ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

教え

2012年06月18日 | 社会・政治

 高橋克也容疑者への取り調べが進むうちに、彼は今も麻原尊師への深い帰依心を失っていないらしいことが分かってきたようです。
 取り調べでは教えの話しばかりし、拘置所内ではオウム風のヨガのポーズで座り、瞑想にふけっているとか。

 平田信容疑者はオウム真理教の教えを棄て、東日本大震災以来のわが国の動揺から目を覚まし、自首しました。
 菊池直子容疑者は自首まではしませんでしたが、オウムの教えは捨てた、と明言しました。

 しかるに、高橋克也容疑者。

 おそらく人生の大半をオウム真理教の大義に捧げ、凶悪犯となって指名手配されてからなお17年間も逃げていた彼にとって、オウム真理教を棄てることは、手足をもがれるような苦痛であるのでしょう。

 ある者は麻原批判を繰り返し、涙を流して反省することで自我の崩壊を防ごうとし、またある者は世間がなんと言おうと頑強におのれが信じる教えを守り、それにすがることによって精神の安定を保とうとする。

 そこには人間精神の不思議がたっぷり詰まっています。

 おそらく、彼らオウムの犯罪者たちは、第二次大戦後、国民こぞってあれほど熱狂したナチズムを完全否定し、ユダヤ人にひたすら頭を下げることでしか国際社会に復帰できなかったドイツで、その後台頭するネオ・ナチなどの運動に走る者、ナチの残党狩りに燃える者、様々な方法でナチズムという苛烈な過去に立ち向かったドイツ人の精神と似通った点があるでしょう。

 わが国もまた、天皇を頂く帝国という国柄だけはかろうじて守られたものの、明治以降第二次大戦までの歴史は徹底した侵略を繰り返した悪の帝国だった、という洗脳を米英らから受けました。

 なんのことはない、欧米列強が世界でどう振舞っているかを観察し、同じように振舞っただけなのですが、既得権益を守りたい欧米列強は、大日本帝国のような有色人種でありながら白人のように振舞おうとする新顔が大嫌いだったのでしょうね。

 でもおあいにくさま。

 日露戦争の日本勝利に興奮した世界の有色人種たちは日本が米英等に敗れた後次々に立ちあがり、大英帝国もフランスもオランダも、勝ったはずの国々は第二次大戦後、ほとんどの植民地を失い、昔日の面影はありません。

 それはさておき。

 これから見られるであろう裁判中や、死刑や禁錮刑が確定したオウムの子らが、どのように自分の精神を守り、あるいは犠牲にしようとするのか、じつに興味深いものがあります。
 彼らの乱高下するであろう精神の運動を、注意深く見守りたいものです。

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