トカラ列島トカラうま!

鹿児島県のトカラ列島にある中之島に県の天然記念物「トカラ馬」が飼育されています。馬好き島民による現状レポートです。

オールスター紹介「ロッキー」

2006-04-30 20:33:04 | Weblog
1999年生まれのオス。今は北の放牧場に弟たちといます。
南の牧場から今の牧場に移された当時はナーバスになったのか、弟の「しゃくれ」に上位の座を奪われそうになりましたが、現在は兄貴らしさ?を発揮。復活です。餌をねだりますが、噛みついたりはしない。繊細で、優しい子です。
なでていると、急にこっちにお尻を向ける!あれ、私嫌な事したかなとびくっとすると、蹴るのではなく、お尻をなでて欲しいんだって・・・。しかたねーなーと、お尻もなでてやってます。

現在の馬たちがおかれている状況の最も不自然な点は、群れで飼われながら、オスとメスの比率がおかしい事です。
根本的にそれを解決するには、今の群れでメスの仔馬が生まれてくるのを待つというのは気が遠くなる話。
どんどん今の子たちが年老いてゆく。
最も有効的だと思うのは、鹿児島大学の入来牧場からメスを導入する事です。中之島には今6頭オスがおりますので、メスの数がそれ以上になるように。
以前、入来牧場からのメス馬の導入計画があったようです。ただ、教育長が代わったためか、忙しいからか、計画は立ち消えになっています。
4月はじめ入来牧場にお邪魔した時には、管理主任の先生に、ここにいるトカラ馬全部持っていっていいよと言われました(笑)。大学ではトカラ馬を積極的に利用していこうという動きは今のところ無いようです。研究用には牧場にいる個体ではなく、学部内で飼われているトカラ馬を利用しています。
ただ、トカラ馬の普及を進めていこうということで、一般の飼育希望者に譲る事業は行われているようです。
また、「トカラ馬保存会」という組織もあるのですが、主な事業としては、年に1~2回ほど集まって、国やJRAに補助金を「申請し続ける」ことだそうです。

メスがもっといたならば、オスが安定してケンカも少なくなるし、それぞれのペアから仔馬も生まれる。
ああ、いい案だ・・・。管理も今のようにほっとくだけでいいよ。できれば10頭くらいババーンっと入れる!
・・・しかーし、天然記念物って移動に申請と許可が必要でややこしい。
そして、外から病気を持ち込まれることを気にしているところもあるのよね。

まあ、でも、一案として。

がじがじ

2006-04-29 21:49:04 | Weblog
南の牧場。やっと今年の新芽がむくむく出てきましたが、出るそばから食べられています。(ちなみに口元モデルはブラック)もっと生えて!
牧草地は年中馬たちに刈り込まれているため、ゴルフ場のようにきれいです。むかーし、本当にここでゴルフをやったそうな。

オールスター紹介「ラッキー」

2006-04-29 21:39:55 | Weblog
ラッキーは1995年生まれ、最年長のオスです。栗毛が目立っています。
なかなか気難しい子で、なでさせてくれませんが、餌くれるの?と寄ってきてはくれます。
メスをめぐる攻防ではいつもグレー・ブラック兄弟に負かされ、遠巻きにメスを見ています。 

今日からゴールデンウィークが始まったため、島にはいっぱいお客さんが来ています。
船は夜11:00鹿児島の港を出て、翌朝の6時過ぎに中之島の港に着きます。今日の船はこのまま各島に寄港して奄美大島の名瀬港まで行き、明日また鹿児島に上るため折り返して来ます。鹿児島には夜の7時~8時に到着する予定です。1便で島に1泊して帰るお客さんや、何とか上り下りの便を駆使して複数の島をまわるお客さん、1つの島にゆっくりするお客さんと様々です。
トカラは何かの本で「文明の果てるところ」とまで書かれたところですが、今は大型のフェリーも周航し、以前に比べれば段違いの生活を送れるようになりました。お年よりの話や昔のトカラが書かれている本などを読むと良くわかります。
ただ、今でも第1級の僻地である事には間違いありません、でもそこに人を引きつけるものがあることも確かです。

さて、そんな僻地と呼ばれているところで飼われている馬ですが・・・。
昨日の続き
仔馬をぬらさない為には・・・、まず屋根が必要。
そして、そこに母親が安心していられる事が必要。
①確実に妊娠していると判断された状態のメス馬を群れから1頭離す・・・。今の状態では難しいですねえ。
②妊娠しているメスからオスを離す。作業する人間が怪我しなきゃいいけど・・・。
③では妊娠する前からもう、繁殖用のオスとメスのペアを分離して、血統管理も兼ねる。できるかな。
③はもう、馬の管理を人間がばっちり見ないといけない状態になります。餌も夏冬問わず与えなければならなくなるし。
予算と人員の覚悟が必要。

