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中谷防衛相と翁長知事との会談(2)

2015年05月14日 | 国際・政治

昨日に引き続き、5月9日に行われた中谷防衛相と翁長知事との会談の発言全文をご紹介します。今日は翁長知事の発言です。(サイト管理者)

 

※ 以下、転載はじめ↓

 

■翁長知事

 先月は菅官房長官、安倍総理大臣とお会いし、いろんな話し合いをさせていただいた。本土の方々に大変注目していただき、中央メディアの世論調査で平均して10%ぐらいの差で辺野古新基地に反対が示され、本土の理解が深まったことに意を強くしている。

 中谷大臣とは那覇市長時代、2、3年前に自民党県連内で普天間の県外移設、オスプレイ配備に関して議論をさせていただいた。平行線とはいえ、互いの主張を確認し、今後の議論を約束したことを覚えている。

 しかしながら昨年暮れに中谷さんが防衛大臣、私が知事に就任し、国と県の責任者として、またお会いできることを期待したが、国会答弁やマスコミ報道によると大臣の方は「今話し合っても溝が深くなるだけだ」「日本の安全保障をどう考えているのか。沖縄県のことを考えているのだろうか」と私から見ると高飛車な発言に聞こえた。

 沖縄県民に寄り添い、理解を頂けるよう努力したいという政府方針とはほど遠く、会えないことが政府と沖縄の溝をさらに深くしたと思う。

 普天間基地の5年以内の運用停止の定義について、大臣は3月の安全保障委員会で「飛行機が飛ばないこと」と答弁した。しかし、4月24日には「幻想を与えることは言うべきではない」とあっさり撤回した。仲井真前知事とは、運用停止で政府とやりとりしたが、合意されたわけではないとも答弁している。

 5年以内の運用停止は前知事の埋め立て承認の大きな柱で、前知事は官房長官も総理も約束したことが最高の担保と言っている。ぜひとも空手形にならないよう、しっかりと対応してもらいたい。

 このようなことの積み重ねが、日本国民全体で日本の安全保障を考え、負担すべきだという努力を怠り、戦後70年たっても沖縄に負担させる、辺野古が唯一の解決策ということでしか、日本の安全保障を語れない。そういった日本の政治の中で、沖縄があえぎ、苦しみ、自己決定権を強く主張するゆえんとなっている。

 私は2年前、参院予算委員会の超党派メンバーが来県した際、基地所在市町村の首長として意見交換した。その席上、普天間の県外移設に話が及ぶと、自民党の議員が大きな声でこう言った。「本土が嫌だと言っているのだから、沖縄が受け入れるのは当たり前だろ。不毛な議論はやめようや」。こういう国会議員と私はどうやって日本の安全保障を議論できるのか、と絶望感があった。

 あらためて言うが、沖縄は自ら基地を提供したことは一度もない。戦後、米国に銃剣とブルドーザーで強制的に接収され、今日に至っている。海兵隊ももともと沖縄に居たわけではない。本土に居たのが60~70年前に沖縄に移ってきた。

 自ら奪い、普天間基地が老朽化したから、世界一危険になったから、新辺野古基地に移設する。嫌なら代替案を沖縄側が出せと言う。この考え方のどこに自由と民主主義、人権という価値観を共有する国々との約束を実現する資格があるのかどうか。沖縄の視点から強く感じている。日米安保体制、日米同盟はもっと品格がある、世界に冠たる、誇れるものであってほしいと心から願っている。

 沖縄県では昨年の一連の選挙、名護市長選、沖縄県知事選、衆院選沖縄選挙区で新辺野古基地建設反対の候補者を当選させた。これが沖縄県の民意である。

 中谷大臣に具体的なお願いが二つある。

 一つは沖縄から見ると、どんなに米軍が事件・事故を起こして、その都度、県や市町村、議会が防衛局で意見や抗議しても、残念ながら防衛局には当事者能力がない。能面のように「この件は米軍に伝えたい」というのがほとんど。

 日米地位協定の最前線にいることはそういうことであって、沖縄だからこそ現実に見えてくる。

 他の都道府県の首長同様、子どもやお年寄り、まちづくりのために全力を尽くしたいが、基地に時間が割かれすぎる。知事就任して約5カ月、仕事の8~9割は基地。それ以外に経済、福祉、教育を触る時間がない。基地問題だけで知事職を全うしていると思うぐらいだ。

 せめて事件が起きたときは防衛局長をはじめ、職員が県や市町村に出向き、説明し、私たちの意見を聞いてほしい。軍転協の多くの首長も言っていた。検討してほしい。

 二つ目は辺野古の岩礁破砕許可で、コンクリート製構造物の設置状況に関する調査について、外務省に速やかに立ち入り許可が得られるよう依頼している。沖縄防衛局でも適切に対応するようお願いしている。今日まで海上保安庁の船や防衛局の調査船、工事作業船が出入りできて、沖縄県の調査船が長期間入られない状況が続いている。まさしく理不尽で見えないところで現状が変更されているのではないか、と疑義さえ私たちに生じさせている。

 日米安保体制を理解している。私の政治の流れもそうだ。しかし、新辺野古基地が唯一の解決策という考え方に日米両政府が固執すると、日米安保体制に大きな禍根を残すと思っている。先程来、沖縄がいかに日本の安全保障のために重要かという話があった。

 考えてみると70年間、冷戦構造時代から今日に至るまで沖縄は重要な「要(かなめ)」といわれ続け、なんらそれに変化がない。強調されたことも冷戦構造時代より本当にそれが脅威になっているのか、安全保障に重大な危険性があるのか、グローバルな安全保障、積極的平和主義ということで、ある意味で中東まで視野に入れた日米同盟、日米安保体制となると、その中にも沖縄が位置付けられると、沖縄はいつまで世界中のそういったものに用立てなければ、私たちは進んでいけないのかどうか、この辺のところが先ほどの説明で現状は分かるが、過去はどうか、先々はどうなのか。70年間は預かってきたが、これから以降も70年間預かるのか、その辺が明確ではないので先ほどの説明に納得できない。

 辺野古に新基地を建設するのは不可能である。沖縄県として絶対に反対したい。

 このまま日本政府が地元の理解を得ることなしに辺野古の新基地建設が途中で頓挫することが起きれば、全て政府の責任と思っている。防衛大臣の尽力で政府の新たな英断を心から期待している。

 かたくなな固定観念から脱して、辺野古の新基地建設を中止することを決断し、私たちとの話し合いを継続してほしい。

 私もアジアの中における沖縄の存り方、日本の安全保障は日本国民全体で考え、負担すべき。その努力を本土の政治家が地元の方々に自分の命を懸けて「みんなで守ろうよ」という話をしたことがあるのか。

 先ほどの参院予算委員会の一人が「本土が嫌だといっているから、沖縄が受けるのは当たり前だろう」と言ったように、そういった中で日本の安全保障を語ったら、私たち沖縄県民は今後とも大きな命題の中で生きていかなければならないのか、切ない、寂しい思いがある。この気持ちを理解いただき、今後に生かしてほしい。

 

【出典】2015年5月10日「沖縄タイムス」


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