もう30年以上昔の話です。
某国に、にわかに大きな勢力となった新興宗教が存在しました。
その教祖は、人類滅亡の日は近いと説き、しかもその日は何年何月何日と、明確に予言したのです。
その日はわずか数年後に迫っていました。
信者たちは恐れおののき、しかしその宗教を信じている者だけは救われて、永遠の安寧を得られると確信したのです。
多くの一般の人々はそんな彼らを、嘲笑いました。
そしてその日が来ました。
何も起こるはずがありません。
人々は飯を食って糞を垂れ、学校や会社に行きました。
それでも、信者たちは、その瞬間が起こるのを心待ちにしました。
何事もなく、その日は終わりました。
信者たちは深い絶望を味わったことでしょう。
しかし本当に深い絶望を覚えたのは、彼らを嘲笑った一般の人々であったに違いありません。
かく言う私もその一人。
私が大学生の頃の話です。
新興宗教は瓦解し、教祖は行方知れずになりました。
信者たちはどうしているのでしょう?
もう30年以上昔の話です。
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