ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

そよりとも

2012年08月07日 | 文学

 そよりとも せいで秋立つ ことかいの  上島鬼貫

 立秋ということで、ちなんだ句を。
 上島鬼貫は江戸時代中期の俳人で、なかなかユーモラスな句を残しています。
 上の句、暦と実感が一致していたはずの江戸時代でも、暑い立秋があったことを思い起こさせます。
 人間いつの時代も暑いの寒いの腹減ったの、酒飲ませろだのと、文句を言いながら生きていたんですねぇ。
 古人が親しく感じられます。

 秋立つや 何に驚く 陰陽師    与謝蕪村

 与謝蕪村を郷愁の詩人と名付けたのは萩原朔太郎でしたか。
 立秋に陰陽師を出してくるあたり、浪漫的ですねぇ。
 与謝蕪村は私が最も偏愛する俳人です。

 すむ人も なき宿なれど 荻の葉の 露をたづねて 秋は来にけり    源実朝

 今度は和歌です。
 うまいですねぇ。
 秋のしっとりとした感じがよく出ています。

 そういえば正岡子規は源実朝を激賞し、30前に亡くなってしまったことを惜しんでいました。
 長生きしていればどれだけの秀歌を作ったか知れない、と。

 次に正岡子規が下手な歌よみとこきおろした紀貫之の和歌を。

 河風の すずしくもあるか うちよする 浪とともにや 秋はたつらん   紀貫之

 きれいにまとまっているように思いますが、その技巧派的な感じを正岡子規は嫌ったようです。

 今日生まれる和歌や俳句は、名ばかりの秋が立ったことを恨む恨み節になるような気がします。
 昼休みの今、窓の外を眺めればぎらぎらと太陽が照りつけて、いかにも暑そうですからねぇ。


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