雨に打たれて立ち上がれなくなっていた仔馬の様子が浮かびます。
ホントにどうしたらいいんだろう。



オールスター紹介「あき」ちゃん

2006-04-28 21:42:54 | Weblog
9頭の中で一番若い。2002年生まれの4歳、オスです。
私はたまに「パクちゃん」と呼びます。ぱくぱくよく人をかむ(こっちもかまれるほどとろくないので大丈夫ですが)。
トカラ馬は噛み癖があると何かで読んだことがありますが、食い意地の問題?
いまはお兄ちゃんの「ロッキー」「しゃくれ」と北側の牧場にいます。お兄ちゃんたちがちょっぴり怖いの。

近年、仔馬が生まれても死んでしまっています。
聞いたり、資料を写しとった限りではこうです。
2001年「ピンキー」が産んだ子
2002年「マリー」が産んだ子

2003年「ローズ」が産んだ子(2日)メス
2003年「ピンキー」が産んだ子(2ヶ月)メス

2004年「ローズ」が産んだ子(不明)
2005年「ピンキー」が産んだ子(2日)オス

2006年「マリー」が産んだ子(4日)オス
(マリーは’03~’05の間にもう1頭産んでいるみたいです。)

この子たちは何が原因で死んでしまったのか、私にはわかりません。
ただ、今年死んだ子は最初から弱かったような気がします。でも、お母さんは優しかった。ずっとそばにいたし、乳も飲ませていたようです。
人が関与しない、自然に淘汰されるものならばされていいという野生の原則を適応するのならば、今回の仔馬は生きてはいかれない命でした。本当に人間は何も手をかけませんでした。
弱い命は残さない、野性の原則をこのまま適応していくのでしょうか・・・?

今回死んだ仔馬から学んだ事がたくさんあります。学ばなくてはいけないと思いました。無駄にしたくなかったからです。

肝に銘じたことが一つ。!!生まれたばかりの仔馬は雨にぬらさない!!
さあ、ぬらさない方法を考えていきましょう。(そんなこと簡単?ここでは難しいことなんです)




トカラ9オールスター紹介「ピンキー」「ローズ」

2006-04-27 20:08:46 | Weblog
写真向かって右が「ピンキー」ちゃん、左が「ローズ」ちゃん。
似てるって?母娘ですもの。馬はみんな見分けがつかない?いえいえ、ばっちり個性的ですよ。
ピンキーは1995年、メス補充のために鹿児島から導入された個体です。その当時の年齢がわからないため、11歳以上であることは間違いありません。ピンキーは今いる「ローズ」「ロッキー」「しゃくれ」「あき」のお母さんでもあります。
トカラ馬の平均寿命はわかりません。飼い方で、差があると思いますが、中之島のは15~17歳くらいかなあと勝手に想像しています。飼育記録がしっかりしている動物園によりますと、26歳で死んだ記録があります。
ローズは8歳。彼女は3頭の仔馬を出産した記録がありますが、今その子たちは3頭とも死んでここにはいません。

トカラ馬飼育に対する妙案を出したいのですが、わからない事ばかりで、パパッと浮かびません。
一つ一つ確認しながらの作業になりそうです。
最重要視したいことは「馬を幸せにしてやりたい」ということですが、これが難題。
何が「馬の幸せ」だかわからない。本人はしゃべらないし、私の勝手な想像でしかないものですから、これを具体案のトップ項目にもってくることはできません。(でも、根底にはこの考えを持っていたい。)
だから、最重要課題は、いかに仔馬を死なさないで育てるか。ということにします。そのためには母親の健康管理も大切だし、母親にかかわる群れの管理も大切だし。

話は前後しますが、イギリスの農用動物福祉委員会によって提唱された「5つの自由」という思想があるそうです。
これは世界獣医師協会でも採用されているそうです。
①空腹と渇きからの自由
②身体的な不快感と痛みからの自由
③傷害と病気からの自由
④恐怖と苦悩からの自由
⑤本来の行動パターンにしたがう自由

中之島の子たちはどうか。

中之島

2006-04-26 19:13:06 | Weblog
アドバイザーからの「くれぐれも批判めいた文面にならないように」というご指導のもと、このブログはもっと建設的な発想で歩んでいきたいと思います。そして、願わくば、ここから人とつながる事ができ、何かが生まれたり、良い方向に進むようになればいいなと思います・・・。

今、たくさんのツバメが飛来しています。アカヒゲもいっぱい来てます。ホトトギスやアカショウビンももうすぐ大きな声で鳴いてくれると思います。
中之島は比較的森が深く、天然記念物のエラブオオコウモリがおり、ミサゴ、コノハズクなどの猛禽類、カラスバト、たまーにヤツガシラも見ます。
ただ、島ではネズミ駆除のため持ち込まれたイタチが大繁殖、また、人間のごみを餌に野猫も増殖中で、生態系が心配なところもあります。
島のシンボルは御岳(標高979m)です。晴れた日はとてもきれいです。活火山なので、温泉が湧いています。
季節ごとに島の味も楽しめます。今はビワです。冬はみかんがとれます。ツワブキも大きくて有名だそうです。
もう、たけのこが出はじめています。これからはトビウオです。

