轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

シトロエン C5

2005-05-25 18:36:00 | CITROEN
助手 「所長、シトロエンのC5の顔が変わりましたね。この間のアウディとおんなじで新しいシトロエンの顔になるようですね。」

所長 「そうじゃな、今度出るC4やC6なんかもおんなじような顔じゃしな。」

助手 「新しい顔どう思われますか。僕はマイチェン前の平凡な顔よりも随分いいと思いますが。」

所長 「うーん、マイナーチェンジ前の顔がもうひとつ個性に欠けとったのは確かじゃが、今度の顔も相当不細工じゃぞ。」

助手 「そうですか、シトロエンらしい個性が出てて、いいと思うんですけど。」

所長 「確かに個性的な顔付きなんじゃが、それがシトロエンらしいとは思わんのじゃがのぉ。ワシからするとシトロエンっていうメーカー自体が、なくなってしまっとるような気がするんじゃ。」

助手 「えっ、どういうことですか。」

所長 「今のPSAを見とるとプジョーの兄弟車のシトロエン・ブランド、という位置づけになってしまっとるんじゃ。」

助手 「そうですか、確かにプジョーとプラットフォームを共用してますけど、ハイドロや個性的なスタイルなんか、いかにもシトロエンって感じがしますけど。」

所長 「そこなんじゃ。いかにもシトロエンって感じのするクルマをつくっとる気がするんじゃ。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「かつての独創的なシトロエンのイメージが出来上がっておってじゃな、それが一人歩きしとる感じがしてじゃな、シトロエンって会社がつくっとる気がしないんじゃ。」

助手 「わかるような、わからないような話しですね。」

所長 「あくまでもワシの感覚での話しじゃからな。要するにシトロエン風のクルマに見えるわけじゃ。ハイドロのサスペンションと、フランスのエスプリを感じさせるエクステリア、操作を難解にしたスイッチ、でシトロエンが一丁上がり、という寸法じゃ。」

助手 「そう言われてみれば、今回のフェイスリフトもわざと難解なデザインにしたっていう感じがしますね。」
所長 「実際はどうだか判らんが、PSAの考えるシトロエンを具現化した、そういう印象じゃ。それがワシからすると検討外れなんじゃが。まあ、これまでのシトロエン・ブランドが試行錯誤して辿り着いた結果なんじゃろ。」

助手 「試行錯誤ですか。」

所長 「PSAになってからのBXやAX、XMなんかは、それまでのモデルをモダンにしたような感じじゃったじゃろ。そのあとの世代、エグザンティアやクサラ、サクソでプジョーや他のクルマに歩み寄った感じがしたもんじゃ。それでC5以降の新世代はプジョーとの差別化とブランドとしてのシトロエンの確立を感じさせるんじゃ。」

助手 「言われてみれば、かなりの変更振りですね。」

所長 「グローバル化を進める上で、世界基準に合わせようとしとったのが、やっぱり個性が必要、といった戦略の変更があったんじゃとワシは見ておる。」

助手 「そうなんですか。」

所長 「で、現在のシトロエンの個性化を推し進める方針じゃが、どうもシトロエン主導じゃなく、プジョー主導な感じがするんじゃ。それがシトロエン風のアイデンティティというイメージになってるんじゃ。」

助手 「確かにかつてのシトロエンとは随分趣が異なりますよね。」

所長 「そうじゃ、かつてのシトロエンはわざとヘンテコなデザインにしてたわけじゃないじゃろ。理想を追いかけてつくったら、ああなったというモンじゃったはずじゃ。それが今は難解なデザインにしなけりゃ、シトロエンらしくない、っていう感じに見えるんじゃ。」

助手 「そう言われてみれば、そう見えてきますね。」

所長 「たぶんPSAは、シトロエンをアウディのようにしたいんじゃろ。」

助手 「プジョーの上級車ですか。」

所長 「上級車というのは、ちょっと違うかもしれん。プジョーとどっちが上とか、そう言うんじゃなくって、シトロエンという確固たる個性を持ったブランドをつくってじゃな、プジョーと違う顧客層を掴みたいんじゃと思う。その核となるのがハイドロやアバンギャルドなスタイリングなんじゃろ。」

助手 「なるほど、そういうことなんですか。」

所長 「まあ、あくまでもワシの推測じゃがな。いずれにしても、これまでのグローバル化は世界基準のドイツ車に近づいていくことじゃったが、一歩進んで生産メーカーの個性化に移ったというのは、大きな前進じゃ。」

助手 「そうですね。世界中のクルマがおんなじようなカッコをしてたんじゃ、面白くないですからね。」

所長 「それだけじゃないんじゃ。例えばフランス車がドイツ車とおんなじようなクルマになったら、フランス車を買う意味がなくなるじゃろ。それこそ死活問題じゃ。」

助手 「それもそうですね。」

所長 「グローバル化を進めていくと結局は、生産国や生産メーカーの個性が一番重要になるという訳じゃ。」

助手 「そうですね。でもそれじゃ、シトロエンのマイチェンは内容的には正解ってことになりますよね。」

所長 「そうなんじゃが、ワシからすると進め方が違う気がするんじゃが。」

助手 「じゃあ、どうすればいいんですか。」

所長 「そうじゃな、例えば22世紀のクルマはこうあるべき、という観点からつくるとかじゃな。」

助手 「22世紀って、ドラえもんじゃあるまいし。」

所長 「・・・ワシは真剣に言っとるんじゃぞ。あと、かつてのDSや2CVなんかのコンセプトをじゃな、現代の技術で再現するなんて、面白いと思うんじゃがな。」

助手 「流行の先祖帰りですか。みんなやってるじゃないですか。」

所長 「格好じゃなくってコンセプトの話しじゃ。例えば2CVの『コウモリ傘にタイヤを付けたようなクルマ』を現代の解釈でつくるとどんなクルマになるか、絶対にC2やC3にはならんはずじゃ。そういう風にその時代その時代の解釈でシトロエンのコンセプトをカタチにしていく方がよっぽどシトロエンらしいと思うんじゃがな。」

助手 「下手にブランド化されるよりも、いいかもしれませんね。」

所長 「で、出来ればGSの現代解釈版をつくって欲しいモンじゃ。小型のハイドロ・シトロエンなんていいと思うんじゃが。」

助手 「それは所長の個人的な希望でしょ。」

所長 「うっ・・・。じゃがマニアには馬鹿ウケすると思うんじゃが。」

助手 「マニアにしか売れないクルマはダメだって、いつも言ってるじゃないですか。」

所長 「・・・。」


参考資料
シトロエンC5(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
シトロエンGS(『GAZOO.COM』 トヨタ自動車株式会社)

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