吉祥寺と周辺の街散歩

吉祥寺を中心に、中央線沿線の街のお気に入りの喫茶店、公園に咲く花、美術館、散歩レポートなどを紹介しています。

1Q84 高円寺界隈探訪

2010年05月13日 | 高円寺

高円寺

 mixiの村上春樹コミュニティ主催のイベント「高円寺 迷Q路地と1Q84をめぐる冒険」に参加しました。高円寺には天吾の住むアパートがあり、青豆が隠れ住んだマンションも高円寺でした。高円寺という地名は、駅の南口から5分ほどのところにある曹洞宗の寺である高円寺に由来しているとのことで、元々の地名を改めさせたのは徳川3代将軍、家光であるといわれています。 
 寺から駅へ向かう途中に、天吾や牛河が登り、そして天吾と青豆が20年ぶりに再会し、ふたつの月を眺めた滑り台のある公園があります。現在の滑り台はいかにも幼児向けで、ロマンのかけらも感じられませんが、26年前は月を眺めるのにふさわしい由緒正しい滑り台だったのだと思われます。かつて、このすぐ近くのビルの2階にジャズ喫茶があって、国分寺でジャズ喫茶を始めていた村上さんが、こちらの雇われマスターも努めていた時期があったとのことです(主催者の春樹度の高さに脱帽)。

 散歩に続いての読書会の場は北口のブックカフェ「アバッキオ」でした。普段は立ち読み、立ち飲みの店内ですが、今回の読書会のために椅子を用意してもらったそうです。梯子を上った屋根裏部屋で泊まることもできるらしい(?)
 営業時間:火曜~金:18:30-23:00 /土日祝:12:00-21:00 月曜定休とのこと。

 参加者全員が入るといっぱいという店内のスペースでしたが、メンバー各自の1Q84観を披露し合い、話は尽きませんでした。1Q84の読書会は今回が3回目ですが、荻窪で行われた昨年の第1回読書会の模様はNHKの「クローズアップ現代」で放映されました。

 有志による2次会は古本酒場「コクテイル」でした。中央線沿線では、本の置いてあるカフェや酒場が珍しくなくなった感があります。昔の民家風の外観の店は、3月末に同じ高円寺から移転したばかりとのことでした。カウンター席が主ですが、隅の座敷席に陣取りました。おまかせで頼んだ料理は、どれもとてもおいしかった。

(参考Web) 
 ・salon de 1Q84(主催者NASCIさんのサイト)
 ・読書会配布資料by toki(My HP) 
 ・ブックカフェ「アバッキオ」
 ・古本酒場「コクテイル」
 
(地図情報) 
 ・高円寺と公園
 ・ブックカフェ「アバッキオ」
 ・古本酒場「コクテイル」

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吉祥寺のクラシック喫茶「バロック」再訪

2010年03月21日 |  ・喫茶店、カフェ
 

 

 「バロック」にひさしぶりに行って来ました。店内の雰囲気、暖かく包み込んでくれる音は以前と全く変わっていませんでした。
 最近、テレビや雑誌で紹介されたりして、少しはお客さんが増えていればいいんだけど、どうなんだろう。

 マスターが亡くなってから、もう20年近く経ったんだな。以来、店を引き継いだ奥さんはとても元気な様子で安心しました(右の写真に写っています)。
 帰り際に奥さんから「忘れないで寄っていただけるお客さんがいると、やっていてよかったと思うわ」と言われました。ごめんなさい。これからはまたちょくちょく伺いますね。
 

(2005年1月8日投稿の記事)


 店内会話禁止の正統派クラシック喫茶の「バロック」には開店時('74年 12/24)から通っています。
 今や吉祥寺唯一のジャズ喫茶となった「MEG」とは、ご覧のように同じ雑居ビル2Fの隣り合わせになっていて、いまだかつて意志が強かったことのない僕は、店の前に立つと、今日は右の扉を開けようか、それとも左にしようかと悩むのでしたが、結局はMEGでビールを飲もうか、今日はバロックのすてきなウェイトレスさんの当番の日ではなかったかとかで決まるのでした。

 「バロック」の店主の故・中村さんは、筋金入りの頑固おやじでしたが、中村さんが病気で亡くなってからしばらく休業の後に奥さんが再開し、CD嫌いだった中村さんの遺志を継いで、今でもレコードを管球アンプで鳴らしています。オーディオ装置のコンディションは、ファンの方のサポートにより維持されているようです。
 店内は20席位で、いつでも新鮮な生け花が飾ってあって、とても収支は合わないような気がしますが、これからもがんばって欲しいです。
 「コーヒーは高いけど、2時間でも3時間でもゆっくりして、くつろいでいって下さい」とは、奥さんの言葉です。

