ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

爆弾低気圧

2013年01月14日 | 文学

 今日は遅ればせながら同居人の実家に正月の挨拶に行きました。
 例年であれば、元日に行って宴会となるところ、今年は喪中とあって、昼に酒なしでお茶とお寿司をいただきました。
 11時40分に住まいを出たときには雨だったのですが、同居人の実家にいる間に雪になり、しかも暴風が吹き、あっという間に10センチほど積もってしまいました。
 首都圏で10センチも積もれば大雪で、交通網は麻痺します。

 雪になることを警戒し、車で行けば5分くらいのところ、15分かけてバスで行きました。
 悪い予感はあたるもので、同居人の実家を出るころには一面の銀世界。

 バス停から数分のマンションまで歩くにも、足場は悪いは暴風は吹き荒れるはで、ひどく難儀しました。
 そして所々に、動けなくなった車が立ち往生して道をふさぎ、道路も大混乱。
 こんなに降ったのは何年ぶりでしょう。
 雪国の人は笑うでしょうが、雪になれない南関東の人間にとっては、深刻な問題です。

 心配なのは明日の出勤。
 車で行くことは端から諦めていますが、電車が動いてくれるかどうか。
 首都圏の電車は極端に雪に弱いですからねぇ。

 しかも明日は重要な会議が13時からあり、それに先立って9時に議長と打ち合わせで、10時半からコアメンバーが集まって原案を固め、午後決定する運びとなっています。
 私は事務担当者として、何が何でも9時前に出勤しなければなりません。
 参っちゃいますねぇ。

 わが里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後

 「万葉集」にみられる有名な和歌で、天武天皇の御製です。
 これは大雪が降ったことを自慢し、夫人に贈った歌です。

 私のいる飛鳥の里にはいま大雪が降っているよ。君のいる大原の古びた里に降るのはもっとあとだろうねといったほどの意で、夫人をからかうほのぼのとした愛情が感じられます。

 これに対し、夫人は、

 わが岡の おかみに言ひて 落らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ

 と、返します。

 私の住む岡の水の神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらに降ったのでしょう。(だのに先に降ったなどおっしゃって得意になっていらして。まあおかしい。)といった意味になろうかと思います。

 天皇と夫人の掛け合いが面白いですね。

 私は雪が降ると、中学生時代に読んだ「万葉集」のこの2首を必ず思い出します。

 天武天皇は大雪なんて言っていますが、飛鳥あたりにそれほどの大雪が降るはずもなく、ちょっと積もった程度でしょう。
 それを自慢するのが面白く、また、首都圏に住む人が10センチ程度の積雪で大雪だ、なんて騒ぐ現在の姿と重なり、興趣は尽きません。

 そんな古代の雪にまつわるほのぼのとした掛け合いを思いつつ、私は明日の交通状況が心配でなりません。

 

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
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