ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

絶望

2021年11月01日 | 社会・政治

 もう30年以上昔の話です。

 某国に、にわかに大きな勢力となった新興宗教が存在しました。
 その教祖は、人類滅亡の日は近いと説き、しかもその日は何年何月何日と、明確に予言したのです。
 その日はわずか数年後に迫っていました。
 信者たちは恐れおののき、しかしその宗教を信じている者だけは救われて、永遠の安寧を得られると確信したのです。
 多くの一般の人々はそんな彼らを、嘲笑いました。

 そしてその日が来ました。
 何も起こるはずがありません。
 人々は飯を食って糞を垂れ、学校や会社に行きました。
 
 それでも、信者たちは、その瞬間が起こるのを心待ちにしました。
 何事もなく、その日は終わりました。

 信者たちは深い絶望を味わったことでしょう。

 しかし本当に深い絶望を覚えたのは、彼らを嘲笑った一般の人々であったに違いありません。
 
 かく言う私もその一人。
 私が大学生の頃の話です。

 新興宗教は瓦解し、教祖は行方知れずになりました。
 信者たちはどうしているのでしょう?

 もう30年以上昔の話です。 


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