 営業時間:12時~22時、休みは、火・水曜日
 コーヒー:800円(2杯目からは200円)など

(参考)
 ・高円寺の名曲喫茶「ルネッサンス」(当ブログ)
 ・阿佐ヶ谷の名曲喫茶「ヴィオロン」(当ブログ)
 ・荻窪の名曲喫茶「ミニヨン」(当ブログ)
 ・高円寺の名曲喫茶「ネルケン」(当ブログ)
 ・吉祥寺「バロック」の第九を聴く会(当ブログ)
 ・地図情報: 「バロック」、「MEG」(地図上の十字の場所)

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立原道造記念館と三四郎池など本郷周辺散策

2009年06月28日 | その他の街

東大構内の三四郎池

 (記念館は、2011年2月20日に閉館となりました。)

 やさしいひとらよ たづねるな!
 ― なにをおまへはして来たかと 私に
 やすみなく 忘れすてねばならない 
 そそぎこめ すべてを 夜に・・・


(立原道造記念館の玄関に記された詩「ふるさとの夜に寄す」の一部)

 詩の好きな友人二人との会話の中で、本郷にある立原道造記念館(画像右・左下)に行こう、だったら近くの東大構内の三四郎池も散策しようということになりました。その後、幹事役の綿密な計画の下、ついでにここもあそこもと盛りだくさんの内容に発展し、当日の全行程(歩いた距離は正味3km位)は以下となりました。

地下鉄南北線 東大前駅(14時)- 立原道造記念館 - 竹久夢二美術館・弥生美術館
- 三四郎池(東大構内) - 「喫茶ルオー」 - 徳田秋声旧宅 - 樋口一葉ゆかりの質屋
- 樋口一葉旧居跡(17時半) - ロシア料理店「海燕」- 南北線 春日駅

 立原道造(1914-1939)は大好きな詩人で、記念館には24歳の若さで亡くなった彼の詩集、自筆草稿や絵画などが展示されています。道造には優秀な建築家として将来を嘱望されていた一面もあり、大学の課題として提出された建物の見取り図などもあり興味深かった。彼の設計した5坪ほどの独居用住宅「ヒヤシンスハウス」を実際に平成16年に実現したものが、さいたま市の別所沼公園内に建っているそうで、いつか訪れてみたい。


 竹久夢二美術館と弥生美術館は同じ建物の中にあり、道造記念館のすぐ近くにあります。
 竹久夢二(1884-1934)は大正時代に儚(はかな)げな女性を描いて一世を風靡した画家ですが、デザイン画にも才能を発揮していたのは知りませんでした。弥生美術館は大正・昭和に活躍した挿絵画家、高畠華宵(1888- 1966)作品の常設展示を中心に、挿絵・雑誌・漫画・付録などの出版美術をテーマに企画展を開催しています。

 東大の弥生門から構内に入り三四郎池に向かいました。「育徳園心字池」がこの池の正式名称で、江戸時代には加賀藩邸の庭園の一部だったそうです。夏目漱石の小説「三四郎」の中で、三四郎とマドンナの美禰子がここで出会ったことから「三四郎池」と呼ばれるようになったわけです。池の周囲には樹木が生い茂っていて濃い緑が周囲の建物を遮っているため、森の中の池といった風情があって、とてもいい雰囲気でした。
 
 途中休憩に東大正門の斜向かいにある「喫茶ルオー」に寄りました。由緒ある喫茶店のようで、ジョルジュ・ルオーの複製画が掛かっている店内にはクラシック音楽が流れ、知的な雰囲気が漂っていました。カレーが有名らしいけど今回はパス。
 徳田秋声旧宅を経て、樋口一葉(1872-1896)が通った近所の質屋を眺め、本日最後の目的地、一葉の旧居跡を探したけれど見つからず、通りがかりの人に尋ねてようやくたどり着きました(画像右下付近)。以前は案内板があったけど近隣住民の迷惑を考慮して外したらしいとのこと。旧居跡にあった井戸は現在も現役でした。僕は一葉の残した作品(擬古文が苦手)よりもどちらかというと彼女の生き方に惹かれています。10代で世帯主となりその細腕で家族を養っていた彼女はなかなかの生活力の持ち主でもありました。彼女は文京区内に10年間住んでいて、文学史跡が数多くある「文の京」のキャラクターにもなっています。一葉も立原道造と同じ24歳8ヶ月で結核の為世を去っています。
 近くのロシア料理店で祝杯を挙げ疲れを癒しました。次回の散策は僕が幹事役ということで、さてどこに行こうかな。

 (参考Web) 
 ・立原道造の詩紹介(My HP) 
 ・立原道造記念館HP
 ・ヒアシンスハウス紹介
 ・竹久夢二美術館・弥生美術館HP
 ・文京区 観光案内
 ・樋口一葉「いやだ!」と云ふ/田中優子(amazon.co)

