やっつけ仕事

EverQuest2に登場する"本"を勝手に集めた場所。一部日記有り。08/06/20更新終了。管理は続行

ヴァーミンズ・スナイの建築様式

2005年12月22日 | EQ2 本
★ヴァーミンズ・スナイの建築様式

この書物ではケイノスの地下、ヴァーミンズ・スナイに見られるさまざまな建築物について触れている。
一般的な建築の知識を身につけ、ケイノス地下に眠っている実例をとりあげながら理解を深めよう。

ヴァーミンズ・スナイに見られる3つの建築様式について、この書物で調べてみよう。
ページの一部は破り捨てられている。
 ― 前の持ち主が現地に行った際に必要なページだけ切り取って持っていったのだろう。
すべてのページを通して読むには紛失したページを見つけださなくてはならない。


■排水設備
この地下墓地を単に溢れた雨水や汚水を流すだけの排水施設だと考えている人々は多い。
だが、ここはその歴史と建築学の点からみれば我々の素晴らしき遺産でもあるのだ。
高い教養のある者でさえケイノス全体の水はけをよくするだけのものとしかみていないのは残念なことだ。

承知のように、ケイノスはヒューマンの歴史の初期から存在したにもかかわらず、地下墓地の整備が始まったのは、時代的にだいぶ下ってからである。
地下墓地の整備にあたって、大昔の水道設備にも手が入れられた。
街の水に関わる安全と衛生を維持するために、送水路は浄化された水を街に提供し、排水設備は使用された水を集めて街の外に流すはたらきをしている。

ヴァーミンズ・スナイの排水設備は単純な造りで、それがまた建築の魅力を醸し出している。
荒削りの御影石や美しい鉱石が回廊の壁面の随所に埋め込まれてモルタルで接合されている。
この回廊には各部屋と廊下を隔てる鉄の門扉が並んでいる。
実は、違法にケイノスに住みついた者の多くがそうしたように、地下墓地を経由してケイノスの街に出入りすることが可能であった。
そのため、今では一部の門扉は施錠されている。
また、排水設備室のいたるところに貯水槽が設置され、中には排水中の堆積物が貯められている。

ケイノス住人の多くは足下に広がる地下墓地を不快な場所と考えて近づこうとはしない。
地下墓地の区画にはありとあらゆる種類のコウモリやネズミ、それにアンデッドのような有害なモンスターが溢れているのは紛れもない事実だ。
だが、ひるんではならない。
十分な備えがあれば排水設備室の貯蔵庫までたどり着くのもさほど困難なことではない。
なお、ヴァーミンズ・スナイには灯りがともされている。
この灯りは排水を滞りなく流すために堆積物を除去する作業者が用意したものだ。

一点、諸賢の注意を喚起しておきたい事項がある。
地下墓地内にブラッドセイバーが集結しているという噂がある。
この悪党の集団は腐敗の神、“病をもたらす者” Bertoxxulousを崇めている。
教養のある諸君は承知のことだろうが、Bertoxxulousをはじめとする神々はもはやこの世界に存在しない。
しかし、その信者は絶えてはいないのだ。
ヴァーミンズ・スナイの内部を見て回るなら、こうした者たちに注意する必要がある。


■アーチ
アーチは非常に効果的な建築技術の1つだ。
ここではヴァーミンズ・スナイに見られるアーチの様式を解説し、著名な建築家の逸話も織り交ぜてその時代的背景を探ってみよう。
アーチはその力学構造によってそれ自体の何倍もの重さを支えることができる。
地下での建築に用いるのに理想的な構造である。

実のところ、私は個人的に、アーチには目がない。
アントニカの田園地方を旅していると、古い水道橋の名残を目にして立ち止まっては感嘆することしきりだ。
アーチほど用途が広くて耐久性に優れた建築様式はない。
ヴァーミンズ・スナイには素晴らしいアーチがいくつか存在する。

