暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

肉親

2020-07-03 | 自動筆記
繰り返し繰り返ししゃべり続ける
もういいんだ、もう逃げよう
そう言い聞かせている間に
月日は年に繰り上がる
耳を塞いで音は聞こえず
吐く息だけがこだまする
吸い込む音は聞こえないくせに
吐く息だけがこだまする
繰り返して繰り返して言い聞かせ
声、音、振動、震え、
浅ましくも逃げ出したいと願うのに
年もいくつか繰り上がった
あなたから逃げ出したい
けれど足が動かない
あなたの声は聞きたくない
けれど耳はまぼろしを拾う
どこまでもどこまでも
繰り返して、繰り返して、
どこにいるのか堂々巡りで
影のようだと言い切るのには
日差しは強く降り注ぐ
四方八方、上にも下にも
影の余地など残されてはおらず
なぜあなたでなければならないのか
なぜあなたが残り続けるのか
逃げさせてくれ、どうしたら
逃げることができたのなら
声もうまく出せるだろう
ことばもうまく出せるだろう
呼吸を止める必要はないと
息を吐き出すこだまのように
逃げることさえいらなくなりたい
ちらつくまぼろしはなぜ、
繰り返し、繰り返し、
同じところを回り続けるのだろう

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