リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

「どうなる!どうする?認知症」の寸劇。

2009年12月05日 | Weblog
地元の町の社会福協議会の企画する生活・介護サポーター養成講座の一つとして講演を頼まれた。
講演のタイトルは「どうなる!どうする?認知症」
福祉会館の広間での開催。

平日の昼間で雨だったにも関わらず結構な人にお集まりいただいた。

「こういう場では当然寸劇はやるもんでしょう。普通。」という話になる。

宮沢賢治の「農村へ入ったら小作人たれ。演説をせずに劇をやれ」をもとにした、若月俊一先生の、「農村ではむずかしい医療保健の演説をしてはいけない。劇で、笑ったり泣いたりしながら、その中で納得してもらうのがよい。」
という教えに従わなくてはならない。

ちなみにうちの病院でも数年前までは町と病院の共催の認知症の講演会の前に、職員が劇をやっていたという伝統もある。(ここ数年は途絶えてしまっているが。)

ネットを調べてみると認知症をテーマとした寸劇は各地でなされているようで対応を説明する簡単なものから、何幕もある大掛かりなものまで色々あった。しかし、どれも帯に長し、たすきに短しで練習している時間もない。
と言う訳で、実際のエピソードをもとに脚本から自作したので結構大変だった。

「身捨ててこそ浮かぶ瀬あり」と自ら認知症の親父を演じた。(実はセリフ一番少ない。)
研修医の先生と新人ケースワーカーも無理やり巻き込み(しぶしぶ)熱演してくれた。



今はPCで音楽から背景までできるので簡単だ。
しかしカツラとかなんであんなに病院にあるの?
素人の即席のへぼ劇だったけど、皆さんとの距離は縮まったしそれなりにうけたかぁ。

講演自体は認知症についての基本的な知識や、普段の診療で感じていることなどをお話しした。
特に認知症を抱えて生きている人の心理や、介護する家族の心理、そしてこういう場では普段はあまり話されることのない終末期のことも盛り込んだ。

裏の意図として、だれもが関係のある認知症を通じて、他の精神障害(統合失調症や高次脳機能障害、発達障害など)をかかえながら生きている人でも安心して自分らしく生きていける地域社会づくりにつながればいいなという期待を込めて・・・。

スライドはこちら

良い会場だったし、もう少し相互で対話し交流するグループワークに近い形式にできたらよかったかもしれないなー。と思いました。

おこしいただいた皆様、ありがとうございました。


またお手伝いできることがあれば何なりとさせていただきます。
ここ数日ちょっとはしゃぎすぎたので、たぶん反動でしばらく寝込みます。



参考エントリー
お年寄りの今


以下、脚本です。もし使いたい方がいればご自由にどうぞ。
(一報いただけるとうれしいです。)

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タイトル「禁じられた遊び」

「劇団二度わらし」旗あげ公演。                     

配役
親父:頑固で怖く偉かった親父。大声を上げる。
息子:父親に対しては頭が上がらない。オドオド、ナヨナヨした感じ。
嫁:気が強い嫁。ややヒステリックに。

(場面 スライド、リビングにて、サザエさんの音楽。)
嫁:「今年の片付けもおわったのに、また農具をひっぱりだしたりして、お親父さん何だか最近変じゃない?」
息子:「そうかな、親父のことだし何か考えがあるんじゃないかな。」
嫁「でもやっぱり変なのよ。この間も家に電話をして、あなたに伝言を頼んだのに・・・。すっかり忘れてしまっていて、お義父さんに確認したらそんな電話はうけていないって怒り出して。」
息子:「物忘れにしてはひどいな・・。」
嫁:「ひょっとして認知症なんじゃないかしら?」
息子:「まさか」
嫁:「絶対変よ、でもお義父さんは、むかしから病院嫌いだし、どこに相談すればいいのかしら。」
息子:「うーん」
嫁:「それに昨日も、交差点で蛇行運転していて信号無視していってたの義父さんじゃないかってお隣さんから・・・。」
息子:「たしかに最近、親父の運転は危なっかしいな。」
嫁:「事故があってからでは困るわ・・・。」
息子:「んー。そろそろ運転はあきらめてもらったほうがいいのかなぁ。でも、親父の性格じゃ言っても聞かないし。ほかの交通手段がないし、家にこもってしまうのも困るなぁ。」
嫁:「そんなこといって自分で怪我するだけならまだしも、通学中の子供たちの列に突っ込んだらどうするのよ。」
息子:「そうだなぁ、でも親父は運転が大好きだし、怒るだろうなぁ。」
嫁:「そんなこと言っている場合じゃないでしょ。」
息子:「かわいそうだけど、あきらめてもらうしかないかなぁ。でもどうやって・・。」

親父、なんとなく登場 (ダースベイダーのテーマ)

息子:(下手に) 「あのぉ、お父さん、最近、車の運転は危なっかしくはないかな・・・。そろそろ運転をやめたらどうだろう。出かけるときは俺か嫁さんが送っていくからさ。」
親父:「なんだと!馬鹿にするな!何十年車に乗ってきたと思ってるんだ!だいたい車がないと自由に畑にもいけないだろ!」
「運転できるのに、あいつらは適当なことばかり言う。人をボケ扱いしやがって」

プンプン怒りながら親父退場

息子:「だめだった。」
嫁:「それじゃ、いっそ鍵を隠してしまえば車には乗れなくなるんじゃないかしら。」
息子:「そうだなぁ・・。そうするか。」

鍵を隠す。しばらくして父怒って登場

親父:「こら!!鍵よこせ!!俺の鍵を何でお前が持ってるんだ!!早く出せ!」
息子:「ごめんなさーい。でも、気をつけて乗ってくださいよ。」

親父:「馬鹿にするな!」プンプンと怒って退場

嫁:「どうして鍵をわたしちゃったのよ!」
息子:「いや・・。親父に怒鳴られると、ついすくんじゃって・・・。」

息子と嫁退場

(画面が切り替わって、家の庭の場面(スライド切り替え)
親父、車(子供用の車を用意)に乗り込みエンジンをかける。 
 ブルルルルル・・・・。(できるかな、のテーマ)

親父:「うーん、どっちがアクセルでどっちがブレーキだっけ?」


ゴンゴン 車をぶつける。
オロオロしているがそのうちその場を離れる。

息子登場。ぶつかっている車に驚く。

しばらくして親父戻る。
息子:「お父さん、どうしたんですか、この車は!」
親父:「だれだ!オレの車にぶつけたやつは!どうなっているんだ!」

終わり。(禁じられた遊びの音楽でエンディング)

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