トカラ列島トカラうま!

鹿児島県のトカラ列島にある中之島に県の天然記念物「トカラ馬」が飼育されています。馬好き島民による現状レポートです。

風さび~

2007-12-30 18:53:43 | Weblog
この冬最大の寒気が日本に上陸だそうで、中之島ももれなく寒くなりました。
今日は強風が吹き荒れ、雲の流れが速く、小雨が降ったり止んだりです。今回の寒波は元日まで続くそうで、寒いのいやだな~。
雨の合間にひなと散歩。頭絡をつけ、群れの周りをぐるぐる馴致です。
ただ高尾は特に風が強く、時おり吹く突風は本当に足元がふらつくほど。いいコンディションではなかったので、短めに。
早く天気よくなあれ。

TV生活2日目。
この時期にTVを復活させたのは正解で、今年あったニュースを改めて放映してくれる。今年を振り返る全国の視聴者のためというよりは私のためのよう(^-^)。
番組表がないのでぱちぱちチャンネルを変えたら、地方局の番組で、鹿児島の湧水町にある「NPOホース・トラスト」を題材にしたドキュメンタリーをやっていました。そんな牧場施設があるということは県が発行している広報誌の記事にあったと記憶していましたが、詳しい様子は知りませんでした。途中からだったので最後の10分くらいしか見れませんでしたが。
そこは怪我をしたり老衰などで使えなくなった乗用馬を預かり最後まで面倒を見るという牧場で、もう乗れないけれどオーナーさんが処分せず最期まで生かしてやりたいと持ち込むみたいです。盲導犬も北海道にそうゆう施設がありますよね。
少ない資金で運営している難しさや廃馬となるも怪我を克服して余生をおくっている馬などが印象的でした。
馬を持ち込んだオーナーさんが「馬は乗れなくなったとたんに厄介物になってしまう」と言っていた言葉も考えさせられました。
トカラ馬(日本在来馬)たちは「存在する」ということそのものに意義を見いだされていると思います。他の洋種馬は人為的手が手厚くかかっているけれども、その分コスト計算されているんだと思いました。
怪我をした競走馬はすぐに処分対象になるといいます。でもそれは走ることで健康を維持するように育てられたことから、走ることができない=健康を維持できないということで、どんなに医療をほどこしても体調を崩すことがもうわかってしまっているからだといいます。
でもまだまだ生きられる命なのに維持コストの面で処分される馬たちは、たぶん私が想像しているよりもっと多いのでしょう。
家畜の宿命だと一刀両断ですか・・・人間の価値観によって存在を許されるか許されないか決まる。

でも考えてみれば、以前は人間の命だって同じだったんですよね、“姥捨て山”の話なんかは今からみれば想像を絶する。
『羅生門』なんかの死体が転がる荒廃した都の様子とか、士農工商やカーストみたいな身分制度も。
現代も社会保障・福祉の不備で犠牲になる人もいるしな。

あれーっ・・・あんまり外が寒いもんだから頭の中も寒い話になっちゃった。ゴメンナサイ。
あったかくしようね。防寒防寒。


TV

2007-12-29 18:10:41 | Weblog
やっぱり水の惑星だなあ地球は、いや、雨の多い日本か、いや天候不順の十島じゃ。
雨・雨。気温もぐっと下がりました。手袋がほしいくらいに。馬たちもびっしょり。
気になったのは本日も脱走していたブラの糞が少し柔らかめなこと。何か他所で食べたか?寒いから気をつけてよ。
イタリアンは切って干しておいたのはいいけど、この雨でびしょぬれです。太陽が恋しひ。
今日来たフェリーは宝島折り返し便になり、小宝島を抜港してゆきました(←でも、きっと悪天候を見越して、上りたい人はもう下り便に乗ったことだと思います)。
出港決定当初のアナウンスでは中之島も抜港の危険性「接岸条件付」があると放送されましたが、なんとか大丈夫のようです。
年末年始は荒れ模様。
このフェリーが年内最終便なのです。
今日が年末の帰省ラッシュのピークだそうですね。また、海外で過ごすために出国ラッシュだとか。
ここトカラはリゾートではないのでわざわざ島でお正月を迎えようという観光客はいません。宿もお休みするところもあります。
島民のご家族も若い高校生なんかは帰ってきたりしていますが、内地で家庭を持っているようなお子さんお孫さん達は今年はあまりみかけません。
逆に内地にも家を持っていたり、家族がいたりで、お正月は内地で迎えようと出て行く島の人がけっこういます。
だから年末になるとお正月はどこ?という挨拶がけっこう聞かれます。
私も「帰る組」かと思われていたようで、驚かれますが、いつも「年賀状誰が配るのさ~」と言ってます。でもホントに休み無いのよ。意味の無い営業だけど・・・、上層部の一声でさ。

