箪笥の肥やしという物言いがありますね。
結構なお値打ち品を、何年も箪笥に寝かせておくこと。
数年前、母から着物をプレゼントされましたが、着ていく所などあるはずもなく、箪笥の肥やしになっていました。
紋付でもない限り、男の着物は趣味的にわざわざ着ないと無駄になると思い立ち、引っ張り出して着てみました。
こんな感じです。
着物は意外に暖かく、小雪が散らつくなか、マフラーと手袋だけして、内科に出かけました。
無事、明日から出勤して良い、との診断書をゲットしました。
本当に良かった。
病院の人々、看護師などは私の着物姿をガン見していましたが、医師はまるで気に留めていないようでした。
買えば高いのでしょうが、売ればいくらにもならない着物。
母も厄介なものをくれたものだと思っていましたが、おっさん化したせいか、こういう趣味的な物が面白いように感じるようになりました。
どうも生身の女を口説くことができない、あるいは口説いてもことにあたって自信がないという年齢にいたって、そうなったようです。
もっとも、今も若い女性と一杯やるだけなら、大好物なのですがねぇ。
今朝はなんとも薄気味の悪い初老の女が大活躍するサスペンスを鑑賞しました。
蝶の標本を作り、飾るのが趣味の女が主人公の「バタフライルーム」です。
アンはご大層なアパートで一人暮らしを楽しむ初老の女。
娘がいますが、子供の頃母親に虐待されたことがトラウマとなり、結婚して出て行ったきり、ほとんど寄り付きもしません。
寂しさを蝶の収集で紛らわせるアン。
ある時、ショッピング・モールで出会った少女と仲良しになり、フランス語を教えることになります。
週に数回少女はアンの家を訪れ、フランス語を習います。
アンにとっては至福の時です。
しかし、少女は、まるで援助交際であるかのように、毎回お小遣いをせびり、くれないならもう二度と来ない、と言い放ちます。
激怒するアン。
アンは少女の母が片足が無い売春婦だと知り、少女を引き取りたいと願いますが、売春婦はこれを拒否。
アンはなんのためらいもなく売春婦をエレベーターの隙間から突き落とし、殺害してしまいます。
しばらくすれば少女は自分を頼ってくるものと信じますが、少女は天才的な中年女たらしなのか、アンの他に何人も、お小遣いをもらう代わりにしばしの逢瀬を楽しむ孤独な金持ち女たちをカモにして生活していることを知ります。
そしてアンは、最後に少女が訪れた日、少女に蝶を殺す毒を嗅がせ、蝶さながらに生き人形のような姿でバタフライルームの中央に飾り、うっとりと眺めるのです。
隣室に住む奔放なシングル・マザーは、アンの上品で礼儀正しい態度を信用し、たびたび幼い娘をアンに預けて男と遊び回ります。
それを知ったアンの正体を知る実の娘、シングル・マザーに警告を与えます。
そこから幼い娘をめぐり、アンとシングル・マザーの暗闘が始まります。
そして、結末。
実の娘が深く関わっており、慄然とさせられます。
A級とは言い難いものの、薄気味悪い物語を品良く魅せてくれます。
暇つぶしには悪くないものと思います。
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