おうとして、かえって自分が溺死なされた。川幅は、こんなに狭いが、ひどく深く、流れの力も強いという話である。この土地の人は、この川を、人喰い川と呼んで恐怖している。

 現在、万助橋から三鷹駅までの玉川上水沿いの道は、"風の散歩道"と名づけられています(右の写真)。
 入水地点から当時太宰が住んでいた三鷹の家までは1kmに満たない距離です。遺体の発見された6月19日は奇しくも太宰の誕生日でもあり、彼の墓がある三鷹の禅林時では、毎年この日に桜桃忌が行なわれます。
 

(参考)
 ・ 三鷹禅林寺での桜桃忌(当ブログ)
 ・ 太宰さんちの庭にあった百日紅(サルスベリ)が咲き始めた(当ブログ)
 ・ 地図情報(中央の+印が万助橋)
 ・ 地図情報(中央の+印が太宰治の入水地点)
 ・ 地図情報(禅林寺:三鷹駅南口より徒歩約15分)




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