とだ九条の会blog

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「沖縄密約」の真相--西山太吉氏に聞く(2)

2010年02月24日 | 国際・政治

昨日に引き続き、憲法メディアフォーラムのホームページ(「直言57」)に掲載され元毎日新聞記者・西山太吉氏のインタビュー「情報操作に汚染されず真実の情報を」を4回にわたり転載させていただきます。(サイト管理者)

―そのなかで密約を取り上げた。

 それはなぜかというと、当時の佐藤(栄作)政権の国内事情、政権自体が沖縄の返還以外は政権のレゾンテートル(存在意義)がない。経済的には高度成長のまっただなかで、前の内閣からの経済成長を持続していくだけ。それに内政問題が吸収されていくかたちだった。佐藤政権が長期政権になったのは、それが理由なんです。深刻な格差の問題が発生する以前の成長段階ですからね。自分たちの内閣が将来にわたってなんらかの金字塔を打ち立てるといったら、沖縄の返還しかない。中国や北朝鮮との国交正常化などは念頭にない。共産陣営との平和共存を模索するということを日本側から出すような政権ではない。

―吉野さんは取材などでも「沖縄がただで返ってくることを美化しようとしただけに過ぎない」とおっしゃっていました。

 沖縄の施政権返還ぐらいしか存在意義をアピールするものがないので、政権が命運をかけるようになった。もう一つのファクターは沖縄内部からの猛烈な復帰運動が起きたこと。政権の名誉のためと沖縄内部からの祖国復帰運動。この2つの両輪が返還問題につながった。アメリカからみればベトナム戦争を含めて超大国覇権主義の最たる時期。国防的見地、国際的な戦略の見地から最大限のものを日本側に要求してくるのは当たり前。それは何かというと基地の自由使用であり、ベトナム戦争で大きな財政赤字を抱えているから、日本側には財政的な諸要求を突きつける。いまのアフガニスタン問題とよく似ている状況で、泥沼でしたからね。

―日本が400万ドルを肩代わりする。そのことをアメリカは公表されても構わなかった。

 対米支払い全てが密約なんですよ。400万ドルは氷山の一角に過ぎない。アメリカは日本が全部肩代わりすることを要求しているわけですから、アメリカの内部問題は何もない。アメリカとしてはほぼ目的を達成し、日本側はそのことをなんと説明しようと自由である、どうぞ勝手におやりなさいとね。
 アメリカは何も隠す必要がないが、日本側が「隠してくれ」と頼み込み、「核抜き本土並み」というキャッチフレーズでごまかしていく。
 いまその「核抜き本土並み」に相当するのが、「基地の負担軽減」、「抑止力の維持」。この2つだけ。極東の範囲がいつの間にかアジア太平洋となり、いまでは全世界が「日米同盟」の対象領域になった。

(つづく)

【プロフィール】西山太吉(にしやま・たきち)さん
 1931年山口県生まれ。慶応大大学院卒業後、毎日新聞入社。72年、沖縄の施政権返還時の日米密約について取材した際、国家公務員法違反容疑で逮捕される。74年の一審では無罪。判決後、同社を退社。二審で有罪となり、78年の最高裁で有罪が確定。00年になって密約を裏付ける文書が米公文書館から発見され、05年、国に謝罪と補償を求めて提訴。07年3月、東京地裁は20年の除斥期間を経過しているとの理由で請求を棄却(08年9月敗訴確定)。09年3月には、自身を含め計25人の原告が密約文書の開示などを求めて提訴。主著に「沖縄密約-『情報犯罪』と日米同盟」(岩波新書)。

【出典】憲法メディアフォーラムのインタビュー記事「直言57」より

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