やるせない事件が起きてしまいました。
70歳の妻が、90歳の夫の介護に疲れ果て、夫の胸を刺し、自らも自殺を図ろうとしたそうです。
しかし、胸を刺されながらも、夫は強い口調で「生きるんだ!」と叫び、救急車を呼ばせて一命を取り留めたとか。
気丈な老人ですねぇ。
その介護は壮絶を極めるものだったようです。
15年前に脳梗塞を患って脳に障害が残り、右半身麻痺。
トイレに連れて行く、食事の世話、口がゆるくなったためよだれかけを毎日3回以上代え、我がままになった夫は妻が外出したり長電話したりして自分の相手をしてくれなくなることを極端に嫌い、息子や娘と会うことも嫌い、妻は昨年うつ病と診断されたそうです。
妻は殺人未遂で起訴されましたが、息子も、殺されかけた夫ですら減刑を嘆願し、懲役3年執行猶予3年という寛大な裁きで済んだのはせめもの幸いです。
これも殺人に失敗したればこそ。
いくら情状酌量の余地が多いにあるとはいえ、死んでいたらここまで軽い刑では済まなかったでしょう。
夫はその後施設に入所しましたが、離婚はしていないそうで、刺されて初めて妻の心中を察し、感謝の念が湧いたものと思います。
命あっての物種とはこの事ですねぇ。
これもまた、男と女の恋のあり方でしょうか?
私の父は肉体的にも精神的にもひどく衰えることなく、71歳の時に倒れ、入院して数日後にはモルヒネで痛みを和らげ、この世とあの世を数日行きつ戻りつした後、亡くなりました。
格好付けだった父は、死の床にあっても、その独特のダンディズムを保ったように見受けられます。
母は今も父への恋心を隠そうともしません。
先の老夫婦とは対照的です。
私がいくつまで生きるのか、また、要介護となってしまうのか、さらに同居人はどうなるのか、未来は誰にも分かりません。
分からない未来を心配したところで詮無いことではありますが、少子高齢化による痛ましい事件が頻発するわが国にあって、寿命が延びたのは目出度いとしても、つい将来が心配になってしまうのはやむを得ないことでしょう。
明日をも知れぬ身であれば、今この時を重視する他ないでしょうねぇ。
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