4月からラジオ生活でしたが、本日見事に卒業。TV導入です。島の人からいただいたのですが、その方ももらい物だったらしく、でも立派っ。
りもーとこんとろーらーもあるでよ。
これでラジオで聞いていた人々の顔がわかるってもんよ。どんなにニュースなんかで聞きなれた名前の人でも、街で偶然すれ違ってもわからないからね。
画面ではつよしくんがチデジを宣伝していますが、ごめんね、こちとらやっといまブラウン管のアナログを導入したとこだよう。

今年は食品の偽装事件が多くあり、白い恋人やら赤福やら有名どころがニュースになりました。
そんなの関係ないと思っていたら、最後にあった・・・。
我が夫、むすこ?いや扶養家族の大好きなおやつである「ゴン太のほねっこ」が不当表示で商品撤去・販売自粛だとか。
あれれ・・・。私が出勤する時約束のようにあげていたおやつだったので残念です。
早い復活を願います。

イルミネーション

2007-12-27 18:49:24 | Weblog
各忘年会も順々に催されていますが、予定通りに行かないのは船便。

月曜日出しのフェリーは天候不良のために火曜日に延期され、その上りも今朝まで出港が決まりませんでした。
結局悪天候のため欠航、明日に延期になりました。
ここ年末に来て荒れてきましたよ、トカラ。
金曜出しの生協はくるのか?こないのか?
金曜出しが今年最終で、上り便もあるはずですが、こんなに不安定なので明日の便で上がりたい人も多いのでは。

島に来ている工事作業員さんの寄付で、駐在所の部長さんがイルミネーションを公園に飾り付けてくれました。
ネオンのない島には貴重!月や街灯の他に夜を照らすものはないのでよけいきれいです。
(一応工事現場の赤色灯もあるのですが。これもけっこうイルミネーション代わりになったりして)
一月中頃まで燈そうかと言ってくれています。

気温は暖かです。ただ、低気圧のせいか高尾の特徴なのか風が強いのが難点。
氷が張ったり霜が降りるほどの冷え込みはありません。うんうん、南西諸島はこうでなくちゃ。

今日は一日お休みで、年末年始を乗り切るパワーを蓄積しました(つまりグータラしたの意)。
明日から(28、29、30、31、1,2,3・・・)連続勤務だよーっ。

ベストセラー本

2007-12-23 22:06:55 | Weblog
島の人から借りて、写真に写っている本を読みました。
若い芸人さんが書いた本で、今年出版された本のなかで最も売上部数が多かったんじゃなかったかな。
つい最近も移動図書で回ってきた劇団ひとりが書いた小説を読んでいたので、芸人さんって器用だな~と思っていました。
でも、違った。器用に書かれた本ではなく、本当に心で感じたことを書いているんだと思わせてくれました。
小学生の頃に母親を亡くし、中学二年で父親が家族離散(解散)を宣言して消え、本人は短期間だけれどホームレスになる。
作り話のようで本当、そして助けてくれたり関わってくれたりする人間の優しさも実話ということに感動しました。
飢えたりひもじい思いはしたことが無いけれど、空腹に耐えられなくなった経験はあります。だから少しは私にもわかります、当たり前にあるものが実はいかにありがたいものか、それは食べ物もモノもそして人間関係も。
筆者の“亡くなった母親に恥ずかしくない生き方をしたい”という気持ちがすばらしいなと思うし、感謝〝することができる〟気持ちもいいなと思いました。
不幸なことがあると大抵は「何で自分に?」とひねくれてしまいがちです。筆者も今後不幸なことを乗り越える気力は無い、ならば恩のある人たちのためになるようなことで早く死んでしまいたいと思い至ります。
「生きる理由」を探すことが私にもあって、「なぜ生まれたのか」どうせ結局死ぬ生命ならば生きていても無意味なだけではと思ったこともありました。
思春期に誰もが通る道だといいますが、納得のできる答えがあるのでしょうか?
今は誰かが言った〝生きる過程が大切〟という言葉に納得する気持ちも生まれてきています。

文中、「子供達が楽しく笑って生きることが親孝行」「自分が立派な人間になってみんなに褒められることが結局は母親が褒められることになる」という意のヶ所があります。
自分よりも他人のことを思いやる人だったという筆者の母親、私の母(現在バリバリ働いて健在です)も私の目から見ればそんな人です。
今考えるべき親孝行は・・・自分が納得する生き方をしているって胸を張って言えるようになることかな。マダマダですが。
「子」は親にとって存在証明であると思います。

