暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

被告の絆

2011-03-08 | 狂おしい
高い塔がそびえている
あそこへは行けない
なぜってぼくには

(手足も目もない)

いやだいやだやめて痛い苦しい死にたくない
ぼくの罪ぼくの罪ぼくの罪
ああごめんなさいほんとうに
わがままを言ってしまって
塔へ行ってしまって
最初は爪、それから毛が
痛い痛いやめて痛いからどうか
どうか神様ぼくを(神様はきっと塔のてっぺんで)(ぼくが許されるまで待っている)(見ている)(見ているだけ)(ぼくはこんなにもつらいのに)(あいつは見ているだけ)
殺してください、どうかどうか
死にたくない死にたくない
その釘は何のために使うの打ち込むためな使うの何のために何のためにぼくを(罰するために)
罰なんて嘘っぱちじゃないか痛い
ぎらぎら光る目とぼくの汗とぼくの血
ぼくの血は地獄へ染み込むんだぼくは悪いこんなにも
血を止めてやめてそれを出さないで
ぼくの世界が止まってしまうお願いだから
歩けないからやめて犬のようにけれど罪は犬以下になる
信じなければ救われないならぼくは絶対に信じない
おまえを許さない
抉るな捩るなつまみ出すな
「とうといぎせいのこひつじちゃん」
塔に行きたい、あの塔へ
神様はぼくのようなからだをしていて
ぜんぶぜんぶ憎んでいるそうに決まっているぼくにはわかるぜんぶぜんぶ憎んで神様になっている
おまえを絶対に信じないぞぼくは
誰か誰か助けて(声は)(出ない)(けど)

高く高くそびえる塔
今も変わらずあるはずの
ぼくは盲いた目でそれを見上げる
いもむし以下には食事なんて
ぼくは盲いた目でそれを
血は地獄へ行った
体は地に堕ちた
腑は海へ流れた
肉は下水を通っている
塔へ行きたい、あのてっぺんへ
歯のない口で神様をくわえ
大地へ叩き落とすんだ
ぼくは塔へ行きたい
ああ、もうやめて、これ以上
罪なんてあるはずない
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

コメントを投稿