(地図情報)
 ・立原道造記念館・竹久夢二美術館・弥生美術館
 ・三四郎池
 ・喫茶ルオー
 ・徳田秋声旧宅
 ・一葉ゆかりの質屋

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高円寺のアール座読書館は緑の癒し空間

2009年06月13日 | 高円寺

 「アール座読書館」は高円寺駅南口より歩いて5分ほどのところに2007年末に開店した"読書喫茶室"です。駅南口を出て、pal商店街を少し歩いてから最初の右の路地に入り左手2階にあります。
 鉄製の重いドアを開けて中に入ると、店内に配置された木々の緑、各席に置かれたアクアリウム水槽の緑が目にも心にも優しく、落ち着いたクラシックやソフト・ジャズやアンビエント系ミュージックのBGMが静かに流れていて、読書に休息に、あるいは現実からのひとときの逃避にぴったりの癒し空間となっています。

 店名の"アール"は芸術(art)の意味だそうで、本棚には、マスターの趣味と思われる文学、写真集、画集、詩集、絵本、自然科学や哲学の本、コミックなどが並んでいて自由に読むことができます。
 僕のお気に入りは、廃墟をテーマにしたクノップフなどの絵画作品を収録した画集「死都」、コミック「風の谷のナウシカ」全7巻などです。
 かなり趣味的な店なので果たして続けられるのかなとちょっと心配していましたが、ファンが着実に増えているようでうれしいです。
 ギャラリー展示も行われていて、眺めるのも楽しいですが、自作の絵画、写真、手工芸品などの発表場所として利用するのもいいかもしれません。
 メニューは、コーヒー、紅茶などの飲み物、食べ物はクッキーとブロウニーのみです。

 営業時間は下記ですが、たまに貸切もあるので、事前にマスターのブログで確認したほうがいいでしょう。
 平日  13:30~22:30
 土日祝 12:00~22:30
 月曜日定休(月曜祝日は翌火曜休み)

(参考)
 ・地図情報: 高円寺「アール座読書館」
 ・マスターのブログ「アール座読書館」
  
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高円寺に名曲喫茶「ルネッサンス」誕生! 

2008年03月02日 | 高円寺

 名曲喫茶「ルネッサンス」はJR高円寺駅南口を出た右手から伸びているパル商店街のショッピングモールを抜け、桃園川遊歩道を過ぎてすぐ左の路地の地下にあります(下の地図情報を参照してください)。
 昨年(2007年)11月に開店したこの店は、かつて中野にあり2005年1月に閉店した伝説的な名曲喫茶「クラシック」の従業員だった二人の女性が、保存してあった「クラシック」の備品、LPを使用して復活させたのだそうです。残念ながら僕は「クラシック」へは行けませんでしたが「カフェー小品集」には当時の「クラシック」の様子が描かれています。

 そのカフェーは中野のサンモールというアーケードを歩き、暫く行った左手の路地にひっそりとありました。
 恐ろしく暗い店内には燭台やランプの小さな灯しかなく、壁には至る処に大きさがまちまちな油彩が額に収まって不揃いに掛けられていました。椅子やテーブルはどれも小さく、脚がそろっていないのかガタガタと揺れました。
 「カフェー小品集」/嶽本野ばら より 

 「ルネッサンス」の椅子やテーブルはちゃんと補修され、がたがたしていませんでした。念のため。

 正面に飾られている 女性像の油彩は「クラシック」のオーナーだった画家の美作七郎さんの代表作です。
 店内は30席余りの結構広いスペースで、メニューがコーヒー、紅茶、ジュースの3種類しかなく(どれも400円)、リクエストボードにチョークで聴きたい曲を書き込むのは「クラシック」と同じだそうです。食べ物の持込、店内での会話は自由です。

 薄暗い店内で、真空管アンプで再生されるスクラッチノイズの混じるLPを聴いていると、単なるレトロ感を超えた深いやすらぎを覚えるのは僕だけではないだろうなという気がします。
 この日、お店の方がかけてくれたグレツキの「悲歌シンフォニー」とリパッティの弾くバッハの曲集はいずれも僕の最愛の曲でした。末永く続いて欲しい店です。
 開店時間:正午~23:30
 
(参考)
 ・地図情報: 高円寺「ルネッサンス」
 ・阿佐ヶ谷の名曲喫茶「ヴィオロン」(当ブログ)
 ・吉祥寺の名曲喫茶「バロック」(当ブログ)
 ・高円寺の名曲喫茶「ネルケン」(当ブログ)
 ・荻窪の名曲喫茶「ミニヨン」(当ブログ)
 ・国分寺の名曲喫茶「でんえん」(当ブログ)
 ・「カフェー小品集」/嶽本野ばら

 
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