今年2007年ももう残りわずか。
今年は仕事で「職員」の立場を失い、僻地手当・ボーナス共にカットになりました。
でも考えてみれば失ったものより得たものの方が多いのです。
新しい住宅に移り、クーを譲り受けいっしょに暮らし始めました。車も買ったし、ソファもね。
新しい人とのつながりも生まれました。
そしてそして、4月にひな、7月に坊とめぐりあえました。2頭とも元気にそしてかわいらしい姿を見せてくれています。
石の上にも3年。まだ島に来て丸3年にはならないけれど、来た当初から比べるとだいぶ荷物持ちになりました(笑)。
来年は技術・精神面での豊かさを増やしてゆきたいなあ。


海山羊

2007-12-22 19:31:56 | Weblog
波が高いということで金曜出しのフェリーは今日出しに延期されました。夜中に強い風と雨がありましたが、日中はおだやかでとっても暖かでした。天気もまあまあ。竹払いをしたら汗ばみました。
船が欠航になったことで地区の忘年会用の食材が間に合わず、西集落の忘年会は明日へ延期されるようです。
飲食店の無い島ですが、忘年会はちゃんとやるんですよ。やっぱり島のお母さん達の手作りです。

ロッキーたちの柵は有刺鉄線を張りなおしたそうで、今日はちゃんと中にいました。
ブラックはそれ以前の問題で、普通の馬が飛び越えない柵を飛び越えてしまうので、
竹をくくって飛び出し防止措置をとるそうです。

写真は今日七つ山の海岸に行った時に撮りました。
山羊たちは海も好き、もちろん山にもいる、つまりどこにでもいる。
たまに人間が来た事に気が付かない時があり、今日も私がいるのがわからなかったようだったので、めえええ~と高らかに叫んでみたら、みんな動きを止めてやっと気付いてくれたよ。で、逃げてったよ。

今日は冬至だそうですね。
頂上だ、これからは日が長くなるぞ。

休日

2007-12-20 18:31:51 | Weblog
2週間ぶりの丸一日のお休み、よく晴れ暖かでした。
ロッキーとしゃっくの脱走が、入れては出ての繰り返しで今日で3日目。出る喜びを学んでしまった二人。今日の午後から柵は直してくれるそうで、楽しかったでしょうけれどできれば今日までにしてほしいもの。
昨日はブラックの柵まで行ってメスに近づこうとしたまではよかったものの、竹藪と柵にはさまって身動きが取れないところをブラックに噛み付かれたそうです。

メスを守るため、他のオスが脱走するのはブラック怒り心頭・・・自分の時は棚に上げてねえ、というかあなたが2頭を刺激したのよと姉ちゃんは言いたひ。
今日は自分も柵から出て(出られるところがすごいのだが)、応戦するところがまたなんともスーパーだ。
戻された後もメスを追いたてる様子がありました。落ち着いて、ボス。

宮崎から来てくださった師匠たちは昨日の上りで帰ったのですが、今師匠の教えに従いひなぴを調教中です。引き馬ができるようにします。すっごくいい子です。
坊ももちょっと大きくなって頭絡が合うようになったらやろうね。
それと、今日は奇跡の10秒間と呼ぼう、マリーがなでさせてくれた。うれしかった。とっても。

雨にもマケズ風にもマケズ
西に草の根っこまでひっこ抜いてしまって食べ辛そうにしている子馬があれば、行って根っこをもってやって噛みちぎらせてやり、
東にたてがみに草の実をいっぱいつけリーゼントのようになっているオス馬あれば、行って大丈夫だと取ってやり・・・

今後も世話焼きおばはんはゆく。

心一新

2007-12-18 23:48:51 | Weblog
今日の便で宮崎の師匠と秘書(うそうそ、大先生)が島に来てくれました!
こうやって島まで馬を見に来てくれるなんて、なんて情熱といいフットワーク。それだけでも感動モノなのですが、有難いことは私の足りないところをわかりやすく教えていただいたことです。あと、会話でボケたら最後は必ず落として終われということもきつく言われました。そっちの方がムズカシー。
師匠はここのトカラ馬を数日で(数日もかからないと本人は言うかもしれませんが)乗れる馬にしてしまう人です。
それは試行錯誤独学で学んできた技術と精神があるからなのですが、最近になって日本の馬調教師の最高レベルの方とめぐり合ったことで、今まで培ってきた調教時の馬の行動やしぐさの一つ一つの理由が明確にわかるようになったそうです。同時に「馬の言葉(実際の発音ではなく、こちらの意思を伝えることができる暗号)」を覚え、
それを自分なりのやり方で広げることに今取り組んでいるそうです。
私はただぼんやりとして見える馬も、「ほら、この子は今考えているでしょ」と言います。
今すぐにはわからないけれど、馬との経験を積むにつれてわかってくるそうです。
例えばある指令を発して馬が反応しない時、怒ったりオーバーアクションで再度命令しないそうです。
〝馬はいま考えている〟ということだから。だからこちらを無視しているのか、それともこの人の要求はなんだろうかと考えているのかを見極める目を培うことが重要ということです。馬の気持ちになって。馬をよく見て。

