第1章空中線と電波伝搬
(4)半波長ダイポール・アンテナ
その2
今回は、半波長ダイポール・アンテナの続きで、電波の
輻射の原理と特に半波長にする意味ついてお話を致しま
す。
半波長ダイポール・アンテナの図をもう一度掲載してお
きます。
灰色の棒が”半波長ダイポール・アンテナ”です。
赤い線は、”給電線”。そして、交流電源のマークは、送
信機です。
[半波長ダイポール・アンテナの輻射の原理]
図-5の (A) と (B) そして (C) の各図の太い線は、アン
テナです。
図の (A) には、抵抗が繋がれています。
図では、Iと書いた電流が流れています。電気の世界で
は、電流を ”I” と書きますので覚えておいて下さい。
図-5
電流の横に描いた矢印は 電流の流れる向きを表してい
ますが、これは、 一瞬を捉えているもので 電源が交流
ですので、 電流の向きは、時間と共に変わります。
一般の方々は (A)の場合、電源とアンテナと抵抗が繋
がれていますので、電流が流れる事を理解できますが、
(B) の様に抵抗を取り除いてしまった場合、電流は 流
れないと考えてしまいます。
しかし、皆様は、電流とは、 ”電子が動く事” と理解さ
れていますので、(B)でも 電流が流れている事を理解さ
れている事と思います。もし 疑問に思う方がいらっし
ゃいましたら、第1章の「(1) 電気って何?」 の記事を
読み直しておいて下さい。
それでは、 (B)図の場合の電流がどの様に流れているか
を考えてみましょう。
電源からアンテナの端へ移動して行った電子は、その先
が有りませんのでその先へは、いけません。当然ですね
。
それでは電子はアンテナの端に貯まってしまうのでしょ
うか?
プロレスでロープへ向かって走って行くとロープに跳ね
返されると言うシーンがあります。
あるいは、手から落ちたボールは、床で跳ね返ります。
もし、手から床までの高さが無限でしたらボールは、ず
ーっと落ち続けます。
アンテナの端へ辿りついた電子は、アンテナの端で跳ね
返されてしまうのです。
この事を通常、”反射”と言います。
アンテナの端へ向かっていく電子の量は所により違いま
す。これは、結果としてなのですが、所により動く電子
の数が違うと言う事です。
アンテナの各部分とその場の電子の移動量をグラフにし
てみますとSIN波状になっています。
結果としてと言いましたが、前段階としてSIN波がアン
テナの端へ向かって進んで行きます。
この波を”進行波”と言います。
進行波は、アンテナの端で反射しますので この波を ”
反射波”と言います。
進行波と反射波が重なりますと、移動する電子の数が”
0” の所と、 移動する電子の数の変化が大きい所が出来
ます。
移動する電子の数が ”0”でない所では、移動方向も変わ
ります。
移動する電子の数の変化量は、アンテナの端から中央へ
行く程、多くなり、中央が最大です。
この様子は、図-6及び、図-7の様になります。
図-6
図-7
それぞれの図の”弧”は、移動する電子の量を表していま
す。
図-6では、電子の移動方向は、”左”。図-7では、”右”で
す。
弧の高さの一番高い所は、電源の所です。弧の大きさと
向きは、図-6 と図-7の間を行ったり来たりします。図-
6 と 図-7の ちょうど中間の電源の所でも”弧”の高さが”
0”の瞬間があります。この時は、移動する電子の数が場
所によらず ”0”と言うことです。
この瞬間とは、電子の移動方向が変わる時です。
図-6と 図-7 の間の”弧”の動きは 両端が固定されたギタ
ーの弦を弾いた時の様な動きと同じです。
弦の中央の振幅が一番大きく、 端へ行く程、振幅が小さ
くなります。その様子は、図-8の様になります。
図-8
進行波と反射波を 合成しますとギターの弦を 弾いた様
になり 弦の振動(波)は、右へも左にも移動せずその場
に留まって振動していますのでこれを ”定在波” と言い
ます。
ここからは、”弧”と言わずに”振幅”と言う言葉を使いま
すと 半波長ダイポール・アンテナの アンテナの端の振
幅は、常に”0” になります。
そして、アンテナの真ん中で振幅が最大になります。
図-5の(B)図のアンテナの上に描いた細線の弧は、電流
の分布を示しています。 電流の分布とは 場所による移
動する電子の変化量のことです。
そして、(B)を開いたものが (C) でこれが、半波長ダイ
ポール・アンテナです。
半波長ダイポール・アンテナでは 金属棒又は、 導線の
全長を 1波長の半分にした事で(C) 図の様に電源のある
所の電流の変化 (移動する電子の数の変化)が 最大 にな
ります。
もし、このアンテナが 半波長より短くなりますと 電流
の最大変化が半波長の時より小さくなります。
アンテナの全長をλ/2にすると言うことは、アンテナの
真ん中の電流の変化を最大にする為なのです。
図-9を参照して下さい。
図-9
Aの長さは、λ/2で、Bは、λ/2より短くなっています。
アンテナの長さが Aの方が Bより長く、電流の量も多く
なっていす。
電波の輻射の原理でお話しました事を思い出して頂きま
すと、電流の変化を大きくした方が、強い磁界の変化が
起きて強い電波を輻射できそうです。
半波長ダイポールアンテナの場合、真ん中の電流の変化
が最大になっている事から電波を一番強く輻射できる事
を ご理解頂けると思います。
電流の変化 ⇒ 磁界の変化 ⇒ 電界の変化
磁界の変化と電界の変化は、同時におきます。
これが電波でした。
次回は、アンテナから電波が輻射される 方向により輻射
される電波の強さが違う事についてお話を致します。
(次回より、 全文の掲載は、 会員様のページのみとなり
ます。)
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