ヴァーミンズ・スナイの排水設備室の先はケイノス地下墓地でも最古の区画だ。
いかにも頑丈そうな形のアーチの組まれた天井はさほど高くない。
一部のアーチは構造を補強するためにあとから追加されたように見える。
事実、それまでは排水処理だけのために使われていたこの区画は、ある時期以降、霊廟として利用されるようになっていった。
このあたりでいまだ闇をさまよう霊に遭遇するのはそのためであろう。

巨大な排水設備室を越え、天井の低い回廊を抜けると、一段と天井の低い部屋にたどり着く。
建築家Randalph Magnamorseの時代のものだ。
ケイノス出身のヒューマンだった彼こそ、ケイノス建築史上に“ランダルフェスク期”の名を刻んだ偉大な人物である。
その様式は簡素にして均衡を重んじた。
部屋の中央を貫く垂直の梁が渡されたアーチ、それを支える比較的質素な柱といったこの様式の特徴は際だっている。

比較的新しいアーチにはハイエルフによる建築様式が取り入れられている。
その特徴はひと目でそれとわかる優雅に波打った曲線美である。
ケイノスを興した Antonius Bayle Iの頃からずっと街はヒューマンの城塞だったことを考えると、エルフによる建築様式の存在は奇妙に思えるかもしれない。
だが、ケイノスの歴史をひもとけば、ヒューマンたちがエルフに相談を持ちかけ、助言を得ていた時代があるのだ。
当時は建築についてもエルフの支援を受けていたのである。
エルフの建築様式には優美なアーチの型が数多く存在し、それぞれに注目すべき美しさがあるが、それらは区別されずにまとめて“エルフ様式”と呼ばれている。


■天井
十分に明るい光源をヴァーミンズ・スナイに持ち込めば、暗闇の向こうに映し出される天井を見ることができる。
完全な漆黒の闇のなかで朽ちさせてしまうのはあまりにも惜しい芸術的な天井だ。
この部分を読めば、天井とは頭上を覆うただの屋根だという認識は改められることだろう。

常日頃、地面を見て過ごす時間のなんと多いことか。
 ― 草木の根っこや転がっている石ころにつまずくから? 銅貨が落ちているかもしれないから? それとも靴ひもがほどけている? この案内書を読めば、少なくともケイノスのヴァーミンズ・スナイを巡るあいだは上を向いて歩くようになるだろう。
 
ヴァーミンズ・スナイには注目に値する天井が数少ないことは確かだ。
だが、建築に目の利く者ならば、類似の地下墓地と同じ様式を見出すこともできよう。
ヴァーミンズ・スナイの建築には主としてランダルフェスク様式が採り入れられている。
木摺をしっくいで覆った天井とそれを支える装飾のない柱が特徴だ。
この初期の建築様式では、簡素で心暖まる居住空間が追求されている。
世界の再建を余儀なくした“大崩壊”後に起こった“ルーツへの回帰”運動の影響を受けた結果である。

やがて簡素を基調とするランダルフェスク様式は廃れ、“後期アントニカ”様式へと移行していった。
タイルや珍しい要石による適度な装飾が施されたアーチ。
依然として質素ではあるが装飾が垣間見える天井。
敷石上を歩く者の目を惹くタイル張りの小壁。
統一された柱頭を冠し、表面に縦溝の彫られた柱。
それまでの柱の並びに代わって壁がめぐらされた墓地内の拱廊。
これらがスナイに数多く見られる後期アントニカ様式の特徴だ。

ヴァーミンズ・スナイの天井で最も美しいのが“初期エルフ”様式のもので、機能だけでなく美観を重視しているのが特徴だ。
アーチによって補強された天井は高く、ヴォールトセルと呼ばれるリブのあいだの楔形の領域は、まれに明るい色で彩られたものもあるが、多くは夜空の風景が描かれている。
街の地下に眠るこうした至宝を存分に鑑賞するつもりなら照明道具の用意を忘れてはならない。




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