ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ドリーム・ホーム

2013年01月24日 | 文学

 昨夜は香港の殺人劇をDVDで鑑賞しました。

 香港は英国領であった当時、映画産業が盛んでした。
 ブルース・リーやジャッキー・チェンやトニー・レオンなどのスターを生み、ジョン・ウ―やウォン・カーウァイなどの名監督を輩出しました。

 しかし、1997年に英国は香港を中国に返還。
 中国は香港を特別行政区とし、それまでどおり表現の自由を認めると表明しましたが、香港映画界は急速に衰退してしまいました。

 政治が文化にどれだけ強い影響を与えるかを思い知らされましたね。

 昨夜観た「ドリーム・ホーム」、1991年、1997年、2004年の時制を倒錯させながら、時代の波に翻弄される香港の若い女性が狂気の大量殺人に走る姿が描き出されます。

 1991年、香港返還を数年後に控えた香港政府は海岸沿いの老朽化した団地を取り壊し、住民に引っ越しを迫ります。
 そんな中、海が見える団地で育った少女は、漁師の祖父や、海沿いに住みたいと言う祖母や両親の願いを叶えるため、いつかベイ・エリアに家を買うのだと決意します。

 不動産バブルが高騰する中、ベイ・エリアのマンションの値段は急騰。
 大人になった彼女は昼は銀行で働き、夜はデパートで働くなど、マンション購入のための貯蓄に励みます。

 そしてやっと、念願のベイ・エリアのマンション購入契約を結ぼうというその日、売主はまだ値が上がると判断し、契約金額を5割増しにするよう要求します。
 絶望する女性。

 そこで彼女が取った行動がぶっ飛んでいます。
 そのマンションに現在住んでいる住人を、片っぱしから殺害していくのです。
 それも血も涙も感じられない残忍な方法で。
 そのような事件が起きれば、マンションの値は急激に下がるだろうと踏んだわけです。

 案の定、売主は大幅な値下げに同意。
 マンションが買えると思った主人公に、予想外のニュースが飛び込んできます。
 不動産バブルがはじけ、不動産の値段が暴落していると言うのです。
 呆然としてそのニュースに聞き入る殺人鬼。

 彼女は家が欲しい鬼と化していたのです。
 しかももう、祖父母も両親もこの世の者ではないというのに、約束を果たそうとして怖ろしい犯罪に手を染めてしまったのです。

 かなりストレートな残酷シーンが満載ですが、基調に流れる殺人鬼の悲哀が、観る者の胸を打ちます。

 ホラーというか、人情ホラーというか、ジャンルにはまらない、不思議な映画でしたねぇ。

ドリーム・ホーム [DVD]
ジョシー・ホー,イーソン・チャン
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