第1章空中線と電波伝搬
(7)VHF帯とUHF帯の電波伝搬
その2
前回は、周波数の区分とVHF帯及び、UHF帯の電波は、
直進性が顕著である事と 反射をすると言う事をお話致
しました。それでは 具体的な場面でこれらの周波数帯
の電波がどの様に伝搬していくのか観てみましょう。
(1)直接波と大地反射波
(図の番号が順不同になっています。)
図2 の様に送信アンテナから受信アンテナへ 直接届
く直接波と大地で反射して受信アンテナへ届く大地
反射射波があります。
図-2を見て頂きますと直接波と大地反射波とでは 受
信アンテナ迄の経路による距離の違いが出てきます。
電波は、磁界と電界で出来ています。
磁界と電界は SIN波状に 大きさを変えています。電
界の最大値をVとしますと大きくなったり小さくなっ
たりする 1秒間の繰り返しの数 (周波数) を f 。時間
を t、そして電波の 時間毎の大きさを Eとし ますと
E = V・sin( 2・π・f・t + θ)
となります。ここで”θ”を位相と言います。位相は角
度ですので °(度)又は、[rad] (ラディアン)が単位に
なります。
θ = 0 で t = 0 なら E = 0 となります。
しかし、t = 0 でも θが ”0°” でないと E は、”0” に
ならずにある値を持ってしまいます。
直接波と大地反射波の2つの E があり その θに違い
がある場合を位相差と言います。
同じアンテナから輻射された直接波と大地反射波は、
受信アンテナ迄の経路の距離の違いにより両者の間に
位相差が生じてしまいます。勿論、両者の間の距離の
差が、λの整数倍の時は、位相差が"0"になります。
合成波とは、直接波と反射波を 受信アンテナで捉え、
両方の電波を足し合わせたものとなります。
上の図では、位相差が”0”ですので足し合わせますと、
元の大きさの2倍になっています。
次の図は、直接波と 大地反射波の 位相差が 180° の
場合です。
この場合は、位相が逆ですので打ち消し合って、合成
波は、”0” です。
ここまでは、直接波と大地反射波の最大値が 共にEの
場合ですが、受信点迄の経路の距離が違う場合、直接
波と大地反射波との合成波の大きさは、送信アンテナ
から 受信アン テナ迄の距離により 複雑にその大きさ
の違いが 出てきます。
移動しながら合成波を受信しますと電波の強さが強く
なったり弱くなったりすのは、この為です。
直接波と大地反射波の電波では、ここがポイントです。
その他、電波は、 建物や山等の地形そし短波帯の電波
伝搬では、電離層での反射波が加わります。
電離層は、別としましても 例えば TVの放送電波にし
ても、放送局から 皆様のご家庭のアンテンへ届く迄に
直接波と沢山の経路による 沢山の大地反射波を受信す
る事になります。
上の説明では、反射波の経路は、1つですが、 実際に
は、1つの直接波と 複数の経路の 反射波の合成を受信
する事なります。
(2)VHF帯とUHF帯の電波の到達距離
これらの電波は、直進すると言いました。
地球は 球体ですので下の図の様に送信アンテンから地
球に接する直線を引きますと 地球との接点から先の地
域では、送信アンテナからの電波は 地表に届かなくな
ります。
この為、首都圏では 地上デジタル放送の電波を遠くへ
届ける為にスカイツリーを建設しました。
私達は、日常、平らな所に住んでいる様に思いますが、
数十[Km] 離れますと、 平らとは、言えなくなります。
下の図の青の細線は 幾何学的(光学的)見通し距離を示
します。数十[Km]離れた地点は、青の細線と地球との
接点より先になります。
続きは、9 月の「法規」と「工学」のページで お読み下
さい。
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