暮れゆく陽を追いかけて
迫り来る夜から逃れるように
足早な歩みを続けている
凍える夕暮れ
路傍の花が一輪静かに枯れるだけ
何者をも産まず
何者にもなれず
過去の果てに今があるなら
私はそれでも構わない
過去は過ぎ去ってしまったもの
今、通り過ぎた彼らのように
私には立ち去ることが出来ず
止まっている、歩きながらも
有り体の幸せを得られなかった過去は
たとえ未来に励もうとも
傷を埋めることは出来ない
涙を拭うことも出来ない
追いかけた陽は無情に沈み
花がまた一つただ枯れる
何者にもなれず
何者をも産まず
何者をも愛せず
何者にも望まず
夕暮れはやがて凍える夜になり
私の残した雫の跡を
ひとつひとつ追いかけるだろう
私は融ける日を待っている
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