島の人口は約160人、十島村全体では約700人くらい。唯一の交通機関として、村営船の「フェリーとしま」が週2~3便往復します。
島にお店は1軒しかありません。レストランやコンビ二もないです。郵便局がありますが、ATMはありません。
病院はありませんが、診療所があります。急病で入院が必要な時は、天候次第ですが、ヘリコプターが鹿児島から飛んできてくれます。
お年よりの多い島ですが、みんな元気!そこらの若いもんには負けません。

海もいいです。釣りをする人は、GTという大きな魚をねらったりしています。イセエビやカツオ、シビがとれます。
ダイビングショップもあるので、海にも潜れます。ただ、南の島の象徴である「白い砂浜」がありません。残念。

ここに来て丸1年ですが、興味深い事ばかりでした。唯一泣いたのは「仔馬の件」だけです。
トカラ馬の住む島のご紹介でした。
明日は仕事がお休み。畑と馬のところに行ってきまーす。




地道に

2006-04-25 20:27:31 | Weblog
仔馬を死なせてしまったショックで、馬の管理に対する不信感はますます深くなってゆきました。
それが現在、大きな溝となっています。
アドバイスをくださる方が、こんな事をおっしゃってくださいました。
「批判ではなく、対案を出さないといけない。世話を通じて飼育経験を積んでから、こうすればどうでしょうか?という風に具体的な方策を提案してみて。相手は批判に対する具体案がないから嫌な顔をする。何事もそう、批判だけでは相手は歩み寄って来ない。どうかくじけずに地道に交渉を続けて。」
少し光が見えたようでした。ありがとうございました。

凶器

2006-04-25 20:25:04 | Weblog
これは、放牧場のまんなかにあるゲートの入り口です。四角柱の鉄の角材で組まれています。
以前グレーがこの突起部分で大きな怪我をしました。人間のこぶし大の肉がえぐれていました。
痛そうでした。肉片が柱のところにくっついていました。
今は回復し、傷跡もほぼ完治。ホントに夏場じゃなくて良かった。感染症もなく、うじも湧かず、しばらくはびっこを引いたくらいで、あんたは強い!!
このゲート、トカラ馬のサイズを知らない人が作ったのか、中で馬が回転できてしまうというしろもの。
何を目的に作られたのか?そして、どうして馬が怪我をしてしまうような鉄の角材で作られているのか?

今年生まれた仔馬がこの地面の下に眠っています

2006-04-24 20:49:05 | Weblog
今年3月に生まれた仔馬は4日後に死にました。
低体温症で、体温は32度でした。
その日は強い雨が降り、台風のような風でした。
私が仕事が終わって見に行った時には、既に立ち上げれなくなっていました。
室内に保護し、点滴などを試みました。かわいそうな死に方をさせてしまいました。
今でも涙か出ます。
初乳は飲んでいたようです。でも、見た感じが弱かったので、教育委員会には獣医さんに意見を聞いてくれと
連絡を入れたのですが。海の向こうには緊急性が伝わらなかったようです。

ここで仔馬を死なすのはこれが初めてではありません。もう、何年も仔馬が生まれては死んでいます。
私はまだ島に来て2年目なので、仔馬たちが死につづけているという現状を実際見たわけではありません。
でも、今回仔馬が死んだ状態を見て、ああ・・・こうやってか・・・と思いました。
仔馬はこの状態では育たないんだと実感しました。
獣医さんに言わせると、母親の栄養状態が悪いため、お乳に栄養分が足りないのでは、とのこと。
近親退化(近親交配の弊害)もあるのかな・・・?
まあ、とにかく、仔馬をぬらすな!ということ。
今度もし仔馬が生まれてきても、また死んでしまうのでは。
それまでに私が成長して、仔馬を助けられるようにならなくちゃ。越権行為といわれようと、死なすよりはまし。

にわかファーマー

2006-04-23 21:21:38 | Weblog
今日は、借りている畑に春蒔きの牧草「ローズグラス」の種を蒔きました。
にわか素人ファーマー誕生。なんでもやってみないと。どうか、芽が出て大きく育ちますように。
・・・でも、肥料は入れてなーい。
島では今まで馬のために牧草を育てるなんてことはなかったようで、話すとみんなに笑われます。ものずきねーって。
イネ科の植物なので、すごく細かい種でした。蒔いたら深く埋めず、必ず強く鎮圧することと注意書きにありました。
これがうまくいったら、本番、秋蒔きのイタリアングラスに挑戦です。

ラッキーの太ももの傷はだいぶ良くなりましたよ。
微妙にケロイド状の傷跡から毛のようなものもはえてきているように見えるし。
相変わらずグレーの傷はまだ大きいです。でもだいぶ回復しています。これが、比較的乾燥している冬場だったからまだ良かったのです。夏は湿気が多く、また虫もたかるそうです。夏に流血するような大きな怪我をしませんように・・・。
(っていうか、させない努力をしろ!管理者っっ!)(おっと、いけない、いけない)