多分ホラー映画史上、最も多くの血が噴き出し、内蔵が飛び散り、最も笑える、まったく怖くない、スプラッター・ホラーとホラー・コメディの中間というべき迷作「処刑山 Dead 卐 Snow」を昨夜鑑賞しました。
ノルウェイの作品ということで、ヴァイキング時代の血が騒ぐのか、それともトナカイの解体で哺乳類の血や内臓を見慣れているせいか、やけに鮮血やどろっとした内蔵が出てきて、ホラー好きの私もさすがに辟易しました。
ところがこれが欧州各地で熱狂的に迎えられ、米国でも大ヒットを飛ばし、ハリウッドはリメイクまでしたとか。
日本人は畜肉業者以外は魚をさばくくらいしかしないので、大量の血液を見ると逆上しちゃうきらいがあるせいか、渋谷の映画館がレイト・ショーで上映していたくらいで話題にもなりませんでしたね。
内容は、ノルウェイの医学生8人が冬のバカンスで一面銀世界の山小屋に滞在中、第二次大戦末期にノルウェイを占領していたドイツ軍部隊300人が地元住民の反乱を怖れて山に隠れ、行方不明となっていたところ、ドイツ軍が地元住民から奪った金品を医学生たちが発見して喜んでいたところ、それを守ろうとゾンビになって蘇り、医学生たちを襲うという、まことに馬鹿馬鹿しいお話です。
この手の映画でなんで?、は禁物ですが、65年も前に死んだはずのドイツ兵たち、やけに新鮮なゾンビです。
そして医学生VSゾンビの対決、圧倒的に医学生のほうが情け容赦なくゾンビたちを血祭りにあげていきます。
首が飛んだり、はらわたがこぼれ落ちたり、医学生たちは返り血で全身真っ赤。
ゾンビは300体で医学生は8人ですから、自ずと勝敗は決まっていますが、それにしても大した奮戦ぶりです。
ゾンビが大勢で一人の医学生の両手両足および頭を一斉に引っ張って引きちぎり、バラバラにしてしまうシーンや、両目に指を突っ込んで左右に引っ張り、頭をきれいに二つに割ってしまうシーンなど、ゾンビたちのあり得ない怪力ぶりは爆笑ものです。
ストーリー性は皆無ですが、ポップで純粋に楽しめる、イカしたゾンビ映画です。
これほど人間の肉体をモノのように扱う映画も珍しいでしょう。
こういうのが受けるあたり、畜肉ばかりを食らう欧米の人々の感覚はちょっと違うようです。
もっとも、私たち日本人が、殺害したばかりで口がパクパク言ってるアジの頭と尾を飾りつけて刺身にし、活きが良いなんて喜んでいる図は、主に肉を食う人々から見ると相当残虐に見えるらしいですから、どっちもどっちですけどねぇ。
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