ここの馬の全体的な栄養状況は他の環境の馬と比べると悪くは無いそうです。マリーも疾患があることは認められるが、やせ方に関して言えば範囲内だとのこと。私としては急なやせ方をしたところを見ていたので、まだそこは心配な部分なのですが。牧場の草に関してはなるべく栄養価の高い草丈の短い(若い)うちに馬が食べられる状況を作ることができればいいというくらいで、輪作放牧(一定期間馬が入らない区画を作って草を生やし、草が無くなれば馬を移動させてやる)を今すぐに考える必要があるというレベルではないそうです。それはリュウキュウチクが栄養源として大きな役割を担っているということもあります(リュウキュウチクに関してはこちらが思うよりずっと驚きの目で見ていました)。
ただ、柵の劣化は大変問題とのこと。そして血統管理。オス馬の島⇔鹿児島間のトレードができないのであれば去勢を考えるべきとのことです。

私の望みは一つ、主観的といわれようと独り善がりと思われようと、ここの馬達が“私の目から見て”しあわせそうだと思える状態にしたいということです。
それを実現させるためには今まで持っていた後ろ向きの考えは捨てなくてはいけません。
過去は過去。
去年私の手の中で死んだあの子のことは教訓だけれど、引きずってはいけないということ。
(この言い回しも引きずってるってね、今回だけ許してね)

今まではズルズルズルズル引きずって、いろんなもの引っ掛けて重くて、自分に力が無いもんだから先が見えなくなっていた部分があります。
師匠と先生の来島をきっかけに、自分も変わりたいです。引きずっているもの放せるかな、一度放してみて体力がついたらもう一度しょいなおしてもいいしね。ダメダヨーって声が聞こえるけど、そのときは背負ってもすたすた歩けるくらいまで脚力あるか、荷台に乗せる知恵がついてるから、きっと。

のうしんとうの頭で考えること

2007-12-17 22:27:41 | Weblog
昨日の夕方、不慮の事故で転倒し、頭を2ヶ所打ってのうしんとう。
見ていた人が消防を呼んでくれて、診療所へ。
おでこから出血と後頭部に腫れ、頭の痛みはあるもののふらつきや目のくらみはなし。
先生は今口之島で島には居らず、看護士さんがペンの先を目で追わせたり血圧を調べて先生と電話してくれ、今のところは問題ないとのこと。ただ、脳内で出血している場合はじわじわと圧迫してくるので最低6時間くらいはゆっくりして様子を見なさい、血の巡りが良くならないように患部は冷やしなさいって。
もし吐き気や手の先・足の先、唇の感覚がおかしいと思ったらすぐに連絡しなさいと言われました。
頭痛はあるものの、心配するような症状は今のところありません。その日は8時に床に着きましたがぐっすりでした。
いつもどおり仕事に出ました。
夕方、ロッキーとしゃっくが逃げているとの知らせ。そっかーあの子たちも出たんだ~となんだか落ち着いた気分。どこかにいい逃亡ルートがあったのかな~。
たまにはいいよ、おいしい草をいっぱい食べなさい。
この前送水のホースが途中ではずれていて、彼らの水飲み場は空っぽでした。配給もまともに無いし、自由があってもいいよ。
牧場のとなりの運動公園とゴミ焼き場にいたって。仕事帰り見に行ったら収容されていました。
もし、脱柵しているところを捕まえたら落し物を拾ったということで私のものにならないかな~。ああ、でも拾得物保管期間っていうのがあって、持ち主が現れるのを一定期間待たなくてはいけないんだっけ。それでも現れなかったら、拾った人がもらえるんだ。
お正月、役場が休みで管理者さんも島から出るからそのとき逃げてたら拾っとこう。駐在さんに届けて、で、期間経過を待ってもらおう。

奇蹄っていえない・・・

2007-12-17 22:25:55 | Weblog
ピンキー姉さん・・・奇蹄類なのに。。。これじゃあ偶蹄だ。
経年劣化でしょうか。痛みはあるのでしょうか。
歩行を見る限りでは障害まではなっていないようですが。
在来馬はひづめが強いといいます。古来日本には蹄鉄の文化がなかったところもその強さが一因です。
長い旅を共にした馬にはわらじを履かせたといいます。