腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



一昨日、別々のお客様から立て続けに同じ内容のお電話をいただいた。

まず一人目。
40代くらいの奥様風のお声。

お客様「SEIKOなんですけど、ここ4日ほど前から腕時計のガラスの内側がほんのり曇るんですが、どうしたらいいのかしら?」

お客様に対処方法を一通り説明して電話を切ったら、3分くらいでまた電話が鳴った。
てっきり先ほどのお客様だと思って受話器を取ったら、今度は年配の男性のお客様からだった。

お客様「ROLEXなんやけど、ガラスの内側が曇るんや。大丈夫かな?」


全く同じ内容でちょっとビックリしたが、梅雨時期やこれからマリンスポーツの時期になってくると、時計内部に水気や湿気が入りやすくなります。

もちろんそのまま放置していれば、内部機械のサビの原因になりますので、曇ったら大至急湿気抜きの処置をしてください。

ほんのりと曇っている程度なら、リュウズを最大限まで引いて(引っこ抜いてはいけません)自然乾燥させたら抜ける場合があります。

ガラスの内側や文字盤の表面に水滴が付いているような酷い浸水の場合はこの方法ではダメです。

お近くの時計修理専門店トゥールビヨンへお預け下さい。
お近くにトゥールビヨンが無い場合は、どこでも結構です。
お近くの時計店へ大至急お出し下さい。

やってはいけない行為があります。

1、ドライヤーで乾かす。

ドライヤーの風には非常に強い磁気が帯びています。
時計が帯磁して狂う恐れがありますので、絶対にダメです。
それに、ドライヤーの高温は内部パーツを変形させる可能性もありますし、機械油を流してしまったり、蒸発させてしまう恐れもあります。
いくらマイナスイオン発生させる高級ドライヤーでもダメ!

2、乾燥剤と一緒に箱に入れて乾燥させる。

これもダメ。
乾燥剤には機械油を凝固させる作用がありますので、時計と一緒にするのは良くありません。


リュウズを引いて自然乾燥させるのにも限界があります。
一度は曇りが取れても、腕に着けたらまた曇ってくる場合もあります。

その場合は素直に時計店へ持って行かれた方がいいでしょう。

内部機械を時計本体(ケース)から取り出し、完全に乾燥させます。
機械の乾燥だけでよろしければ、2~3日お預かりさせていただければOK。
その後の防水検査をして欲しいという場合は、1週間~10日のお預かりとなります。


2人目のROLEXのお客様は「時計を着けて風呂に入ってて、上ってきたら曇ってた。ドライヤーで一生懸命乾かしてるんやけど、あかんなぁ」と仰ってました。(><)

時計を着けたままお風呂や温泉に入るのはご法度です。

「え!?防水のダイバーウォッチだから大丈夫なんじゃないの?」とお思いでしょうが、答えは×。

基本的にダイバーウォッチの防水基準は、川、沼、池、湖、海、プールなど常温の水温に対してです。

ごくごく一部の時計にはケース内部にシリコンオイルを充満させたような特殊なモデルもあることはありますが、それでもお風呂や温泉は避けて下さい。


「半年ほど前に頻繁に曇ってたけど、最近動かなくなりました。大丈夫でしょうか?」ってお客様もいらっしゃいました。

半年前...もう手遅れかもしれません。
パーツが錆びていたら、OHに相当の金額を覚悟して下さい。

とにかく曇ったらすぐに対処願います。


本格ダイバーウォッチが欲しい腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。
G-ショックがあるからそれで我慢するか...

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