ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

衰える

2015年09月15日 | その他

 横綱、白鳳が初日から2連敗して休場することになったそうですね。

 北の湖にしても、千代の富士にしても、貴乃花にしても、大横綱と呼ばれた人々といえど、衰え始めると呆気ないほど早く引退に追い込まれるものです。
 白鳳は歴代横綱のなかでもダントツの優勝回数を誇り、目標喪失のような状態で、気力を維持するのは難しいでしょう。
 気力が萎えると力が出ないのも理の当然。

 「平家物語」の冒頭の一節、盛者必衰の理をあらわす、という文句を思い出します。

平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
角川書店

 野球にしてもサッカーにしてもボクシングにしても、どれだけ活躍し、強かった人も、加齢により、衰えていきます。
 政治家をみていても、我が世の春を謳歌した竹下登も呆気なく逝ってしまいましたし、90代後半で、今も時折テレビで見かける中曽根康弘もすっかり衰えました。

 アスリートや政治家がそうかどうかは異論のあることと思いますが、俳優などは、衰え行く姿をさらすこともまた、重要な役割なのではないかと思います。

 身近なところでは、祖父母や両親が子や孫に衰え行く姿を見せることで、人は必ず死ぬこと、死に際しては程度の差はあれ必ず苦しむことを教えるのも、人生の先達の義務と言えるでしょう。

 私は20年ほど前に祖母を、3年半ほど前に父を無くしました。
 それはいずれも身を切られるような辛い体験でしたし、火葬場でお骨を拾う時は大変な衝撃を受けたものです。
 そして衝撃と同時に、人生というものに白けた気分を味わったことも事実です。
 どのような人生を歩もうと、出世しようとしまいと、幸福な生活をおくろうと不幸であろうと、結局は骨になって冷たい石の下に埋められるのだ、という諦念みたいな、白けた感じです。

 私は46歳で、まだ元気ではありますが、老眼を自覚したり、疲労しやすくなったりと、緩やかに衰え始めたことを実感しています。

 山田風太郎でしたか、老いるということは、昨日出来たことが今日出来なくなるのではない、さっき出来たことが今出来なくなるのだ、という意味のことを言っていたように記憶しています。
 そこまでの急激な衰えは感じたことがありませんが、長生きすればそれを経験することは必定なのでしょうね。

 まこと、人が生きるということは苦しいものです。

 白鳳関、おそらくは遠からず引退もしくは廃業ということになるのでしょうが、異国の地でよく頑張りましたと、労をねぎらいたいものです。


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