今日は遅ればせながら同居人の実家に正月の挨拶に行きました。
例年であれば、元日に行って宴会となるところ、今年は喪中とあって、昼に酒なしでお茶とお寿司をいただきました。
11時40分に住まいを出たときには雨だったのですが、同居人の実家にいる間に雪になり、しかも暴風が吹き、あっという間に10センチほど積もってしまいました。
首都圏で10センチも積もれば大雪で、交通網は麻痺します。
雪になることを警戒し、車で行けば5分くらいのところ、15分かけてバスで行きました。
悪い予感はあたるもので、同居人の実家を出るころには一面の銀世界。
バス停から数分のマンションまで歩くにも、足場は悪いは暴風は吹き荒れるはで、ひどく難儀しました。
そして所々に、動けなくなった車が立ち往生して道をふさぎ、道路も大混乱。
こんなに降ったのは何年ぶりでしょう。
雪国の人は笑うでしょうが、雪になれない南関東の人間にとっては、深刻な問題です。
心配なのは明日の出勤。
車で行くことは端から諦めていますが、電車が動いてくれるかどうか。
首都圏の電車は極端に雪に弱いですからねぇ。
しかも明日は重要な会議が13時からあり、それに先立って9時に議長と打ち合わせで、10時半からコアメンバーが集まって原案を固め、午後決定する運びとなっています。
私は事務担当者として、何が何でも9時前に出勤しなければなりません。
参っちゃいますねぇ。
わが里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後
「万葉集」にみられる有名な和歌で、天武天皇の御製です。
これは大雪が降ったことを自慢し、夫人に贈った歌です。
私のいる飛鳥の里にはいま大雪が降っているよ。君のいる大原の古びた里に降るのはもっとあとだろうね、といったほどの意で、夫人をからかうほのぼのとした愛情が感じられます。
これに対し、夫人は、
わが岡の おかみに言ひて 落らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ
と、返します。
私の住む岡の水の神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらに降ったのでしょう。(だのに先に降ったなどおっしゃって得意になっていらして。まあおかしい。)といった意味になろうかと思います。
天皇と夫人の掛け合いが面白いですね。
私は雪が降ると、中学生時代に読んだ「万葉集」のこの2首を必ず思い出します。
天武天皇は大雪なんて言っていますが、飛鳥あたりにそれほどの大雪が降るはずもなく、ちょっと積もった程度でしょう。
それを自慢するのが面白く、また、首都圏に住む人が10センチ程度の積雪で大雪だ、なんて騒ぐ現在の姿と重なり、興趣は尽きません。
そんな古代の雪にまつわるほのぼのとした掛け合いを思いつつ、私は明日の交通状況が心配でなりません。
万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) | |
角川書店 | |
角川書店 |