トカラ列島トカラうま!

鹿児島県のトカラ列島にある中之島に県の天然記念物「トカラ馬」が飼育されています。馬好き島民による現状レポートです。

ナチュラルホースマンシップ

2008-11-16 19:57:17 | Weblog
ナチュラルホースマンシップ

調教の方法は数多くあります。それこそ昔からある縛って叩いて馬の抵抗する力を総てそぎ落とすやり方から、逆にコミュニケーションをもとに馬の自発的行動を促して
人間との関係を結ばせるやり方もあります。
後者をナチュラルホースマンシップと呼びます。
“馬の言葉”つまり鍵となる馬の仕草を駆使し、こちら(人間)の言おうとしていることを馬に伝えることができるのです。
馬は人間が求めていることを理解したうえで行動するので、恐怖やプレッシャーによる受動的な服従ではなく能動的にコミュニケーションとして行動してくれるというのです。
馬にプレッシャーを与えないで行うトレーニング方法は従来のやり方を踏襲してきた人にはなかなか受け入れられないものだそうです。
しかし今、ナチュラルホースマンシップのプロたちがそのやり方を体系付けはじめており、我々も学べるところまでになりつつあります。非常に楽しみなことです。

恐怖を伴わないこの調教法は馬にとってだけではなく人間にとってもメリットがあります。
特別な施設(馬場や厩舎など)を必ずしも必要としないということや、大きな動物にプレッシャーを与えるという精神的・肉体的労力が要らないのです。
コミュニケーション方法をマスターしてしまえば、ほんの少しの時間で馴致が可能ということです。ただ、その域に到達するまでには繊細な注意力が必要でしょう。

馬は受動的な動物といわれます。確かに草食動物である本来の生態からは身を守るすべとして敏感な感覚を備え、常に安全を求めています。
しかし一方で人間とのコミュニケーションを能動的に構築しようとする能力も持ち合わせています。それを発揮しているとき、馬は活き活きとして見えます。
それを調教のはじめから体感できるのがこのナチュラルホースマンシップだと思うのです。
プレッシャーとリリースのやり方も有効的ですが、人間と馬との折り合いをつけることが必要です。

私がこれから使おうとする馬たちは、人間と関わらなければ自由に放牧場で草を食んでいればいいという子たちです。
わざわざその自由を奪ってまで人間と関わらせることに対しての理由(メリット)をいくつでも挙げることはできますが、問題はその方法です。

馴致調教は「従ってもらう」というゴールは同じです、しかしどのような気持ちで従ってくれるのか、そしてそれは確かなものなのかということが一番のポイントです。

木曽馬

2008-11-16 19:56:28 | Weblog
北海道だけでは飽き足らず?いえいえ、せっかくということで、日本在来馬の一種・木曽馬を多く飼育していらっしゃる牧場にお邪魔しました。
河口湖の近くにあり、この時期は紅葉狩りを楽しむ観光のお客さんが大変多い場所です。
トレッキングが主なメニューで、方々のマスコミに取り上げられているため有名です。私がいたときもTVの映像を覚えていて訪ねてこられたご家族がいました。
牧場長さんは優秀な血統(従順・体格)を求めて様々な馬種を木曽馬と掛け合わせる試みをしていらっしゃいます。
どの子も立派で、どんなお客さんにでも対応できるように調教されます。

また、在来馬の利用のもう一段階上を実践されており、つまり「馬の世界」でも認められるという調教をしていらっしゃいます。
在来馬の有用性が昨今強調されるようになっています。それは保護・保存とともに活用まで視野に入れた提言です。
しかし、「馬の世界」から見れば在来馬はまだまだ「馬」ではありません。
競技の基準が総て洋種馬が基準になっており、在来馬には当てはまりにくいのです。

この木曽馬牧場のご主人はそうゆうことをわかった上で、それでも「馬の世界」の人たちもこれならと思わせるような在来馬種のクオリティを追求しているわけです。

また、在来馬としての固有性を表すためにも日本の伝統文化である“流鏑馬”にもとりくんでいます。
和装で和鞍です。

ここでは小型馬であるトカラ馬の利用に必要な馬具(鞍)のご指導をいただきました。
小さい馬は大きな馬よりも乗り手の体重の負荷に弱いため、より気を使った馬具が求められます。
それはウエスタンやブリティッシュなどの馬具は欧米人の体型をもとに作られているため、日本人の体型では馬体に負荷のかかる乗り方になってしまいがちだということ。
ポニー用のフラットなウエスタン鞍を求めるか、一番いいのは和鞍なのかもという話になりました。

和鞍でトレッキングもさせていただきました。
面白い試みですが、やはり乗り方にコツがいり万民に提供できるというものではありませんでした。

和鞍やおもがいは、あれば大変興味を引くものですので、将来馬の気持ちがわかるようになってから試してみる価値はあると思っています。